及川/金/新日本フィル グリンカ/ラフマニノフ/ストラヴィンスキー
先週の日曜日から続く新日本フィルのロシア物三連荘。最終日(笑)の今日は金聖響指揮による春祭を中心としたプログラムを聞きに東所沢へ。
新日本フィルハーモニー交響楽団東所沢から所沢在住の(このblogにも時々出てくる)友人に出迎えてもらって、ミューズへ。
1. グリンカ : 歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲 2. ラフマニノフ : ピアノ協奏曲第2番ハ短調作品18 アンコール 3. スクリャービン : 練習曲嬰ニ短調作品8-12「悲愴」 休憩 4. ストラヴィンスキー : バレエ音楽「春の祭典」
ピアノ : 及川浩治(2)
金聖響指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団 (コンサートマスター:辻井淳)
2005年2月6日 15:00 所沢市民文化会館 ミューズ アークホール
まずは「ルスラン」序曲。オーケストラは14型の編成。速いテンポで突っ走る演奏ではなく、中庸のテンポでオーケストラの自発的なアンサンブルを引き出していました。オケーストラのサウンドも清潔で美しく、そこここに表現のゆとりが感じられる演奏でした。余計な味付けをしない素の魅力という感じでしょうか。ホールの残響が長めなのが影響したせいか、響きの見通しの良さはいまひとつだったかなあ。
続いては「ルスラン」と同様の編成で及川浩治を迎えたラフマニノフの協奏曲第2番。中音域以上の透明感のある音色の美しさが魅力。ロマンティックではなく、徹頭徹尾ダイナミックに表現したラフマニノフ。金聖響とのテンポ設定の影響もあるとは思うのですが、音楽の持つ密度についていけていない部分が散見されたのが残念。金聖響と新日本フィルは基本的にはダイナミックな及川をしっかりとサポートしていましたが、やや中途半端な感じも無きにしも非ずかと。ダイナミックな及川に合わせてオーケストラもダイナミックにするのか、それとも浪々とロマンティックな味付けをして及川との違いを際立たせるのか。どっちつかずになってしまった感がありました。第1楽章のホルンソロ(吉永雅人)と第2楽章のクラリネットソロ(山本正治)が素晴らしかったことを付け加えておきます。
及川浩治のアンコールはスクリャービンの練習曲を、これもまた物凄い勢いで(笑)ダイナミックに弾いておりました。
後半はコントラバスを2本増強し、14-12-10-8-8の編成で演奏された「春祭」。この曲の持つ土臭さや野蛮さをむやみやたらに強調することなく、スコアを丹念に音にした演奏と聴きました。弦楽を中心とした美しい音色とハーモニーが非常に印象的で、ある部分ではハーモニーがうつろう様子が手に取るように分かります。この曲の美しく繊細な一面にフォーカスを当てた演奏と言えるしょう。かといって最後の曲に代表されるような、迫力や力強さも充分に感じさせてくれるバランスの良さ。本当に美しさという点では出色の演奏でした。
金曜日のショスタコーヴィチ、そして今日のストラヴィンスキーと主催演奏会ではないにも拘わらず意欲的なプログラムを組む新日本フィル。必ずしも充分な練習時間を取れてはいない筈。でも、しっかりとした結果を出すこのオケの底力に感心させられた演奏会でした。
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