大崎/篠崎/新日本フィル 名曲シリーズ チャイコフスキー/ムソルグスキー/ストラヴィンスキー
今シーズンからB席が格安な値段設定になった新日本フィルの名曲シリーズ。今シーズンから会員になったのだが・・・、会員として実際に足を運ぶのは今日がはじめて(^^ゞ。禿山の一夜の原典版を聴くのを楽しみに錦糸町へ。
新日本フィルハーモニー交響楽団 名曲シリーズ クラッシクへの扉 第49回今日のオーケストラは全曲、弦14-12-10-8-7でコントラバス右・ヴィオラ外側の通常配置。
1. チャイコフスキー : ピアノ協奏曲第1番変ロ長調作品23 * 2. ムソルグスキー : 禿山の一夜(原典版) 3. ストラヴィンスキー : 組曲「火の鳥」(1919年版) アンコール 4. ストラヴィンスキー : オーケストラのための組曲第2番 から ギャロップ
ピアノ : 大崎結真(1)
篠崎靖男指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団 (ゲスト・コンサートマスター:西江辰郎)
2005年1月30日 15:00 すみだトリフォニーホール 大ホール
最初は大崎結真を迎えたチャイコフスキーのピアノ協奏曲。彼女の演奏を生で聞くのは多分恐らく初めて。冒頭のホルンが勇壮かつ歯切れ良く決まった後、しっかりと打鍵され粒立ちの良い音がスケール感豊かに鳴り響きます。ゆるぎない実に堂々とした弾きっぷりでオーケストラと互角に渡り合っている。繊細さを要求されるところでも音楽が小さくならず、思い切りの良さと推進力豊かな音楽が聞こえてきます。高音のピアニッシモも美しく弾かれていました。第1楽章は篠崎靖男との息が細かいところで合わない部分が聞かれたものの、第2楽章以降は両者がかみ合って、特に第3楽章はオケと一体となったスリリングさ。篠崎靖男指揮する新日本フィルもシンフォニックなサウンドを基調に正攻法の音楽釣りの好サポート。聴き応えのある好感度の高いチャイコフスキーでした。
休憩後の「禿山の一夜」はお馴染みのリムスキー=コルサコフ版ではなく、人の手の加わっていない原典版。クラウディオ・アバドがよく取り上げていて、数種類の録音がある筈。演奏会で聴くのは私は初めて。やや音が薄いかなと思うところもありますが、シンプルなオーケストレーションは磨かれていない原石の魅力。しかしそのシンプルさ故に、みずみずしさと粗野な荒削りな感じとの共存が新鮮。金管を中心にクレッシェンドやデクレッシェンドを多用したり、低弦のゴリゴリとした音やリズムが土臭さに結びついています。篠崎靖男の音楽作りはそんなすっぴんの原典版の魅力を、足したり引いたりしないで正攻法のアプローチでストレートに伝えてくれました。
最後は「火の鳥」組曲を1919年版で。ここでも篠崎の奇をてらわない正攻法の音楽作りが功を奏していました。「王女達のロンド」での弱音器を付けた弦の柔らかい雰囲気。「カスチェイ王の魔の踊り」での切れ味の良いリズムと音楽の推進力。「子守歌」から「終曲」へのブリッジ部分での弦のピアニッシモの美しさ、終曲を告げる吉永雅人の吹くホルンが雰囲気満点で素晴らしいこと。終結部の弦楽がメロディーを一音一音をダウンボウで弾くところも音が薄くならずに充分な厚みと量感を湛えていてたたえていました。あちこちにちりばめられた前述のホルンを初めとした、各楽器のソロもさえていました。
アンコールはストラヴィンスキーのギャロップを選択するなんていうのはなかなか粋。にぎやかさとユーモアにあふれた楽しい演奏でお開きとなりました。
大崎結真、篠崎靖男共に正攻法でオーソドックスな音楽作りが好感が持てる演奏家だなあと思いました。今後、着実な成長して充実した音楽を聞かせてくれることをに期待したいですね。篠崎靖男は5月に東京フィルのサントリー定期への登場が予定されています。
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