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コンサートやオペラの感想を中心とした音楽日記になったかなあ・・・。

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F.ブリュッヘン/新日本フィル トリフォニー定期 シューマン/ベートーヴェン

ほぼ2年前に日本のオーケストラに初登場し、あたかも18世紀オーケストラのようなサウンドを引き出したマエストロ・ブリュッヘン。今回の来日は待望されていた新日本フィルへの再登場。今日はブリュッヘンとNJPのシューマンとベートーヴェンを楽しみに錦糸町へ。
新日本フィルハーモニー交響楽団 トリフォニー・シリーズ 第412回定期演奏会

1.シューマン交響曲第4番 ニ短調 作品120(初演版)
2.ベートーヴェンバレエ音楽「プロメテウスの創造物」 作品43
序曲/第1~3番/第5~8番
第10番/第12番/第14番/第16番

フランス・ブリュッヘン指揮新日本フィルハーモニー交響楽団
(コンサートマスター:崔文洙)

2007年1月27日 15:00 すみだトリフォニーホール 大ホール
今日のNJP、弦セクションは1Vn-Va-Vc-2VnでCbは舞台の最後列に並び、各パートの人数は12-12-8-7-6。木管を中心にして左側にホルン、右側にトランペットとトロンボーン、ハープはホルンの左、ティンパニはトランペットの右側に配置。前回のNJP登場の時と同様に、指揮台には椅子が設置されています。

発表当初はベートーヴェン→シューマンだった曲順が逆となり、前半に演奏されたのはシューマンの第4交響曲の初演版。以前、サヴァリッシュとN響が取り上げていた記憶がありますが、生音で聞くのは今回がはじめて。舞台に出てきたNJPメンバを眺めているとホルンの1&2番が普通のフレンチホルン、3&4番はピストン(ヴァルブ)のないナチュラルホルンを持っているのが目に付きます。目に付きます(トロンボーン隊も比較的シンプルな機構を持った楽器だったような・・・)。

第1楽章冒頭の和音、「あれ、ベートーヴェンの第7交響曲?」と思ってしまったほど同じ音のイメージが鳴り響いたのにはちょっとびっくり。続く第2楽章冒頭も同様で、もしかしてシューマンさん意識していたのかなあ・・・、なんて思ったり。先日聞いたアルミンクのラインは「程良く見える(あるいは、見えない)」シューマンでしたが、今日のブリュッヘンの演奏は「よ~く見える」シューマン。オーケストレーションの薄い初演版を使用し、古楽奏法を用いてスコアの線がくっきりと浮かぶアーティキュレーションを施していることもその要因として挙げられるでしょう。

まろやかに溶け合わずに生じる音同士の軋みや鋭い響き、フレーズごとに途切れ途切れになる音楽の間とテンポの揺らぎ。この曲の普段耳慣れている迸る感情の奔流ではなく、素朴な言葉で訥々とした独り言を聞いているかのような演奏だったように思います。NJPの面々も「古楽奏法をやってみました」的な受身的な演奏ではなく、それ故の傷はあるものの「古楽奏法だとこんな表現ができる」という前向きな表現意欲を感じました。このオーケストラの響きの良くのった明るいサウンドが、決してスポイルされていなかったことにそれが良く現れていたように思います。

後半はベートーヴェンのバレエ音楽「プロメテウスの創造物」、全17曲の中から12曲を選んでの演奏。この曲は古楽系の演奏家が良く取り上げるレパートリーのひとつですね。

ブリュッヘンとNJPの演奏は線のくっきり見えるシューマンとは対照的に、瑞々しい新鮮さと暖かみが両立した一体感の感じられるサウンドで曲を進めていきます。全体的に動的な活発さよりも、柔和な表情と優雅さが勝る演奏と言えるでしょうか。ただ、もう少しリズムを強調したり活気があっても良いのではと思うところも無きにしも非ず(途中の何曲かはやや単調だったかも)。フルートはやや表情が平板でしたが、木管陣の明るい音色のソロが冴えていたと思います。

次回のブリュッヘン/NJPによる演奏会は土曜日の名曲シリーズ。プログラムはハイドンのロンドン交響曲とベートーヴェンの第1交響曲が予定されています。後者は18世紀オーケストラのデビュー盤に含まれていた曲、NJPとどのような演奏を聞かせてくれるのでしょうか。

(2007.1.29 記)
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Comments

アリス | 2007/02/01 23:18
こんばんは、アリスです。

この公演、かなり注目度が高かたらしく、ブログの記事も多いですが、ひきこもごもですね。自分の感想は、josquinさんのそれに、かなり近いものになったなあと感じています。

第1楽章冒頭の和音、「あれ、ベートーヴェンの第7交響曲?」と思ってしまった・・・というところ、僕もまったく同じことを考えました。ある程度は、意図的なものだったかもしれません。次回は、ハイドンからベートーベンへのバトンタッチをやるわけで、そのあとは、モーツァルトでも、最後のほうの曲ですからね。

なお、アルミンクのほうもできれば行きたかった演奏会で、シューマンのコシンフォニーで、アルミンクとの師弟聴き比べができたのは、まったく羨ましい限りです。
josquin | 2007/02/04 10:07
アリスさん、コメントありがとうございます。

私も色々な方の感想を読みましたが、ブリュッヘンのへの思い入れの深さが「悲喜こもごも」の要因になっているような気がしました。私は充分に「喜」でしたが・・・。

アルミンクのシューマン、6月のトリフォニー定期で交響曲第1番「春」が予定されているので楽しみです。

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