チョン/東フィル/オペラシンガーズ オーチャード定期 ベートーヴェン:第九
東京フィルハーモニー交響楽団 第697回定期演奏会今日もメシアンの合唱曲から。ホールのアコースティックの差なのかもしれないのですが、微妙なハーモニーのうつろいがもたらす浮遊感みたいなものが一番良く出ていましたね。こういう曲でも、今日のような雰囲気のある演奏が出来れば東京オペラシンガーズの表現の幅が更に広がるように思います。オーチャードホールはオルガンが設置されていないので当然電子オルガンなのでしょうが、舞台上ではなく舞台裏(?)で弾いていたようでした。
1. メシアン : 聖なる供宴 2. ベートーヴェン : 交響曲第9番ニ短調作品125「合唱付」
ソプラノ : 緑川まり(2) アルト : 阪口直子(2) テノール : 吉田浩之(2) バリトン : アルベルト・ドーメン(2)
チョン・ミョンフン指揮 東京フィルハーモニー交響楽団(2) (コンサートマスター:荒井英治) 東京オペラシンガーズ(2) (言語指導:ヨズア・バーチェ)
オルガン : 新山恵理(1)
2004年12月26日 15:00 Bunkamura オーチャードホール
さて続くは当然ですが第九。3回聞いた中では今日の演奏が一番良かったように聴きました。第1楽章からチョンの棒への追従度は向上していましたし(それに付随する傷はあるにせよ)、ここぞというところの見栄きりも決まっていたように聞きました。第2楽章のスケルツォもよりアグレッシブな姿勢が聞けました。第3楽章は3日間ともそれほど印象の違いはなかったかと思います。第4楽章は昨日よりも更に熱っぽさが増していましたし、前2回の演奏会での問題点は根本的には改善されていなかったものの四重唱も一番まとまっていました(満足かと問われれば否ですが・・・)。最後のコーダの追い込みとティンパニの強烈な撥捌きは凄みがありました。
今日もマイクが設置されていましたが天吊ワンポイントのシンプルなものでしたので、おそらく東フィルの記録用ではないかと思われます。
チョン/東フィルの第九を3回聞いて演奏面では今日が一番の出来かと思います。ホールとのマッチングという意味では初日のオペラシティに一日の長があります。オペラシティは長い残響時間にも関わらず、オーケストラの音がクリアな響きで聞こえるのが良いところ。合唱とオーケストラの総奏でも音が飽和したという印象は感じられませんでしたし。サントリーホールはややゴージャスな響きが魅力のひとつですし、どのオーケストラでもオールマイティに合うような気がします。今日のオーチャードは第4楽章でオケと合唱が盛り上がるところでは、ちょっと音が飽和してうるさく聞こえてしまいますね。3日間の演奏でオーケストラとホールの音響との相性をあえて順序付けるとすると、良い順にオペラシティ→サントリーホール→オーチャードの順番でしょうか。但し、オーチャードは指揮者の音作り次第という面が多分にあるのではないかと思います。6月に聞いた岩城/東フィルの演奏会では、オーチャードホールとは思えないようなクリアな響きが得られていました。
来年の東フィルの第九は今年読響の第九を振った下野竜也が振ることがアナウンスされています。今年はチョンの第九に注力したので聞けませんでしたが、来年は是非聞いてみたいと思います。
今日の演奏会で年内の手持ちチケットは終了。えっ、もういかないのかって?もしかしたら、飛び入りでもう一本くらいあるかもしれませんが・・・(笑)。
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