<< イゴール・チェツーエフ ピアニスト100 モーツァルト/ベートーヴェン/ラヴェル/ストラヴィンスキー | main | ヴォーカル・アンサンブル カペラ オブレヒト:ミサ「スブ・トゥウム・プレジディウム」 >>
スクロヴァチェフスキ/読響 芸劇マチネー プロコフィエフ/バルトーク
先週の演奏会が素晴らしかったスクロヴァチェフスキと読響。今週はバルトークのオケコンをメインに据えたプログラム。ということで今週もミスターSと読響を聴きに池袋へ。
読売日本交響楽団 第66回東京芸術劇場マチネーシリーズオーケストラはいつものチェロ外側の配置で、弦の編成は16-13-12-10-8。第2ヴァイオリンが一人少ないのは体調崩してしまったんかな・・・。
1. プロコフィエフ : 「ロメオとジュリエット」第2組曲作品64 休憩 2. バルトーク : 管弦楽のための協奏曲Sz.116
スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮 読売日本交響楽団 (コンサートマスター:デヴィッド・ノーラン)
2005年4月24日 14:00 東京芸術劇場 大ホール
前半はプロコフィエフのロミジュリ第2組曲。「モンタギュー家とキャプレット家」の冒頭から金管がぴったりと合ったハーモニーを積み重ねての強奏が効果的に決まります。そして弦の緊張感あふれるピアニッシモとのコントラストの見事なこと。「修道士ロレンス」でのおだやかな風情とチェロとヴィオラの弾くメロディーの瑞々しさ。「踊り」でのプロコフィエフらしい素直でないワルツの(いい意味での)妙な味わい。「別れの前のロメオとジュリエット」冒頭のすっきりとした透明感のある弦の美しさとフルートの不安げな歌との対比、そして高まっていく不安の表現の確かなこと。終曲「ジュリエットの墓の前のロメオ」の荘重さ、最後の高弦のピアニッシモもピッチ&音色共にぴたっと決まった美しさ。スクロヴァチェフスキのオーケストラ捌きはまったくもって見事。無理なくオーケストラから弱音から強音まで整った見通しの良いサウンドを引き出すことができる手腕。ダイナミックな部分でのこけおどし的でない迫力、そしてピッチのぴったりとあった弦楽器のピアニッシモを中心にした弱音の美しさと緊張感が光るロミジュリでした。
後半はバルトークの通称オケコン。最初のチェロとコントラバスの導入が何気ない風情で演奏された後、ヴァイオリンからヴィオラにかけてざわめきの広がりが音の層を成すように明確に聞こえます。第2楽章の対の遊びもフルートを初めとする木管もお見事。金管のコラール風旋律の溶け合ったまろやかな響きと美しいハーモニー。鮮やかな色彩感も聞くことが出来ます。第3楽章のエレジーもピアニッシモの美しさが光ります。第4楽章の中断されたインテルメッツォでは弱音気をつけた弦のピアニッシモのふわっとした感触の美しいこと。そして生き生きとした遊び心と色彩感豊かな音色が見事。終楽章、最初の勇壮なホルンがまずは見事。あちこちにある急速なテンポでの追っかけっこも手に取るようにわかる明晰さとスリリングさが両立した見事なもの。プロコフィエフ同様に必要充分な迫力を得つつ、弱音の美しさに耳を奪われる演奏だったと思います。土臭さみたいなものはやや後退していたように思いましたが、その反面明るい暖かさと親近感が感じられるバルトークだったように聴きました。
読響はもともとポテンシャルが高いオケだと思っているのですが、ミスターSが振ると見事に整った見通の良いサウンドが実現しますね。月並みな表現だけどスコアが透けて見えてくるような。オケのポテンシャルをうまく引き出している証拠でしょう。決してオケに無理なプレッシャーを与えるような弾かせ方をしないので、弦のピッチもぴったり決まって弱音でも強い音でも非常に美しい。金管も咆哮させず、丸いまろやかな響きを中心に作っていく。色々と手管を弄しているのだろうけど、結果として聞こえる音楽には温かみが感じられるのがうまいなあと。
先週もそうでしたが、前半から指揮者がオケを立たせようとしてもオケの面々が立ち上がらずに指揮者を讃える光景が見られました。スクロヴァチェフスキはオケの面々にとっても素晴らしい体験を与えているんでしょうね。
スクロヴァチェフスキと読響の来週は、ベートーヴェンの田園とショスタコーヴィチの革命のプログラミング。もちろん革命も楽しみですが、先週の第1番が良かったので田園も期待できるのではないかあと。もちろん来週も足を運ぶ予定です。
Comments
初めまして。romaniと申します。
スクロヴァチェフスキでチェックをかけていて貴ブログに出会いました。素晴らしいブログですね。特にコンサートの感想が充実していることに、大変感銘を覚えました。この読売日響のコンサートは私も聴きに行っておりましたので、TBさせていただきました。
今後ともよろしくお願い致します。
自分でも「いつまで続くかなあ」なんて思いつつ、もう16ヶ月も感想みたいなもの(笑)を綴っております。romaniさんのblogも拝見させていただきますね。こちらこそ、今後ともよろしくお願い致します。