えすどぅあ

コンサートやオペラの感想を中心とした音楽日記になったかなあ・・・。

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プッチーニ・フェスティバル 蝶々夫人 ディミートリゥ/ルイゾッティ/東響

昨年は芋虫風の衣装が話題を呼んだ(?)プッチーニ・フェスティバルの蝶々夫人。今年は2001年に各地でおこなわれた演出の再演だそう。ディミートリウ、ヴィヴィアーニ、ルイゾッティそして東響とサントリーホールのホール・オペラのようなキャスト(プロデューサが真鍋圭子だからでしょう)での蝶々夫人を聴きに上野へ。
プッチーニ・フェスティバル 蝶々夫人

プッチーニ蝶々夫人

蝶々夫人ドイナ・ディミートリゥ
ピンカートンヴィンチェンツォ・ラ・スコーラ
シャープレスガブリエーレ・ヴィヴィアーニ
スズキダニエラ・ビーニ
ゴローアレッサンドロ・コゼンティーノ
ボンゾジャンカルロ・ボルドリーニ
ケート・ピンカートン鳥木弥生
ヤマドリ高橋淳
神官森口賢二
ヤクシデ佐藤勝司
書記秋本健

ニコラ・ルイゾッティ指揮東京交響楽団
(コンサートマスター:グレブ・ニキティン)
藤原歌劇団合唱部

演出ヴィヴィアン・ヒューイット/飯塚励生
照明石井幹子

2005年8月7日 15:00 東京文化会館 大ホール
サントリーホールのホール・オペラで昨年のトスカ今年のラ・ボエームと素晴らしいプッチーニを聞かせてくれたニコラ・ルイゾッティ。今日もプッチーニの音楽から劇的なドラマと、繊細でニュアンス豊かな感情表現を東響から引き出した見事な棒。若い歌手達にチャレンジもさせつつ、決して独りよがりにならずに全体を見事に統率。先月の新国立劇場「蝶々夫人」でのパルンボの棒も良かったけれども、劇的な表現力と甘美なニュアンスの豊かさをはじめルイゾッティに一日の長がありますね。場面場面での音楽の表情や場面描写が実に的確で生き生きとしていましたし。ホール・オペラで既に2度も彼の棒に接している東響も、劇的な迫力と叙情的な部分で情感を良く出していました。特にコンサートマスター、ホルン(パート全体も良かった)、クラリネットのソロは素晴らしい演奏でした。

昨年のトスカでタイトルロール歌ったドイナ・ディミートリウは愛らしさと強さを併せ持った蝶々さん。憂いを帯び豊かな声量でダイナミックに蝶々さんの心情を歌います。ルイゾッティに導かれ、繊細なピアニッシモや声色を使い分ける一人芝居にも果敢に挑戦。(小技はとくいそうではなく)こなれた感じがほしかったものの、強さ一辺倒ではなく可憐な表現も聞くことが出来ました。優れたマエストロや共演者との競演で表現を練り上げれば、数年後には素晴らしい蝶々さんが聞けそう。なにしろ成長しようという意欲を感じるのが良いですね。

ピンカートンを歌ったヴィンチェンツォ・ラ・スコーラはさすがベテラン、安定した歌と演技で楽しませてくれました。声の調子も私が聞いた彼の歌唱のなかでは一番良さそうでした。来年のホール・オペラ「トゥーランドット」での活躍を期待したいものです

シャープレスは今年のホール・オペラ「ラ・ボエーム」でマルチェッロを歌っていたガブリエーレ・ヴィヴィアーニ。ピンカートンに対する楔役としての存在感はやや薄い感有りですが、この人の生き生きとした歌唱とよく伸びる声は本当に魅力的。是非また聞いてみたいバリトン歌手ですね。

他の歌手ではスズキを歌ったダニエラ・ビーニの存在感が印象的でした。ボンゾ役のジャンカルロ・ボルドリーニは声の抜けが今ひとつだったのが残念。

ヴィヴィアン・ヒューイットと飯塚励生の演出は1幕の石(のようなもの)と2幕の石柱以外には装置といえるものは殆どない白を基調とした舞台、女性を中心に日本的というよりは東洋的なイメージをほのかに漂わせた衣装、そして効果的な照明で見せるシンプルなもの。シンプル故に歌手達の歌と演技に集中できる素晴らしい演出でした。特に印象的だったのは第2幕でピンカートンが帰ってきたことを知って歌う「花の二重唱」の場面。淡いピンク色の照明と花吹雪が蝶々さんの喜びだけでなく、予想される悲しみを如実に表しているようでした。

来年4月のホール・オペラ「トゥーランドット」もルイゾッティが振る予定ですので、楽しみだなあと思いつつ寄り道して帰路についたjosquinでした。
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