アルゲリッチ 室内楽の夕べ ハイドン/シューマン/メンデルスゾーン
マルタ・アルゲリッチ 室内楽の夕べまずはハイドンのトリオから。第1楽章から音楽がするすると自然に淀みなく流れ出てくるのにまずはにんまり。その流れにのって音楽の光と影が色合いの変化として聞こえてくる。また、ハイドンらしいユーモアにも欠けていないのはさすが。第2楽章も自然な音楽作りがとてもいい。弦が主導する部分でのアルゲリッチの神経の行き届いたサポートが絶妙。そしてアルゲリッチのピアノが主導する部分の他を引き込む吸引力と。ジプシー音楽風の第3楽章では三者が一体となった緩急自在の演奏で、スリリングかつ濃い味付けの表現がまた素晴らしい。(あえて)欲を言うと、堀米ゆず子の細かく動く音形での音程がピシッと決まると更によかったかも。
1. ハイドン : ピアノ三重奏曲第25(39)番ト長調 Hob.XV-25 2. シューマン : ピアノ四重奏曲変ホ長調 Op.47 休憩 3. メンデルスゾーン : ピアノ三重奏曲第1番ニ短調 Op.49 アンコール 4. ベートーヴェン : ピアノ四重奏曲第3番ハ長調 WoO.36-3 から 第1楽章 5. ベートーヴェン : ピアノ四重奏曲第3番ハ長調 WoO.36-3 から 第3楽章
ピアノ : マルタ・アルゲリッチ(1,2,3&4) ヴァイオリン : 堀米ゆず子(1,2,3&4) ヴィオラ : リダ・チェン(2&4) チェロ : 山崎伸子(1,2,3&4)
2005年1月30日 19:00 サントリーホール 大ホール
2曲目はシューマンのクワルテット。透明感のある音色と適度なロマンティシズム、移ろっていく色合いの変化も素晴らしい好演。山崎伸子のチェロで始まる第3楽章は美しい限り。終楽章はやっぱりスリリングな味が出てくるのがアルゲリッチらしさかと。チダ・チェンのヴィオラは悪くはないものの、個性的な他の3人に比べるともっと存在感と個性が欲しい。
休憩後のプログラム最後はメンデルスゾーン。こんなに熱い曲も書いてたんですね、メンデルスゾーンって。交響曲等を聴いているとお目にかかれない一面を聞かせてくれる曲ですね。その熱い曲をまた3人がすこぶる熱く演奏するものだから、聴くほうもテンション上がります(笑)。アルゲリッチを初めとするメンバの個性が遺憾なく発揮されていたように聴きました。
アンコールは再びリダ・チェンを加えて、これもまた生き生きとした演奏でのベートーヴェンのピアノ・カルテットから2曲を演奏してお開き。今日は21:10頃に終わりました(笑)。
今日の演奏で要となったのはアルゲリッチのピアノはもちろんですが、やっぱり山崎伸子のチェロかと。さいたま芸術劇場のレジデンス・クワルテットでもそうですが、山崎伸子がメンバに加わっている室内楽の演奏は外れがありません。生き生きとかつしなやかにアンサンブルの要を支える演奏能力は本当に得がたいものがあります。アルゲリッチはあわせるうまさはもちろんのこと、単なるサポートではなく音楽の生命力を付加しているよう。それはそれで素晴らしいのですが、協奏曲と室内楽を続けて聴くとやっぱりソロを聴きたくなるんですよね(笑)。近年はあまりしていないようなのですが、次回来日時は是非リサイタルをやってほしいなあ・・・。
Comments
山崎伸子の演奏は初めて聴きましたが,室内楽を得意としていたんですね。あの演奏振りと鋭い目つき,ただ者ではないと思っていました(笑)
私は,メンデルスゾーンに関しては,室内楽が好きです。彼自身の音楽が若干小振りなためか,交響曲だとちょっとスカスカな感じがするのですが,今回のピアノ三重奏曲の他にも,八重奏曲,弦楽五重奏曲,弦楽四重奏曲等は,非常に充実しており,それぞれにチャーミングな音楽が楽しめます。私は,去年の一時期,かなりメンデルスゾーンの室内楽にはまってしまいました。
メンデルスゾーンは交響曲以外はあまりなじみがないんです。八重奏曲を耳にしたことがあるくらいかなあ。今回ピアノ三重奏曲を聞いてみると、他も聞かないといかんなあと思っているところです、はい。気が多いので、時間が取れるかが問題ですが・・・。