石田泰尚/現田茂夫/神奈川フィル サマーミューザ ガーシュウィン/バーバー/バーンスタイン
公開リハーサルの後、市民交流室でおこなわれたミニコンサートを聞いた後(感想は省略)、線路の上を渡りカメラ屋系電気店にてうろうろと時間つぶし。そのうちに開場時間となって再び線路の上を渡りホールに戻っていざ本番。
フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2005 神奈川フィルハーモニー管弦楽団舞台上のオーケストラはヴィオラ外側の配置で、弦楽は14-12-10-8-7の編成。最後列に打楽器がずらりと並んでいるのは壮観。客席は3~4割程の入り、夏休みとはいえ平日の昼間はやっぱり苦しい。大人よりも、夏休み中の学生や児童向けの企画と組み合わせたりしないと厳しいかも。
1. ガーシュウィン : キューバ序曲 2. バーバー : ヴァイオリン協奏曲作品14 3. バーンスタイン : 「ウエストサイド・ストーリー」から シンフォニック・ダンス 4. ガーシュウィン : 「ポーギーとベス」から サマータイム
ヴァイオリン : 石田泰尚(2)
現田茂夫指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団 (コンサートマスター:森下幸路(1&2)/石田泰尚(3&4))
2005年7月29日 16:00 ミューザ川崎 コンサートホール
まずは、ガーシュウィンのキューバ序曲。打楽器のリズムとトランペットのメロディーが流れ出し、ホール内はすっかり南国の雰囲気。明るく華やかなオーケストラのサウンドが更に雰囲気を更に引き立てます。メロディーを奏でるトランペットがやや堅いかなあ。もうちょっと肩の力を抜いたしなやかさが欲を言えばほしいところ。中間部も美しかったけど、現田茂夫の音楽作りのせいか非常に素直。もうちょっと何か味が付加されると良かったかも。
2曲目はこのオーケストラのコンサートマスター石田泰尚がソロを弾くバーバーのヴァイオリン協奏曲。石田のソリストとしての演奏を聴くのは今回が初めて。石田は靴下と靴を履き(笑)、ノーネクタイ&上着なしで舞台に登場。第3楽章のリズミカルな動きの切れと躍動感は当然としても、叙情的な第1&2楽章を落ち着いた音色と的確なフレージングで歌っていくのに感心。フレーズ最後の見得きりも、とってつけたような印象や格好付けでもなく程良いアクセントになっていました。その風貌等とは逆に、実に正統的な音楽をする人だなという印象。現田茂夫と神奈川フィルも石田をぴたりと支えた好サポートが光ります。第3楽章では弱音部のリズムの切れがもう少し欲しかったけれども、第1&2楽章の艶を湛えた弦楽が美しい限り。第2楽章の弦楽の上で奏でられるオーボエソロも見事でした。石田泰尚がコンサートマスターとしての役割だけでなくソリストとしての華と技量を持っていることを十二分に確認できましたし、機会があればまた彼の石田泰尚のソロ活動に接してみたいですね。なお、この曲でのオーケストラは18-8-6-6-4の編成でした。
バーバーでソロを弾いた石田泰尚がコンサートマスター席に座って、プログラムの最後はバーンスタインのシンフォニック・ダンス。オケは再び14-12-10-8-7の編成。現田茂夫の強引さのない指揮に応え(妙な表現ご容赦くださいませ(^^ゞ)、オーケストラが自発性を存分に発揮した好演。リハーサルの時にリズムのキレやパート間の噛み合いがいまひとつだったところもきっちり修正され、音楽のメリハリが一層明確になり迫力も充分。「マンボ!」の掛け声はもっと叫んで欲しかったなあ(笑)。(良い意味で)合うような合わないような感じのジャズ的な雰囲気も充分。叙情的な部分の程良い艶の乗った弦楽の美しい音色はかなり魅力的。欲をいえば金管の繊細な表現力に一層の磨きを掛けて欲しいのと、騒々しいところでの響きの交通整理が出来てくると良いですね(これは現田さんへの要望かな?)。
アンコールはガーシュウィンのサマータイム。ここでも弦の魅力的な響きの上で、コンサートマスターから木管へと歌のメロディーが美しく歌われました。
神奈川フィルを耳にするのは4月のシュナイト指揮の定期公演以来ですが、やはり弦楽と木管を中心にオーケストラ全体が良い状態にありますね。ミューザ川崎の優れた音響効果と相まって健康的な艶を放つ魅力的な弦楽、良好なアンサンブルを聞かせる木管陣。こと弦楽に関しては日曜日にここミューザ川崎で聞いた都響よりも、個人的に惹かれるものがあったことを記しておきます。
現在、神奈川フィルの定期公演は横浜みなとみらいホールと神奈川県民ホールでおこなわれています。県民ホールはオペラ公演だと魅力的な箱なのですが、(4月に聞いた時に)オーケストラ公演だとちょっと辛い箱だなあと。県民ホール開催分をミューザへなんてことはないんでしょうか・・・、とこのオケの熱心な聞き手ではない私の独り言でした(笑)。
終演後、次があるので足早にホールを出ようとしたら「ありがとうございました!」の大きな声。その声の主はさっきまで指揮台にいた現田さんではありませんか。こういうのって大事だよなあと思いつつ、足早に駅へ向かったjosquinでした。
Comments
サマーミューザいろいろ行かれているようですね、また読ませていただきます。
十数年前の神奈川フィルとは(記憶の彼方を辿ったことを差し引いても)かなりの差があると思います。
サマーミューザは神奈川フィルでおしまいの予定です、もしかしたら一つくらい飛び入るかもしれませんが・・・。
ミューザは入れ物がとても気に入ってるので、普段聴きに行き難いオケも聴いてみたいと思ってます。
ミューザ川崎は本当に良い箱だと私も実感しています。
短期間に同じホールでたくさんのオーケストラが聴くことが出来る企画は最近なかったと思います。本当は全オーケストラを聴きたいところですが、体はひとつしかありせんので・・・(笑)。