沼尻竜典指揮 日本フィル 東京定期 ツェムリンスキー
日本フィルハーモニー交響楽団 第559回東京定期演奏会
ツェムリンスキー:歌劇「フィレンツェの悲劇」(演奏会形式)
シモーネ:ラルフ・ルーカス
ビアンカ:栗林朋子
グイード:吉田浩之
沼尻竜典指揮 日本フィルハーモニー交響楽団
2004年4月16日 19:00 サントリーホール 大ホール
今年は特にメモリアルイヤーでもないのにツェムリンスキーが良く取り上げられます。私も1月のアルミンク&NJPの人魚姫、2月の高関健&東京フィルの叙情交響曲に続いて今年3度目。6月にはN響でもクリヴィヌの指揮で人魚姫が取り上げられます。
今日のフィレンツェの悲劇は、妻ビアンカと夫シモーネそして妻の恋人グイードの3人が登場人物。やたらと饒舌な夫を中心に3人のやりとりが続き、ついには夫が妻の恋人を殺してしまう。その後、妻が夫に夫が妻にお互いの魅力に気づき仲直りしてしまうという筋。
日本フィルを聞くのは本当に久しぶりで、何年ぶりかなというくらい。足が遠ざかっていたのはオケの音に魅力を感じなかったからですが、今日の感じだと量感はややないけれども美しい弦を中心に、良いアンサンブルを聞かせてくれていました。トランペットの精度がもうすこし向上すると更に良かったと思います。
オケの体質なのかそれとも沼尻の特質なのか、良く整ったクリアな響きが好印象でした。でも、ロマンティックな濃い味わいは後退し勝ちに聞こえました。むんむんするような感じがあってもいいし、そのほうがツェムリンスキーらしいと思うのですが・・・。
シモーネのルーカスは良い声をしていますが、語り(歌い)まくるこの役にはちと個性が足りないかなあ。あくみたいなものがあると良いのかも。ビアンカの栗林はふくよかで美しい声で好演、グイードの吉田も同様の好演といえるでしょう。やはり、シモーネが鍵ですねこのオペラは。
このオペラ、来年二期会でアルミンク&NJPをピットに迎えての上演が予定されています(+ジャンニ・スキッキ)。
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