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コンサートやオペラの感想を中心とした音楽日記になったかなあ・・・。

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ホール・オペラ プッチーニ:トスカ

サントリーホールのホール・オペラ、今までチケット価格がやや高めなので敬遠していたのですが・・・。最安席でいってみました。
サントリーホール プッチーニ フェスタ 2004-2006
ホール・オペラ プッチーニ:トスカ

プッチーニ:歌劇「トスカ」

トスカ:ドイナ・ディミートリゥ
カヴァラドッシ:ニール・シコフ
スカルピア:レナート・ブルソン
堂守:エンゾ・カプアノ
アンジェロッティ:成田博之
スポレッタ:高橋淳
シャルローネ:清水宏樹
看守:小野和彦
牧童:東京少年少女合唱隊のメンバ

ニコラ・ルイゾッティ指揮 東京交響楽団

合唱:藤原歌劇団合唱部(合唱指揮:及川貢)
児童合唱:東京少年少女合唱隊(合唱指揮:長谷川久恵)

演出:ダリオ・ポニッスィ
美術/衣裳/照明:石井幹子
舞台監督:小栗哲家

2004年4月11日 16:00 サントリーホール 大ホール

舞台中央にオーケストラ、その前後に演技スペースを設置。舞台後方からオルガンバルコニーにかけて階段上の構造物を設置。1幕の祭壇はオルガン前方、終幕のカヴァラドッシが最後に立つところもそこ。そしてトスカはそこからちょっと階段を上って飛び降りるという寸法。Pブロックの座席はシートで覆われて、1幕のカヴァラドッシが描いている絵はそこに投影されていました。

最初のスカルピアのテーマから充実した音がホールに放たれます。アンジェロッティが客席右側から登場し舞台奥の隠れ部屋へ。堂守は客席左側からくしゃみとともに登場。歌うはカプアノ、とぼけたいい味だしてます。

カヴァラドッシはシコフ。もうベテランですが、生で耳にするのははじめて。1幕の「妙なる調和」、バッチリと決めてくれました。彼、味のあるいいテナーですな。やや影のある音色で、技巧をひけらかさない真撃ところがとてもいい。

トスカはディミートリゥ。只今売りだし中とのことですが、豊かな声量と表現の振幅の広さが特徴でしょうか。やや荒削りなところもありますが、その勢いは捨てがたい魅力です。1幕ではもうすこしかわいいトスカ像が欲しかったかも。これからの伸びが期待できるソプラノです。

スカルピアは大ベテラン、ブルゾン。調子もよさそうで、屈折し狡猾な人物像を余すところ無く表現していました。本当に見事というしかありません。

1幕最後のテ・デウム、本物のオルガンを使えるのは素晴らしい。より荘厳な音楽に聞こえますし、スケール感も増してより感動的。

2幕、カヴァラドッシのナポレオン軍勝利の雄たけびが「ほら俺こんなに高い声がでるんだよ」ではなくて(それもいいんですがね)切実な叫びとしての表現がいい。トスカの「歌に生き、恋に生き」もじわじわと感情を盛り上げていく歌いぶりが見事でした。最後スカルピアのそばにろうそくの灯が片方消えてしまっていたのが、ちょっと残念(NHKが映像収録していましたが、どうするんだろ?)。

3幕、そして、絶妙なクラリネットのソロに導かれての「星は光ぬ」、切々と絶望感を歌うシコフにBravo!。カヴァラドッシに「倒れるんだよ」と説明するトスカ。ここも欲をいうとかわいさがほしかったかな。そして聞かせどころの二重唱も聞き応え充分。

主役3人が素晴らしいのに加え、ルイゾッティ指揮の東響がこれまた見事な演奏。シンフォニックかつ随所でドラマを充分感じさせてくれる演奏は、私の聞いた中でも日本のオケでのイタオペ演奏の最上の部類にはいると思います。ルイゾッティの指揮も合わせるだけでなくオケに積極的な表現を常に求めていましたし、東響もそれに充分に応えていました。これから、要注目の指揮者ですね。

演出はNHKのイタリア語講座でおなじみのボニッスィ。オペラがよくわかっているのがいいですね、妙な動きは皆無、自然な演技に任せていたのが好印象。

来年は三部作だそうで、今回の充実した上演からいくと期待できますね。今度はB席あたりで・・・(笑)。

【余談】

当日券としてLAおよびRAブロックの一番奥のデルタ地帯が6000円で販売されていました。視覚的も音的にも条件は悪いですけど、とにかく安くというひとにはいいかも。あと2公演あります。

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