チョン指揮東京フィルの第九
1. モーツァルト:アヴェ・ヴェルム・コルプスまずはアヴェ・ヴェルム・コルプス。伴奏は弦5部。ゆっくりのテンポとチョン特有の柔らかい表現が印象的な演奏でした。オペラシンガーズの合唱もチョンの要求に見事に応えたすばらしいものでした。個人的な好みからいうと、歌詞やメロディーの抑揚が表現されていないのが残念でした。先週と比べると、柔らかい味がよく出ていました。
2. ベートーヴェン:交響曲第9番
ソプラノ:アンナ・トモワ=シントウ(1)
アルト:寺谷千枝子(1)
テノール:福井敬(1)
バス:ディミトリ・ティリアコス(1)
チョン・ミョンフン指揮東京フィルハーモニー交響楽団
東京オペラシンガーズ
2003年12月28日 15:00 Bunkamura オーチャードホール
21日はここで休憩をいれたのですが、今日は休憩なしで第9へ。
演奏は前へ前へと進む推進力とオペラを思わせる劇的な表現に満ちていた演奏といえるでしょう。第1&2楽章はチョンの熱い表現が逆にアンサンブルの不安定さを招いている感もありましたが、第3楽章になるとチョンの美質でもある美しい音色と歌がでてきていました。第4楽章は本当にヴェルディのオペラを聞いているような劇的な演奏で、ティリアコスの独唱もその意に沿ったものではなかったかと思います。福井敬も前のめりになる傾向があるのですが、今日はそうならずにその美声を十分に聞かせてくれました。トモワ=シントウはなんとか声をコントロールしようとはしていましたがかなり辛い歌唱でした。
東京オペラシンガーズは本当に見事な出来。声の強靭とハーモニーの安定度は世界のトップクラスといっても過言ではないでしょう。
第4楽章の例のホルンですが3番が吹いていました。ややテンポを落としていましたが問題なくクリアしていました。終演後立たされた時には合唱団員やオケ団員からも盛大な祝福を受けていました。(ネットの書き込みをみているとオペラシティの演奏ではボロボロだったようですが・・・。少なくとも今日と先週の演奏では大丈夫。)
先週と比較すると、チョンが表現の幅を広く取っているのがよくわかりました。先週は初日ともあってやや押さえた演奏にしていたのかもしれません。今日の第1&2楽章にみられたアンサンブルの乱れも、表現の幅を広げた結果とも言えるでしょう。
今年はこれで演奏会通いはおしまいです。何本行ったかは数えるのが怖いのですが、来年はこのBlogを付け続けていれば明確になるはずです(笑)。
来年は1月10日が演奏会初めの予定です。
それではよいお年を。
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