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コンサートやオペラの感想を中心とした音楽日記になったかなあ・・・。

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森/増田/ヴィヴィアーニ/ヴァチコフ/ルイゾッティ ホール・オペラ前夜祭 プッチーニ:ラ・ボエーム 他

昨年初めて足を運んで印象的だったサントリーホールのホール・オペラ。昨年のトスカに続くプッチーニ・シリーズ第2弾として今年は「ラ・ボエーム」の再演となります。その出演者を中心とした「ホール・オペラ前夜祭」を聴きに赤坂へ。
サントリーホール・メンバーズ・クラブ特別コンサート No.36
~ホール・オペラ前夜祭~

プッチーニ歌劇「ラ・ボエーム」
1.第3幕の四重唱「さようなら、あまい目覚めよ」
2.コルリーネのアリア「年老いた外套よ」
3.ムゼッタのアリア「私が町を歩くと」
- 休憩 -
4.プッチーニ歌劇「蝶々夫人」
蝶々夫人のアリア「ある晴れた日に」
5.ドニゼッティ歌劇「ファボリータ」
アルフォンソのアリア「レオノーラよ、私の愛を受けてくれ」
6.ベッリーニ歌劇「清教徒」
ジョルジョのアリア「ほどけた美しい髪を花で飾り」
- アンコール -
ベッリーニ歌劇「清教徒」
7.リッカルドとジョルジョの二重唱「もしも闇の中に白い幻を見るのなら~ラッパを鳴らせ」
8.リッカルドとジョルジョの二重唱「もしも闇の中に白い幻を見るのなら~ラッパを鳴らせ」から

ソプラノ野田ヒロ子(1)
森麻季(1&3)
増田朋子(4)
テノール望月哲也(1)
バリトンガブリエーレ・ヴィヴィアーニ(5,7&8)
バスディヤン・ヴァチコフ(2,6,7&8)
ピアノニコラ・ルイゾッティ

司会真鍋圭子

2005年5月6日 19:00 サントリーホール 小ホール
前半は「ホール・オペラ前夜祭」に相応しく「ラ・ボエーム」から3曲。まず最初は第3幕の幕切れに歌われる、ミミ、ロドルフォ、ムゼッタそしてマルチェッロの四重唱。本公演のミミとロドルフォはまだ来日していないとのことで、ホール・オペラ・アカデミー出身の野田ヒロ子がミミ、望月哲也がロドルフォを歌いました。ムゼッタとマルチェッロは本公演同様に森麻季とガブリエーレ・ヴィヴィアーニ。野田から歌い始めて望月が絡んでいき「うん、悪くないねえ」なんて思ったのですが、森とヴィヴィアーノが出てきて歌い始めた途端「うーん、やっぱり役者が違うなあ」と。場面が場面だけに両カップルの立場の違いもあるとは思うのですが、いちゃいちゃいしている森のムゼッタとヴィヴィアーノのマルチェッロの歌と演技の達者さといったら。シリアスな野田のミミと望月のロドルフォの生真面目な歌とぎこちない動きと比べてしまうと・・・。せっかく野田さんがその気になって演技してるのに、それを感じて寄り添ってあげようよ望月さん(笑)。

2曲目は終幕にコルリーネが外套を質に入れる際に歌う「年老いた外套よ」。ディヤン・ヴァチコフはブルガリア出身の若手で、すらっとした長身(190cmオーバー)で弱冠26歳(若いなあ・・・(爆))とのこと。ソフトで柔らかい声が印象的だけど、歌はまだちょっと練れていない感じがしました。でも、アリアとしてはちょっと短いかな(笑)。

3曲目は第2幕でムゼッタの歌う「私が町を歩けば」。歌うのは当然ながら森麻季。先日、アンコールで同じ曲を歌ってくれたアンナ・ネトレプコとは当然ながら持ち味が違うなあと。それこそ「そこのけそこのけムゼッタがとおる」みたいなネトレプコに対して、森麻季は「ちょっと悪女ぶっちゃおうかしら」みたいな。透明感のある声を武器にした清廉さが前面に出てくるのが彼女の持ち味ですね。歌がすっかりと手の内に入っていて、ちょっとしたルバートにもセンスの良さが光りました。

後半はプッチーニの「蝶々夫人」から有名な「ある晴れた日に」。歌うのは森麻季と同時期にアカデミーで学んだという増田朋子。ずっとヨーロッパで活躍している人だそうで、日本ではあまりなじみのある名前ではないかも。私も始めて名前を知りましたし、初めて聞く人ですね。実にドラマティックに歌いますね彼女。後半有名な旋律をを再び歌うまで、感情を徐々に高めていくのが実にうまいですね。涙腺緩い人は危ないですよ、多分(笑)。

続くは、「ファボリータ」からアルフォンソのアリア「レオノーラよ、私の愛を受けてくれ」、歌うはヴィヴィアーニ。彼も非常に若くて、1977年にプッチーニの生地でもあるトスカーナ地方ルッカ生まれ。いかにもイタリアンという感じの明るい声と引き締まっていながらも豊かな声量。そして、確かな歌いまわしで魅了してくれますね。中間部の柔らかな声の使い方がとても印象的でした。

最後は「清教徒」からジョルジョのアリア「ほどけた美しい髪を花で飾り」、歌うのはヴァチコフ君。さっきのコルリーネよりずっといいじゃない(笑)。押し出しの強いい声と滑らかな旋律線の美しさを見事に両立した優れた歌唱。ちょっと影を感じる声質も好印象です。コルリーネは下手に柔らかな味を出そうとしすぎたのかなあ・・・。素地はとても良さそうですので、伸びることを期待しましょう。

ルイゾッティは指揮者らしいシンフォニックなピアノを弾きますね。単にきれいに引くだけでなく情感や劇性を強調して雰囲気を絶妙に醸し出す。昨年のトスカでの見事な指揮ぶりと合致しますね。これはラ・ボエームでの指揮が楽しみ。

アンコールは「清教徒」からのリッカルドとジョルジョの二重唱をヴィヴィアーニとヴァチコフで。これはもう充実した声の競演、若々しい2人にエネルギーが感じられて聞き応え満点の歌唱でした。それでも鳴り止まない拍手に、ルイゾッティが「最後だよ」と、この二重唱の後半部分をもう一度演奏してくれました。

今日の司会そしてホール・オペラのプロデューサーの真鍋圭子によると、今回のラ・ボエームの舞台装置(朝倉摂)は12年前の物に更に手を加えたものになるようです(前述のとおりわたしは見ておりませんが・・・)。18日からはじまる公演では、サヴァティーニ、メイそして若い歌手達との生き生きとした上演を期待したいものです。
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