チョン/東フィル/オペラシンガーズ ベートーヴェン:第九
東京フィルハーモニー交響楽団 ベートーヴェン「第九」特別演奏会プログラムは前プロも23日と同様で、まずはメシアンの合唱曲から。うむ、ハーモニーの安定感では前回の方が良かったかも。特に気になったのはソプラノ。ピアニッシモで高音を出す場面が多いのですがヴィヴラートが多めでピッチがややぶら下がり気味。ヴィヴラートを控えめにして、ストレートな発声に徹したほうが良かったのではないかと思ったり。東京オペラシンガーズはこういうタイプの曲は不向きなのかもしれませんね。
1. メシアン : 聖なる供宴 2. ベートーヴェン : 交響曲第9番ニ短調作品125「合唱付」
ソプラノ : 緑川まり(2) アルト : 阪口直子(2) テノール : 吉田浩之(2) バリトン : アルベルト・ドーメン(2)
チョン・ミョンフン指揮 東京フィルハーモニー交響楽団(2) (コンサートマスター:荒井英治) 東京オペラシンガーズ(2) (言語指導:ヨズア・バーチェ)
オルガン : 新山恵理(1)
2004年12月25日 15:00 サントリーホール 大ホール
さて続くはもちろん第九。当然ですが基本線は木曜日の演奏と同じですが、第1〜3楽章と第4楽章とでやや出来栄えに差が出たかなあと。第1〜3楽章では一昨日はチョンの棒にあえてストレートに反応しないで自律的なアンサンブルを実現していました。今日の演奏はその棒への反応に少しばらつきが出てしまったように感じられます。第4楽章では一昨日はアンサンブルがやや乱れたところがあったりして音楽の燃焼度の高さががチョンにしてはやや低かったように思います。今日の演奏はアンサンブルが乱れたところはチョンが明確に振ることにより対処し、後半になるにつれてぐいぐい引っ張るチョンの棒に一丸となってくらいついていく燃焼度の高い演奏になっていました。
第4楽章のソリストによる4重唱ですが、やはりバランスが悪いのは否めませんね。四重唱最後でアルトの坂口直子の音程が定まらないのは、ソプラノの緑川まりの影響をモロに受けてしまっているのではないかと。バスとテノールはソリスティックな歌い手で構わないと思うのですが、ソプラノとアルトはアンサンブル重視の人選が必要なのではと感じてしまいました。
今日の演奏でのオーケストラの編成については同じなので省略。第3楽章のホルンの難所についてだけ少し(一昨日は座席の関係で見えなかった(笑))。昨年の演奏では3番ホルンに吹かせていたのですが、今日は楽譜どおり4番ホルンに吹かせていました。充分な間を与えるためでしょうか、その部分ではチョンは棒を振らずにホルン奏者に完全に任せていました。あとホルンは1番にアシスタントが付いて5人の陣容でした。今日もマイクが設置されていましたが、恐らくNHKのマイクではなかったでしょうか。
さて、今日はもう一本同じホールで第九を聞いたりします(爆)。
Comments
> 1〜3楽章と4楽章とのテンポ感の違い
私は恐らくチョン氏自身第3楽章と第4楽章で一線を引いているのだと思います。ちょっと長いけど古典的な第1〜3楽章とある意味異形ともいえる第4楽章と。でも、最初からぐいっと引っ張る演奏も聴いてみたい気もしますね。
> こういうケースは多いのですか?
2年前の年末の第九でボッセ氏が楽章途中(第3楽章か第4楽章のどちらか、記憶が定かではありません)で入れていました。その後はこのやりかたは今回まで接したことがありませんでした。私も雰囲気を壊さない良い方法だと思います。