メータ/バイエルン国立管 特別演奏会 R.シュトラウス
土曜日のタンホイザーからはじまるバイエルン国立歌劇場(ミュンヘン・オペラ)の来日公演。ピットに陣取るバイエルン国立管の演奏会も2回組まれています。今日はその1回目。R.シュトラウスの交響詩を3つ並べたなんとも豪華絢爛なプログラムを聴きに赤坂へ。
バイエルン国立歌劇場 来日記念特別演奏会舞台上のオーケストラ、弦の配置はコントラバスを左側に置いた1Vn-Vc-Va-2Vnの対向配置でハープは左側ヴィオラの後ろ。弦の編成は16型。
ズービン・メータ指揮 バイエルン国立管弦楽団
オール・リヒャルト・シュトラウス・プログラム
1. R.シュトラウス : 交響詩「ドン・ファン」作品20 2. : 交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」作品28 (休憩) 3. R.シュトラウス : 交響詩「英雄の生涯」作品40 (アンコール) 4. J.シュトラウス : 喜歌劇「こうもり」序曲
ズービン・メータ指揮 バイエルン国立管弦楽団 (コンサートマスター:マルクス・ヴォルフ)
2005年9月20日 19:00 サントリーホール 大ホール
R.シュトラウスの3曲、どの曲もメータらしく曲を大きく掴みメインルートに焦点を当てて太い筆を揮った演奏でした。でも、どーんと図太く雄渾という演奏でもないのも彼らしい。優美な味付けを施そうとしたり、遊びを入れようとするんだけどそれがなんとなく中途半端に聞こえる。アンサンブルの縦の線もびしっと合わせる訳でもなく、ポリフォニック的な各声部の線を際立たせる風でもない。特に後者なんかはR.シュトラウスを聞く醍醐味だと個人的には思うんですが・・・。ここぞと盛り上げるところの音量は凄まじい程なんですが、音の響きとしては金管等は直接的でまろやかさに欠ける。もう少し何かにこだわった棒を振って欲しいなあ・・・。
でも、興味深かったところはいくつかありました。「ティル」が悪戯三昧しているところ、整理されていないところが逆にガチャガチャ感が妙にあって面白かった(笑)。「英雄の生涯」の「英雄の敵」、最初の木管が個々の自発性を存分に発揮しまあ喧しいことといったらない。「英雄の伴侶」のコンサートマスターのソロ、ちょっと不器用な感じはあったのですが妻が夫に向かってああだこうだと延々としゃべり続けているような雰囲気がいい味出してました。「英雄の戦い」はなんだか混沌とした戦闘シーンに聞こえます。あっちこっちで鉄砲打ってる様子が見えない。一昨年、ティーレマン/ウィーン・フィルで聞いた時の、戦闘シーンが目に見えるような演奏と比べるとやはり・・・。
バイエルン国立管は弦の音が暖かいのがいいですね。木管も巧いですし、ホルンも柔らかさがあって好感が持てます。他の金管はメータ以外の指揮者であれば印象は異なるのかもしれませんが、響きのまろやかさが欲しいところ。全体としては2月に聞いたベルリン・シュターツカペレ程の機能性の高さは感じませんが、なかなか良いオーケストラと聞きました。
盛大な拍手の応えてメータが日本語で「ヨハン・シュトラウスのこうもり!」と叫んで、すかさず棒を振り下ろしました。そう、皆さんお馴染みのこうもり序曲。メータらしいマッチョな味付けのこうもりなのですが、ところどころもうひとりの指揮者が顔をひょっこりと。残念ながら私は生演奏を聴くことが適わなかった彼。このオーケストラを振って残してくれた音と映像を何度も見聞きした今は亡きあのマエストロ。当時のメンバがどれだけ残っているかはわからない、私の思い入れが強すぎるのかもしれない。でも、このオーケストラに彼の音楽がまだ息づいていることを確認できて、なんだかしみじみ・・・。最後はメータの振るマッチョでお洒落じゃないこうもりを聴きながら、なんだか感傷的な気分に浸ってしまったjosquinなのでしたあ(西山喜久恵風、笑)。
Comments
すごく気になっていました(ケド、経済的事情から断念・・・f^^;)ので、
とても興味深く読ませていただきました。感謝です。
そして、最後
・・・思わず私も涙ぐんでしまいました。
ズービン・メータさんは、以前NHKで観た『街に出たオペラ -椿姫-』くらいしか思いつかないHoneyですが、
一見恐そう!、、でも美しい音楽と映像で、オペラは素晴らしかった、
(マリー・アントワネットのお庭がきれい!)という思い出があります。
おっと話が逸れて、すみませんでした。(苦笑)
『街に出たオペラ -椿姫-』、私もメーキングの映像を見た記憶があります。オーケストラと離れた場所のソリスト達と合わなきゃいけないのがとっても大変そうでした。