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コンサートやオペラの感想を中心とした音楽日記になったかなあ・・・。

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新国立劇場 フィデリオ フォンタナ/ボーダー/東フィル

昨年の2月、東フィルに客演予定でしたが急遽キャンセルとなって耳にすることが叶わなかったのが今日指揮台に立つミヒャエル・ボーダー。今日は彼の振るフィデリオのプレミエを聴きに初台へ。
新国立劇場 2004/2005シーズン フィデリオ

ベートーヴェンフィデリオ

ドン・フェルナンド河野克典
ドン・ピツァロペテリス・エグリーティス
フロレスタントーマス・モーザー
レオノーレガブリエーレ・フォンタナ
ロッコハンス・チャマー
マルツェリーネ水嶋育
ヤキーノ吉田浩之
囚人1水口聡
囚人2青戸知

ミヒャエル・ボーダー指揮東京フィルハーモニー交響楽団
(コンサートマスター:平澤仁)
新国立劇場合唱団
(合唱指揮:三澤洋史)

演出/美術マルコ・アルトゥーロ・マレッリ

2005年5月28日 15:00 新国立劇場 オペラ劇場
序曲が始まると紗幕に暗めの照明が当たって舞台が目に見えてきます。重厚な石造りのイメージの舞台、中央に塔を模した大きな円柱が舞台中央に据えられているのが目につきます。本来の女性らしい赤い色の衣装でレオノーレがトランクケースを持って登場、あたりを警戒しつつ男装へと着替える情景を展開。ボーダーは14型かつVn対向配置の東フィルから弦楽器を中心とした重厚なサウンドを引き出し、がっちりとした手応えの音楽作り。

まずは歌手達からいきませう。やはりガブリエーレ・フォンタナのレオノーレが、幾分ソフトな声を生かした優しさと強さを兼ね備えた役柄を歌い演じた素晴らしい出来。彼女に対する盛大な拍手も納得。フロレスタンはトーマス・モーザー、力強い声が魅力ですがやや声の抜けの悪さと若干音程が下がり気味の印象を受けました。牢番ロッコはハンス・チャマー、2002年6月のさいたま芸術劇場「フィデリオ」でも同役を歌っていましたがベテランらしい安定した歌声を披露。ドン・ピツァロは2003年の新国立劇場「フィガロ」でタイトルロールを歌ったエグリーティス。声は悪くないのですが、もっと悪役らしい毒が欲しい気がします。マルツェリーネの水嶋育は落ち着いた声で安心して聴けますが、瑞々しさが欲しい。吉田浩之のヤキーノを聴くのはもう3度目ですが、ストレートな歌い口と役が手の内に入っている安心感があります。河野克典のドン・フェルナンドは悪くはないのですが、もうちょっと存在感が欲しいなと。

ボーダー指揮する東フィルは、前述のとおり重厚なサウンドをベースとしたがっちり感が特徴。反面、音楽の推進力や瑞々しい感触はやや減退していたような気がします。歌手達を邪魔することはないので、安心して音楽に身を委ねることができる棒。日を追うごとに全体のしっくり感や流動性が増していくことを望みたいと思います(残念ながら、2回目を聴く予定はありませんが・・・)。

今日の公演で特筆したいのは合唱の出来栄え。フィナーレの迫力はもとより、囚人たちの男声合唱はピアニッシモ方向の繊細なニュアンスに富んだ演奏は素晴らしいものでした。囚人たちの合唱では三澤洋史が3階席奥でサポートしていたのですが、単なる拍を刻むだけでなく表現のニュアンスをペンライトで(!)しっかりと示してました。こういう隠れた部分の積み重ねが最近の新国立劇場合唱団の好調さを支えているのでしょう。

演出はマルコ・アルトゥーロ・マレッリ。石造りの巨大な塔を中央に据えた落ち着いた色調の舞台、牢獄のリアリティを提示しながら進めていくオーソドックスな展開。囚人の合唱、ドン・フェルナンド登場場面、そしてフィナーレの正義を示すかのような光の使い方が鮮やかでした。そして、一番印象的だったのはもちろんフィナーレ。レオノーレとフロレスタンを祝福するのは民衆ではなく、婚礼衣装に身を包んだ新郎新婦達。レオノーレとフロレスタンが新郎新婦達に「こう生きるんだよ」と示した幕切れでした。

3月にアルミンク/NJPのレオノーレを聞いていたせいもあるとは思うのですが、聴き応えはあるものの全体的にもっとフレッシュな感触が欲しいなとおもったのは私だけでしょうか・・・。
らいぶ | comments (6) | trackbacks (8)

Comments

Honey | 2005/06/04 22:08
ふむ~、ふむ~・・・
・・・確かに!!!
本日4日も、このような感じでした。

オペラ鑑賞の後は、いつもこちらで、
もう一度楽しませていただいております。
今夜もどうのありがとうございました。
josquin | 2005/06/05 00:49
Honeyさん、いつもコメント&TBありがとうございます。
今思い返してみても、フォンタナとチャマーは良かったですね。私もHoneyさんのシンプルな感想楽しみにしています。
まーどんな | 2005/06/09 19:33
こんにちは、 今日9日の最終公演に行ってきました。2幕で声量のある面々が揃うと、二重唱、三重唱のバランスの良さが(1幕目よりも)きわだっているように感じました。

「囚人たちの合唱では三澤洋史が3階席奥でサポートしていたのですが、・・・」

これは、地下牢という舞台の構造上に起因するものだったのですかね? どの程度の傾斜だかわからなかったのですが、合唱からピットの指揮者は見えないものなのでしょうか(あの状態では地下牢にモニターカメラの設置はできそうにないですよね)・・・。
josquin | 2005/06/09 23:55
まーどんなさん、コメントありがとうございます。
あの傾斜だと恐らく前の方で歌っていた人を除けば、多分ボーダーの棒は見えなかったのでは。3階奥という場所もその傾斜故ではないかと。ああいったサポートをする場合、大抵2階奥でおこなうことが多かったような気がします。
はろるど | 2005/06/10 20:35
josquin様、こんばんは。
私も先日の火曜の公演を聴いてきました。
仰られる通り、合唱団が一番素晴らしかったと思います。
最近メキメキ腕を挙げておられるようで、
いつ聴いても感銘させられます。良いですよね。

私もアルミンク派かもしれません…。
でもボーダーもなかなか手堅い印象でした。
平日だったからかかなり空席が目立ったのですが、
やはり「フィデリオ」だと集客が厳しいのでしょうか。
josquin | 2005/06/10 23:19
はろるどさん、コメントありがとうございます。
新国の合唱団、本当に良くなってきています。この調子なら、9月のマイスタージンガーも楽しみですね。
ボーダーは新日本フィルへの客演が予定されているので、また聞いてみたいと思っています。
フィデリオの集客力・・・、やっぱり厳しいかもしれませんね。昨年のラトル/BPOの上演でも空席が目立っていたような記憶があります。

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