バレンボイム/ベルリン・シュターツカペレ ベートーヴェン/マーラー
先週は素晴らしい平均律第1巻を聞かせてくれたバレンボイム、今日は弾き振りを含むベルリン・シュターツカペレとの演奏会を聴きに赤坂へ。
ダニエル・バレンボイム指揮 ベルリン・シュターツカペレまずはバレンボイムの弾き振りでベートーヴェンの協奏曲第2番。ピアノは響板を外し、中央に鍵盤が客席を向く方向で配置する弾き振り定番の形。弦は10-8-6-4-3の編成で、Cb-1Vn-Vc-Va-2Vnの対向配置。第1楽章、冒頭のオーケストラはフレッシュでちょっと古風な響きが印象的。その古風な音色がオーケストラ全体に統一されていて素晴らしい限り。バレンボイムはヴィオラ等の内声をはっきりと弾かせて、骨格のはっきりとした男性的なイメージのややロマンティクな味付けで音楽を進めていきます。でも、必要以上に音楽が重くならないのが非常に好ましい。序奏が終わってバレンボイムのピアノが、先日のバッハとは対照的なやや固めのくっきりとした音色で登場。オーケストラの古風な音色と良い対照を成しています。右手は美しく磨かれた響き、左手は彼らしいややロマンティックな風情が漂います。オーケストラとピアノの強調と掛け合いもバレンボイムの意図がほぼ100%生かされていて、弾き振りの妙味を味合わせてくれます。第2楽章はピアニッシモの弦楽器の味わい深さと美しいピアノの音色とのコラボレーションの素晴らしさ。バレンボイムのピアノはピアニッシモ方向の絶妙な音量のコントロールと繊細な表情が光ります。最後の部分バレンボイムが短いフレーズを磨かれた美しい音をホールに響かせ、それに弦が絶妙のピアニッシモで応える。この部分が今日の白眉だったといっても過言ではないでしょう。それほど幸せに感じられた瞬間でした。第3楽章はバレンボイム、オーケストラ共に躍動感あふれる音楽作りが印象的。バレンボイムのピアノはもう自由自在に音楽と戯れて、遊び心満点の楽しさ。モーツァルトの愉悦感とベートーヴェンの男性的な雄渾さが見事な融合した素晴らしい演奏でした。先週の平均律から1週間我慢した甲斐がありました(^^♪
1. ベートーヴェン : ピアノ協奏曲第2番変ロ長調作品19 休憩 2. マーラー : 交響曲第7番ホ短調「夜の歌」
ダニエル・バレンボイム指揮&ピアノ(1) ベルリン・シュターツカペレ
2005年2月20日 14:00 サントリーホール 大ホール
さて後半はマーラーの第7交響曲。オーケストラはベートーヴェン同様の対向配置で、弦楽器は16-15-12-10-8の編成。やや遅めのテンポをとり太い筆致で雄渾にスケール豊かに描かれた、聴き応え十分の重量級のマーラーでした。オーケストラは自らがもつ機能性を最大限に発揮して見事なアンサンブルとパワーを聞かせくれました。第1楽章のテノールホルン、第3楽章のホルン(1番と3番のエコーの掛け合い)、クラリネットを初めとする木管、弦楽器の主席達も非常に冴えた演奏を披露していました。第2~4楽章ではチャーミングな表情付けも聴かれましたね。でも、バレンボイムの音楽作りは、残念ながら私の好みに合いませんでしたm(__)m。彼のアプローチは芯の太い濃度の濃い鉛筆を一本使っての一筆書きで、いろんな太さや濃さや色の鉛筆を何本も使って描く演奏ではないんですね。全体のマスの響きを重視する反面、ポリフォニックな面白みがあまり感じられませんでした。音色も限りなく単色に近くて、彩り豊かな演奏ではなかったかと。終楽章も金管を中心に凄まじいパワーを噴出させた音響も、音量は控えめにして豊かな響きやハーモニーを重視した演奏の方が好きだなあ・・・。終演後は盛大な拍手とブラボーが飛び交っていたことを記しておきます。
2002年初頭にベルリン・シュターツオーパー来日公演の指輪で聞かせてくれた、隅々まで配慮された精妙で瑞々しい音楽。ワーグナーでしか聞けないのかなあ・・・再来年・・・2007年秋(笑)。
Comments
TB&コメントありがとうございます。
ハンブルク日記+ドイツ音楽紀行拝見させていただいております、今後ともよろしくお願い致します。