ノーマン モノ・オペラ シャトレ座プロジェクトI
パリ・シャトレ座プロジェクトI ジェシー・ノーマン モノ・オペラモノ・オペラということで当然ほぼ出ずっぱり&歌いっぱなしなわけで・・・。片方だけでもかなりの負担なのに、2つを一晩で上演するノーマン・・・。
1. シェーンベルク : モノ・オペラ「期待」作品17 2. プーランク : モノ・オペラ「声」
ソプラノ:ジェシー・ノーマン
アルトゥーロ・タマヨ指揮 東京フィルハーモニー交響楽団
演出:アンドレ・ヘラー
2004年5月21日 19:00 東京文化会館 大ホール
豊かな声量と表現力が最後まで衰えないのは見事。前半のドイツ語にしろ、後半のフランス語にしろディクティションの見事でそれぞれの語感が良く出ていました。また、言語の雰囲気だけでなく言葉そのものもよく聞き取れました(声量の豊かな歌手の場合案外聞こえてこない場合もあるので)。「期待」での狂気と紙一重の主人公の心の変化、「声」での男を想う女声の微妙な心の表現。ダイナミックな表現だけでなく、細やかな感情表現まであの声で自由自在に歌えるのは驚異的なことなのかも。
指揮はタマーヨ。実に職人的で誠実な仕事ぶり。精緻なスコアを東フィルとともに良く消化していたと思います。ただ、曲(作曲家)の持つ雰囲気というか特有の音の表現についてはもっと求めたいかなと。シェーンベルクの艶っぽさみたいなものや、プーランクでのからっとした音(けだるさみたいなものは表出されていました)とか。毛色の違う曲を一晩に演奏するわけなので難易度は高いと思いますが。
演出はヘラー。「期待」では舞台の3方を森を表すモティーフを付けた壁で囲み、中央奥に家のようなものを配置。数体の遺跡から発掘された石像(土像)のようなものを配置。場の設定はノーマンが石像の間を歩き回ることと、照明で暗示。恋人のイメージは光の影、最後では中央億の家が二つに割れて強烈な光を放射する像で示していました。短いオペラなので場のイメージを印象付けるのは結構難儀かなあと思ったり。
一方「声」では二つ折りの壁、その前やや左にソファとテーブル。テーブルの上にはもちろん電話。非常にシンプルであとは歌手の演技力次第。最初、二つ折りの壁の真ん中に朱色の縦の線が現れそれが徐々に広がっていく。主人公の自殺までの心の変化(高まり)を示していてとても印象的でした。個人的には「声」の演出の方が「期待」よりもしっくりきました。
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