えすどぅあ

コンサートやオペラの感想を中心とした音楽日記になったかなあ・・・。

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オフチニコフ/アルミンク/新日本フィル 名曲シリーズ ラフマニノフ/チャイコフスキー

丁度2週間前に素晴らしいレオノーレを上演してくれたアルミンク/新日本フィル。今日は彼らのロシア・プログラムを聴きに錦糸町へ。
新日本フィルハーモニー交響楽団 名曲シリーズ クラシックへの扉 第51回

1.ラフマニノフピアノ協奏曲第2番ハ短調作品18
アンコール
2.ラフマニノフ楽興の時 第4番ホ短調 作品16-4
3.チャイコフスキー交響曲第4番ヘ短調作品36
アンコール
4.ハチャトゥリアン組曲「仮面舞踏会」 から ワルツ

ピアノウラディーミル・オフチニコフ(1&2)

クリスティアン・アルミンク指揮新日本フィルハーモニー交響楽団(1,3&4)
(コンサートマスター:崔文洙)

2005年4月2日 15:00 すみだトリフォニーホール 大ホール
新日本フィルは先週の3/26に今日と同じプログラムの演奏会を及川浩治と金聖響の組み合わせでおこなっています。全く同じ人が出番になっている訳ではないようですが、興味深いですね。

今日のオーケストラはチェロを外側にした通常配置で、弦楽は14-12-10-8-7の編成。

最初はオフチニコフをソリストに迎えたラフマニノフの第2協奏曲。オフチニコフは冒頭の和音から奥深さと明瞭さを両立した音色が魅力的。アルミンクと新日本フィルもやや厚めながらも品のある響きのよく乗った弦楽陣を中心に、ラフマニノフらしい大きな音の流れを聞かせてくれます。ピアノ、オーケストラ共に響きが混濁することなく明瞭で、いれこみ過ぎない歌い口と相まって清潔なロマンティシズムを感じさせてくれます。第2楽章のピアニッシモの弦のふわっとした感触の美しさと、クラリネットの控えめな歌い口の演奏も素晴らしかった。アルミンクも決してピアノを覆いつくすことないバランスと大きなケール感を損なうことのない好サポートぶり。2月に所沢で聞いた及川浩治のパッションを外へ爆発させたようなラフマニノフよりは、内からじわじわとくる今日のような演奏のほうがやっぱり私の好みだなあ。拍手に応えてのアンコールは同じラフマニノフの楽興の時(このタイトルってシューベルトだけじゃないんですね、笑)第4番でした。

休憩の後は、チャイコフスキーの第4交響曲。ホルンから始まる序奏が勇壮に鳴り響いたところまではいたって想定の範囲内(笑)。主部を早めのテンポでそのまま行くかと思いきや、アルミンクはゆっくり目のテンポで叙情的かつじっくりと曲を描いていきます。まるで(チャイコフスキー本人?の)心の傷を吐露する私的な告白のように聞こえてくる。ちょっとテンポとオケの奏でる音楽の密度に乖離がある部分もありましたが、それもアルミンクの狙いなのかもとも思えたり。第2楽章はそんなアプローチが一番効果的だったかも。オーボエとクラリネットのソロも実に良かった。ひっそりと歌う弦の脇でそれをかき乱すような細かな動きをする木管との対比が明確にわかってとても興味深く感じました。第3楽章は弦のピツィカートをややくすんだ感じの響きにして、木管が活躍するトリオとのコントラストをつけていてさしずめ鬱から躁への移行のよう。第4楽章はそれまでとうってかわって、速めのテンポで引き締まった造形のフィナーレ。ひとしきりクライマックスを迎えた後、終結に向けてホルンから始まる部分の瑞々しさがとても印象的でした。アルミンク、若いながら勢いだけでなく曲をよく理解ているなと思える演奏でした。全体的にトランペットがもう少ししゃきっとすると更に良かったと思います。

アンコールはハチャトゥリアンの仮面舞踏会からワルツ。チャイコフスキーでの鬱屈を開放したようなリラックスした楽しい演奏でした。
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コヴァチク/アルミンク/新日本フィル サントリー定期 ノイヴィルト/ハース/ベルク/ベートーヴェン | えすどぅあ | 2005/04/09 00:39
古典作品だけでなく現代作品も積極的に取り上げるアルミンク。日本初演3連荘とベートーヴェンの第5交響曲を組み合わせたプログラムがなかなか意...