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コンサートやオペラの感想を中心とした音楽日記になったかなあ・・・。

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F.ブリュッヘン/新日本フィル 名曲シリーズ ハイドン/ベートーヴェン

先週はシューマンとベートーヴェンを披露してくれたこの組み合わせ。ふたつめのプログラムとなる今週はハイドンとベートーヴェンを取り上げます。今日はブリュッヘンとNJPの名曲シリーズを楽しみに錦糸町へ。
新日本フィルハーモニー交響楽団 名曲シリーズ〈クラシックへの扉〉 第66回

1.ハイドン交響曲第104番 ニ長調 Hob.I-104 「ロンドン」
2.ベートーヴェン交響曲第1番 ハ長調 作品21
アンコール
3.モーツァルト歌劇「ドン・ジョヴァンニ」 K.527 序曲

フランス・ブリュッヘン指揮新日本フィルハーモニー交響楽団
(コンサートマスター:豊嶋泰嗣)

2007年2月3日 15:00 すみだトリフォニーホール 大ホール
舞台上に並ぶNJPの風景は先週と同様。弦セクションは1Vn-Va-Vc-2VnでCbが舞台の最後列に並ぶ配置で、各パートの人数は前半が10-10-6-4-4、後半は12-12-8-7-6。木管を中心にして左側にホルン、右側にトランペット、バロックティンパニはチェロの後ろという配置。指揮台には椅子が設置されているところも先週と同じ。

プログラムの前半はハイドンのロンドン交響曲。冒頭のティンパニを伴った力強い開始に続く独りぽつぽつと呟くような部分との対比がまずは印象的。主部に入ると澄んだ音色が瑞々しく、すっきりと見通しの良いハイドンが展開されます。NJPのノン・ヴィヴラート奏法も冴え、くっきりとスコアの線が見えるアーティキュレーションで紡がれる音楽は暖かみに満ちていて実に心地良い。第1楽章展開部のドラマ性、第2楽章中間部の陰影も充分に感じさせてくれます。第3楽章はハイドンの仕組んだズレを楽しむには心持ちテンポが速かったかも。トリオではオーボエの吹く最初の2度の上昇音形をテンポを落とし、ユーモアたっぷりに吹かせていたのが愉しかった。フィナーレは心地よく走るテンポと共に再び暖かく瑞々しい音楽が展開されました。音が良~く見えるのにも関わらず、NJPの明るく響きを生かした暖かいハイドンだったと思います。

後半はベートーヴェンの交響曲第1番。この曲は18世紀オーケストラとのデビュー盤に含まれていた曲ですね(カップリングはモーツァルトのト短調交響曲)。序奏冒頭の澄んだ響きがやはり印象的ですね。主部に入るとハイドンよりは「見える」ことよりも「力強さ」に重きを置いたアプローチを展開。しかし、「強靭な力強さ」とか「強力な推進力」という形容で表現される演奏ではなく(この形容が相応しいのは昨年のP.ヤルヴィ/DKBによるツィクルスだったかと)、ベートーヴェンの「力強さ」に垣間見える瑞々しさや優美な表情を丁寧に掬い取った演奏と言えるでしょう。若干物足りなさを覚える向きもあるかもしれませんが、josquin的には充分に楽しむことが出来た演奏でした。オーボエ首席の古部賢一が時折バロック・オーボエのような古風な音色を奏でていたのもとても新鮮に感じました。

コンサートマスターの豊嶋泰嗣と「俺が言わないといけないかなあ?」なんてやり取りがあったどうかは不明ですが、ブリュッヘン自ら曲目を紹介して演奏されたのはモーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」序曲。デモーニシュな雰囲気が充分に漂う序奏に続いて、主部では結構メリハリを利かせてドラマティックな味付けを施していた演奏でしたね。水曜日のモーツァルト・プログラムの予告編という位置付けも、もしかすると加味されているのかもしれません。

(2007.2.5 記)
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