H-M.シュナイト/神奈川フィル 地方オーケストラ・フェスティバル ブルックナー/ベートーヴェン
1月末の金聖響&OEKで幕を開けた今年の地方都市オーケストラ・フェスティバル。今日はシュナイト&神奈川フィルの登場。昨年4月の定期を聞いて以来となる、彼等のブルックナーとベートーヴェンを楽しみに錦糸町へ。
地方都市オーケストラ・フェスティバル2006定時にさくっと会社を出たものの雷と霙交じりの雨のせいか、予定していた電車は乗れずに1本後で錦糸町へ。開演時間には残念ながら間に合いませんでした・・・。
神奈川フィルハーモニー管弦楽団 演奏会
1. ブルックナー : 弦楽五重奏曲 ヘ長調 WAB112 (弦楽合奏版) - Intermission - 2. ベートーヴェン : 交響曲第5番 ハ短調 作品67 「運命」
ハンス=マルティン・シュナイト指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団 (コンサートマスター:石田泰尚)
2006年3月3日 19:00 すみだトリフォニーホール 大ホール
とういうわけで、前半のブルックナーの弦楽五重奏曲は第2楽章から。神奈川フィルの弦は1Vn-2Vn-1Va-2Va-Vc/Cb右の配置で、その編成は10-8-4-4-4-3。交響曲は良く耳にするブルックナーですが、実はこの曲を聞くのは今日が初めて。でも弦楽五重奏曲と言えども、交響曲で聴かれるブルックナーの世界は変わらず表現されていますね。特に、シュナイトが「これは祈りの音楽だよ」と客席に語りかけてから開始された第3楽章のアダージョは、後期の交響曲にも匹敵する深さ。シュナイトと神奈川フィルは、チェロとコントラバスをしっかりと鳴らし強固な土台を形成。ピラミッド・バランスとも言えるサウンドで一歩一歩しっかりと進んでいく音楽。しかしながら神奈川フィルがブルックナーの音楽に慣れていないように聞こえました。ブルックナー独特の音形やリズムがどこかぎこちなく聞こえる。そのせいか、第1ヴァイオリンをはじめとして音程が決まらない部分がちらほらと。特に4人ずつのヴィオラはバランス的に弱く、音程と音形の両方が決まらない。ブルックナーの息の長い流れもところどころ切れてしまっていたような。このオーケストラの個性的な弦の音色は相変わらず美しいだけに惜しいなあと。神奈川フィルがブルックナーの長距離走的な音楽に慣れ、魅力的な演奏を披露してくれることを願いたいと思います。
プログラムの後半はベートーヴェンのいわゆる「運命」。オーケストラの弦は1Vn-2Vn-Vc-Va/Cb右の配置で編成は12-10-8-6-5。シュナイトと神奈川フィルは、一歩一歩しっかりと大地を踏みしめていく骨太なベートーヴェンを披露。ずっしりとした重量感をもたらす厚めに鳴らした弦、瑞々しい木管、そしてしっかりとアクセントを付ける金管とティンパニ。少しロマンティックな味付けは、やや古風なスタイルですが聴き応え十分なもの。コンサートマスター石田泰尚の率いるオーケストラの前傾姿勢と、それを「待て待て」と押しとどめるシュナイトとのせめぎ合いの妙味。終楽章へのブリッジでそのバランスが崩れ、リズムがかみ合わずフィナーレへなだれ込む緊張感が失われてしまったのは本当に残念。しかし、終楽章に入ってからはその影響を最小限に抑えて熱気を孕んだ充実した演奏を披露。今は短距離走的なベートーヴェンのほうが、このコンビの良さを味わえるのではないでしょうか。
明日もこのコンビの本拠地とも言える神奈川県立音楽堂で、今日と同じプログラムの演奏会が予定されています。
Comments
ヴィオラはザンネン。あのホールだからなおさらその部分が目立ちました。
音楽堂の演奏に期待したいところです。
トリフォニーは細部の綻びが露になってしまう怖いホールですね。逆に言うとトリフォニーで細部まで見渡せる演奏が出来れば他のホールでは大丈夫なんでしょう。ここを本拠地としているオーケストラと比べたらフェアではないかもしれませんが・・・。
トリフォニーの響きに戸惑ってしまった終わってしまったというところかもしれません。来年はこのシュナイトさんのシリーズは音楽堂で聞かないといかんですなあ・・・。
なお、来年の音楽堂シリーズでは、いよいよエロイカそしてR.シュトラウスのメタモルフォーゼンとのこと。これも聴かねば一生の損のような、、、。
> 特にブルックナーの第三楽章
自分の記事では書かなかったのですが、yurikamome122さんのところで触れられている1stVaのところ。錦糸町でも素晴らしかったと思います。
> エロイカそしてメタモルフォーゼン
うわっ、これはたまらないプログラムですね。
他の公演とバッティングしないことをひたすら祈らないと・・・。