バッハ・コレギウム・ジャパン バッハ家の音楽会 〜バッハの書棚から〜
昨年末の「BCJのクリスマス」同様に鈴木雅明の話と共に音楽を聴く、定期や受難曲コンサートとは違った趣が楽しめるBCJの演奏会。「バッハ家の演奏会 〜バッハの書棚から〜」と題されたコンサートを聴きに、代々木公園へ(お花見にいったのではないので、念のため(笑))。
バッハ・コレギウム・ジャパン バッハ家の音楽会 〜バッハの書棚から〜今日のプログラムは前半をイタリア、後半はフランスをテーマにまとめたもの。後半は市瀬陽子のバロック・ダンスも楽しめるというある意味贅沢な趣向。
1. J.S.バッハ : ファンタジアとフーガ イ短調 BWV904 2. J.S.バッハ : フルートとチェンバロのためのソナタ ト短調 BWV1020 (偽作? C.P.E.バッハ?) 3. J.S.バッハ : ヴァイオリンとコンティヌオのためのソナタ ト長調 BWV1021 4. J.S.バッハ : 協奏曲ニ短調 BWV974 (A.マルチェッロ:オーボエ協奏曲のチェンバロ・ソロ用編曲) 5. J.P.キルンベルガー : フルートソナタ ト長調 ----- Intermission ----- 6. J.S.バッハ : 無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番 ホ長調 BWV1006 より
III. ガヴォット V. ブレ VI. ジグ 7. F.クープラン : ふたつの高音楽器と通奏低音のためのトリオ「諸国の人々」より「フランス人」 8. J.B.リュリ : 歌劇「アルミーダ」より パッサカリア ----- Encore ----- 9. アラン・マレ : 組曲ニ長調 より
ブランル・ド・ヴィラージュ メヌエット
チェンバロ : 鈴木雅明 フラウト・トラヴェルソ : 前田りり子(2,5,7,8&9) ヴァイオリン : 若松夏美(3,6,7,8&9) チェロ : 鈴木秀美(3,5,7,8&9) バロック・ダンス : 市瀬陽子(6,7,8&9)
2005年4月10日 15:00 Hakuju Hall
プログラムの最初は鈴木雅明のチェンバロ・ソロでバッハのファンタジアとフーガイ短調。明確なアーティキュレーションでくっきりと曲のフォルムを浮かび上がらせる、鈴木雅明らしさが良く出た演奏。ファンタジアの部分だけでなくフーガでも各声部を明瞭にきかせてくれました。
続いてはセバスチャンの作品ではなく、エマニュエルの手による曲ではないかと考えられている有名なフルートソナタ。ちょっと抑え目の前田りり子のフルートと華やかな鈴木雅明のチェンバロの対比が素晴らしい。特に、第2楽章で長い音符を伸ばすフルートの上をチェンバロが歩んでいくところは印象的でした。
3曲目は若松夏美が鈴木兄弟のコンティヌオで弾くヴァイオリンソナタ。若松夏美のいつもより艶っぽい音色が魅力的。いつもはもう少し線が細かったような印象があるのですが、これはこれでなかなかいい感じです。鈴木兄弟の生き生きとしたコンティヌオも良かったですね。
4曲目は再び鈴木雅明のソロで、有名なマルチェッロのオーボエ協奏曲をバッハがチェンバロ・ソロ用に編曲したもの。鈴木雅明の曖昧さのない弾き方もあいまって、オリジナルよりもがっちりとした感触が強くなるのが面白いですね。
前半最後はバッハの弟子であったキルンベルガーのフルートソナタ。2曲目とは全く違って明るく華やかなで技巧的なフルートを味わえる曲。前田りり子も楽器を良く鳴らして明るく生き生きと吹いていて愉しい限り。技巧的な音回しも見事なものでした。
休憩の後は市瀬陽子のバロック・ダンスとの競演。まずはバッハの無伴奏パルティータ第3番の舞曲を3曲。舞台左手から若松夏美がガヴォットを弾きながら登場し、ほどなく市瀬陽子も春らしい明るい色の衣装をまとって右手から舞台へ。若松夏美の艶っぽい音色と真っ直ぐな音楽作りがと、ダンス向けに音楽作りをいじるようなことがないのが好印象。バロック・ダンスを見るのは初めてですが、曲のリズムに逐一あわさないで大きな枠で合うようにしているのが印象的。体の動きはもちろんですが、手の動きが結構重要かもしれませんね(もちろん、ダンスについて良く知っているわけではありません・・・)。
鈴木雅明が「バッハ家ではこんなダンスが出来るようなスペースはなかったとは思います」と笑いをとった後はフランスの作曲家の作品を2曲。まずはクープランの「諸国の人々」から「フランス人」。前半のソナードは器楽のみ、後半の組曲(5曲を抜粋、第1クーラント/サラバンド/ガヴォット/ジグ/シャコンヌまたはパッサカリア)を市瀬陽子とのコラボレーションで。そして最後にリュリの「アルミーダ」からのパッサカリアをチェンバロのソロに続いて全員の演奏とダンスで。前半のイタリア系の音楽とはまた違った華やかさとしなやかさがあって興味深いですね。鈴木秀美が前半とは変わって柔らかくかつしなやかに弾いていたのが印象的でした。金を貴重にしながら落ち着いた印象の衣装に着替えた市瀬陽子のダンスもシンプルな表現で情感を表していてとても印象的。この2曲でもコラボレーションの為に音楽的にいじったところがなかったのがいいですね。そんなことしなくてもちゃんと競演できるんだなと。今回座った席からは(わからないなりに(笑))ダンスの足捌きがよく見えなかったので、次回は(あるのかなあ(笑))足先まで見える席で見てみたいなあと思いました。
アンコールはアラン・マレの組曲から。市瀬陽子も小さめのタンバリンを叩きながらの、華やかな演奏と踊りを楽しませてくれました。
Hakuju Hallは昨年の鈴木大介のリサイタル以来2度目ですが、やっぱり素性の良いホールですね。チェンバロもクリアに聞こえるし、弦楽器やフルートにのる適度な響きと艶がいいですね。今日のような編成のアンサンブルを聴くのには絶好のホールではないかと思います。
Comments
(すてきなハンドルですね。大きく出たというか)
トラックバック返し&コメントありがとうございました。こちらには去年のBCJクリスマスコンサートあたりからお邪魔しています。
うちから入れたトラックバックの題名が化け化けで、怪しさ満点ですね。すみません。
先入観なしでも一目瞭然だったようですが、バロックダンスは足さばきが命だそうなので(先月レクチャーコンサートでりり子さんの解説を聞いたばっかりの生焼け受け売りです)、足先が見えづらいのは本当に画竜点睛を欠く勢いでした。歌舞伎を三階席で観ていて延々花道で芝居されるような歯がゆさ、……ってわけわからない譬えですが。
コンサートは万全の体勢で聴きたい(観たい)ですよね。
それでは。
ハンドルとしては確かに大き過ぎるかもしれませんね(笑)。
TBの題名、文字化けのままではおっしゃるとおり怪しいのでデータを直接書き換えてみました。
では、今後ともよろしく。
若松さんの音色がすごく印象に残りました。