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浜田理恵/R.ルーカス/沼尻竜典/日本フィル 東京定期 ツェムリンスキー:叙情交響曲
小澤/SKOのシェーンベルク、アルミンク/NJPのコルンゴルトとR.シュトラウス、図らずも後期ロマン派の作品が取り上げられたプログラムが続いています(笑)。今日も「ビジネスマンの特券」を使って沼尻竜典/日本フィルの東京定期後半で演奏されるツェムリンスキーを聴きに六本木一丁目へ。
日本フィルハーモニー交響楽団 第573回東京定期演奏会この演奏会の前半は、ウェーベルンの管弦楽のための6つの小品とR.シュトラウスのオーボエ協奏曲(ソロ:広田智之)が演奏されました。広田智之のアンコールがあったようです。後半はツェムリンスキーの叙情交響曲で、ヴィオラを外側にした通常配置で弦の編成は16型での演奏。ソリストは指揮者左側に浜田理恵、右側にラルフ・ルーカスを配置していました。
4. ツェムリンスキー : 叙情交響曲作品18
ソプラノ : 浜田理恵 バリトン : ラルフ・ルーカス
沼尻竜典指揮 日本フィルハーモニー交響楽団 (コンサートマスター:木野雅之)
2005年9月9日 19:00 サントリーホール 大ホール
ツェムリンスキーの叙情交響曲を聴くのは昨年2月に聞いた高関健/東フィルの演奏以来今日で2度目。沼尻竜典と日本フィルの特徴を生かした好演と言えるのではないでしょうか。たっぷりと濃厚なロマンティシズムよりも、濃い味わいだけをうまく残しつつ音楽が立体的に聞こえるような配慮に重点を置いた演奏。艶っぽい音色や音楽のうねりをもっと感じさせて欲しいなあと思わないではないものの、最後まで集中力を保った良好なアンサンブル、そして歌手を支えながら濃い味わいを失わないギリギリの線を狙った音量バランスの絶妙さ。深みと芯の強さを感じさせる浜田理恵とやや明るく張りのある声のラルフ・ルーカス、両者共に的確な表現力を聞かせてくれました。ラルフ・ルーカスは昨年4月にも沼尻/日本フィルと「フィレンツェの悲劇」のシモーネ役を歌っていますが、この叙情交響曲のほうが相性が良いのではないでしょうか。この曲の肝とも言える「最後の歌を書き終えたら分かれましょう」とソプラノが歌う第6楽章は聞いていて独特の緊張感がありますね。浜田理恵は高関/東フィルの時の中嶋彰子ほどの恐ろしいほどの凄みはさすがにないものの、最終節「愛を求めるこの手が、空しさを抱きしめ、胸を痛めつける。」は切実な強い訴えかけが印象的でした。
沼尻竜典は正指揮者として日本フィルと良好な関係を築いているように感じられます。音楽監督小林研一郎とのレパートリーの棲み分けも非常に明確ですね。沼尻/日本フィルの演奏、また機会を見つけて聞いてみたいと思います。
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