昨年に続いてチョン・ミョンフンが指揮を執る東フィルの第九。年末の第九、2本目を聴きに初台へ。
東京フィルハーモニー交響楽団 ベートーヴェン「第九」特別演奏会
1. | メシアン | : | 聖なる供宴 |
2. | ベートーヴェン | : | 交響曲第9番ニ短調作品125「合唱付」 |
ソプラノ | : | 緑川まり(2) |
アルト | : | 阪口直子(2) |
テノール | : | 吉田浩之(2) |
バリトン | : | アルベルト・ドーメン(2) |
チョン・ミョンフン指揮 | 東京フィルハーモニー交響楽団(2) |
| (コンサートマスター:荒井英治) |
| 東京オペラシンガーズ(2) |
| (言語指導:ヨズア・バーチェ) |
2004年12月23日 15:00 東京オペラシティ コンサートホール
最初のメシアンの聖なる供宴はオルガンと混声合唱によるラテン語の歌詞による小品で初めて耳にする曲。ゆっくりとしたテンポ(これはチョンの設定かな?)、ピアニッシモ主体で微妙に移ろうハーモニーによる内省的な曲と聴きました。あまり言葉を立たずにハーモニーの移ろいを聞かせることを主眼にしたチョンの棒に東京オペラシンガーズが安定したハーモニーで応えていた演奏でした。欲を言えば繊細感みたいなものがもう少しあると良かったのかもしれません。
休憩をはさまずにオケのメンバが登場し、メインの第九。
去年も聞いていますが基本線は同じで、音楽の流れの流麗さと激しさを秘めた熱っぽさのコントラストが印象的な演奏でした。オーケストラはチョンの棒への反応はやや鋭敏ではないところも見られたもの(安全運転方向かも)、第4楽章の一部を除けば、安定感の高いアンサンブルで上々の演奏。第1楽章は少し音を長めに演奏させ流麗さの強調、第2楽章はチョンの切れ味のいい棒にオケが生き生きとリズミカルに応えた好演、第3楽章は淀みなく進んでいく音楽の流れの良さが印象的。第4楽章はやや荒めながら推進力重視のチェロとコントラバスのレチタティーボ。歓喜のメロディーに金管が加わるところでの明るさと華やかさ。ドーメンの明るく立派な声でのオペラティックなソロ。吉田のストレートな歌いぶりのソロも好印象(バックの男声合唱はやや音量的に弱かったかも、そういうバランスで歌わせたのかもしれませんが)。アルトの坂口直子は四重唱の最後で音程が不安定になってしまったのが惜しい。ソプラノの緑川まりはソリスティックな歌唱で、アンサンブル的にはややバランスが悪いかもしれません。東京オペラシンガーズはいつもながら安定したハーモニーと力強い合唱で素晴らしい出来栄え。"Seit umschlungen, Millionen!"あたりの男声合唱が安心して聞けるし、"uber Stermen muss er wohnen"の微妙なハーモニーの安定感も抜群。チョンとの相性もすこぶる良いように思います。最後のプレスティッシモはめっちゃ速いテンポながら、ばっちりとアンサンブルが決まりましたね。チョンの第九は神秘性や崇高さよりは、しっかりと地に足の着いた人間的な喜びを指向しているように聞きました。
今日の演奏、弦は16-16-14-12-10、木管は倍管でした。ソリストは合唱とオーケストラの間で、楽章間でなはく第4楽章の歓喜のメロディーにトランペットが加わる部分での入場でした。NHKの収録よりはマイクが多数設置されていましたので、CD化を前提にしたレコーディングが実施されていたのかもしれません。プログラム誌での野本由紀夫の第4楽章の歌詞に関する解説は一読の価値があるかも・・・。
昨年はチョンの第九を2度(サントリー&オーチャード)聞きましたが、今年は途中で気が変わらなければホール毎の聴き比べをする予定です(笑)。
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