ゲリンガス/アルミンク/新日本フィル ドヴォルザーク/ブリテン/ストラヴィンスキー
3月に瑞々しいレオノーレを聞かせてくれたアルミンク。今シーズン最後のトリフォニー定期で取り上げるのはストラヴィンスキーのハルサイ。ゲリンガスのドヴォルジャークも楽しみにしつつ、職場から錦糸町へ。
新日本フィルハーモニー交響楽団 トリフォニー・シリーズ 第387回定期演奏会ホールに入り小腹を満たしてから客席へ向かうと、いつもより客席が埋まっています。ゲリンガスがソロを弾くからでしょうか。
1. ドヴォルジャーク : チェロ協奏曲ロ短調 作品104 アンコール 2. カタロニア民謡(カザルス編) : 鳥の歌 休憩 3. ブリテン : アメリカ序曲 作品27 4. ストラヴィンスキー : バレエ音楽「春の祭典」(1947年版)
チェロ : ダヴィッド・ゲリンガス(1&2)
クリスティアン・アルミンク指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団(1,3&4) (コンサートマスター:崔文洙)
2005年6月17日 19:15 すみだトリフォニーホール 大ホール
プログラムの前半はゲリンガスをソリストに迎えたドヴォルザークのチェロ協奏曲。オーケストラはチェロを外側の通常配置、弦楽の編成は12型。深々とした音色でじっくりとメロディーをスケール感豊かに歌い上げるゲリンガス、アルミンク/NJPの秀逸なサポートと相まってすこぶる聞き応えのある充実した演奏でした。ダイナミックかつ思い入れたっぷりに歌った第1楽章、音量を抑えた叙情的なメロディーで豊かなニュアンスを聞かせた第2楽章、フィナーレでは再びダイナミックな演奏を聞かせてくれたゲリンガス。フィナーレ終盤のコンサートマスター崔文洙とのコラボレーションも美しく聞かせてくれました。アルミンク/NJPも第1楽章のほの暗い雰囲気は抜群でしたし、ソロが出てくる前のホルン→クラリネット→オーボエのリレーも見事なもの。シンフォニックにかつ繊細にゲリンガスを支えていました。拍手に応えてゲリンガスはカザルスの鳥の歌を前後奏を含めて聞かせてくれました。最後にハーモニクスで鳥の鳴き声を模し、鳥が去っていくような効果を出していたのが印象的でした。
オーケストラの編成が16型になったプログラム後半の1曲目はブリテンのアメリカ序曲。1941年にアメリカで作曲された後、どういうわけか長らくお蔵入り。ブリテン没後の1983年にラトル/バーミンガム市響により初演されたとのこと。編成は三管と大きく、題名のとおりアメリカの風情が色濃く漂います。曲の雰囲気はバーンスタインのウエストサイド物語(あのリズムがそのまま出てくる)+コープランドの静かな町。ブリテンにしてはすこぶる親しみやすい曲といえるかもしれません。演奏もそんな雰囲気を素直に伝えてくれるアルミンクらしい演奏でした。
プログラムの最後はストラヴィンスキーの春の祭典。中庸のテンポ設定で無理強いをせずに、オーケストラの自発性を引き出したアルミンクらしい好演でした。室内楽的な部分から大音響迫力まで曇りなくオーケストラをくっきりと響かせていたのはもちろんのこと、ブルックナー終止のように響きを堪能させる「間」をとっていたのが効果的でした。特に、第2部前半の室内楽的な美しさは出色だったように思います。NJPは2月に所沢で金聖響とこの曲を演奏していますが、今日の演奏の方がフランチャイズでの強みを生かした音作りが生きていたように感じられました。
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