飯森範親/東京響/東響コーラス サマーミューザ マーラー:復活
明後日のサントリーホール公演もありますが、オーケストラの本拠地で聴きたいのは人情(?)。首尾よく職場を定時に出れたので、今日は飯森範親の振るマーラーの復活を楽しみに川崎へ。
フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2006このマエストロらしいダイナミックな動きのフィニッシュで曲が大団円を迎えたのは21時10分を少し過ぎていたでしょうか。演奏時間はもしかすると90分を超えていたかも。早めのテンポでダイナミックにぐいぐいと引っ張る演奏を想像していたのは、あっしだけでしょうか(苦笑)。そう思っちゃうほどに基本となるテンポはかな~り遅め。合唱を自ら指導、ヴァイオリン両翼配置のオーケストラ、細部にわたる入念な表情付け・・・。マエストロの「こだわり」は随所に感じられるのですが、わての耳にはどうもしっくりと入ってこない演奏でした。
東京交響楽団
・ マーラー : 交響曲第2番 ハ短調 「復活」
ソプラノ : カトリオーナ・スミス メゾ・ソプラノ : ヘレーン・ラナーダ
飯森範親指揮 東京交響楽団 (ゲスト・コンサートマスター:高木和弘) 東響コーラス (合唱指揮:飯森範親)
2006年8月4日 19:30 ミューザ川崎シンフォニーホール
第1楽章は意外と激しさは抑え目で穏やかな開始で、テンポはかなり遅めで入念に表情を施していくアプローチを採るマエストロ飯森。そのアプローチ故か音楽が平坦で、前に進んでいかない。金管にはかなりのプレッシャーになっているようで、細かなミスが目立っていました。このテンポで緊張感と流れが保てる前進性、そして音楽の中身の充実度が足りないような気がします。部分的には一直線に盛り上がる「らしさ」はあるものの、全然ドラマティックな音楽に聞こえてこないのはなんとも・・・。
よっぽど第1楽章が終了した時点で帰ろうかなと思ったのですが、途中で帰るのもポリシーに反するし、この後いいところもあるかなあと思い留まりました(笑)。その後の第2楽章と第3楽章も・・・(苦笑)。やっと私の耳を惹くようになったのは人の声が聞こえてきてからでした。
オーケストラが歌に寄り添ってこないので少し歌いにくそうでしたが、へレーン・ラナーダの歌う原光の素晴らしいこと。終楽章後半のカトリーナ・スミスも美しい声を聞かせて秀逸。そして、東響コーラスも少し言葉がカタカナ風で浅さを感じましたが、透明感のある安定したハーモニーを最後まで聞かせてくれました。結局、楽しめたのは第4楽章と第5楽章後半だけとはやっぱり寂しい。
二年前の春祭を聞いて少し外から内へと表現の幅を拡げてきたのかなあと思った飯森の音楽。今回は内側に、つまりミクロな部分にに拘りすぎてマクロ的な視点が欠けていたのではないでしょうか。どちらかというと、マクロをがっちりと作ってからミクロ的なものを掘り下げていくアプローチの方が飯森には合っているような気がします。
今日の東響はCb左/1Vn-Vc-Va-2Vnのヴァイオリン両翼配置で16型。東響コーラスは冒頭から入場して待機、PブロックとLA/RAのPブロックより2~4列にSATBと配置。ソリストは第3楽章終了後に入場し、指揮者の左にスミス、右側にラナーダを配置。金管と打楽器のバンダは左右の舞台裏で演奏していました。
Comments
まったく同感です。
えすどぅあさんのように、言葉をオブラートに包んで感想を書ければよかったのですが、ワタシはストレートにこきおろしてしまいました(笑)
底の浅い演奏というかなんというか・・・。
ま、お我ながら大人げないなと反省しています(^-^;
祭りだから仕方ないとあきらめるほかありません(笑)
器楽のみの楽章で音楽が流れてくれれば、まだ印象が違ったとは思うのですが・・・。あんなに音楽が停滞してしまってはねえ・・・。
> 言葉をオブラートに包んで
あっしとしては結構きつめに書いたつもりですばい(笑)。
12月に飯森さんのヤナーチェクのオペラを聴きにいこうかと思っているのですが、ちょっと不安になってきました・・・。
私もこの演奏聴きました。席のせいかと思っていたのですが、指揮、オケ、ソリストの息がいまいち・・・で、あれが飯森さんらしいのであれば、ちょっと・・・(苦笑)。
私は東響さんの演奏を初めて聴いたのですが、がっかり・・・。失礼しました。
(あくまで、私のイメージですが)飯森さんらしくない演奏だったと思います。復活は今回はじめてだったようですので、暖かい目で見てあげないといけないのかもしれません・・・。
東響はもう一度他の指揮者で聞いてみてください。現指揮者陣であればスダーンさん、もしくはカンナさんのご贔屓の指揮者で。
またミューザ川崎で、他のオーケストラで良い演奏を聞きに来てください。本当は良いホールなんです。自分が保証します。(って、ご存じですよね)
今回の飯森さんの復活、私にとって残念な演奏でした。数多く演奏会通いをしていると、そんな演奏会に当たってしまうこともあります。
言動云々はわかりませんけれども、東響はミューザを本拠地にしてから、よい方向へ伸びつつあるのではと思います。
折松葉さんのおっしゃるとおり、ミューザは本当に優れた音響を有するホールですね。今回の夏祭り、この復活とNJPを聞きました。神奈川フィルも聞く予定でしたが、生憎仕事が入って聴きに行くことが叶いませんでした。
復活って、演奏時間自体は普通75分位ですよね。それって交響曲としてコンサートで楽しむのにちょうど良い時間(ちょっと得した感じかな)だと思います。まぁ、良い演奏だったら時間なんて関係ないと言う意見も有るとは思いますが、やっぱし、人間の集中力なんて、知れたものですし。
自分は、読売と神奈川を聞きたいなぁ、と最後まで検討していました(どっちも日曜日)。結局家族の都合でNGとなりましたが。
神奈川(レクイエム?)は惜しい事でしたね。新日本(オーボエ?)はいかがでしたか?
いくつかのページを覗いてみましたが、予想どおり、厳しい評価が目立ちますね。でも、私は、この演奏は気に入っています。テンポにしても、恣意的に揺らしすぎていて、品がないし、バンダも下手。でも、一部で、仰るように流れが詰まりすぎて金管吹けないとか、そういうのを除くと、魅力的な瞬間が多かった演奏だと思いました。
金管を中心に、管を取り出して聴かせるアイディアや、配置を含めた音響のデザイン、最強奏部までエネルギーを積み上げていくときの巧さとか、このあたりは飯森らしいのではないでしょうか。
いろいろ足を運ばれているようなので、今後とも、よろしく、お世話になりたいと思います。失礼いたしました。
○折松葉さん
> 復活って、演奏時間自体は普通75分位ですよね。
そうですね、普通CD1枚から少しはみ出るくらいの時間ですね。josquin的にはテンポは遅くても構わないんですが、そのテンポで耳を惹き付ける何かが足りなかったような気がします。
> 新日本(オーボエ?)はいかがでしたか?
古部さんの吹くR.シュトラウスのオーボエ協奏曲、トリフォニーとミューザで都合2回聞くことが出来ました。明るく空間を漂うオーボエ、オーケストラとの緊密な対話が感じられてとともいい演奏でした。
○アリスさん
> 一部を除くと、魅力的な瞬間が多かった演奏だと思いました。
器楽楽章では流れの悪さに閉口していた私でも、弦の繊細な響きには魅力を感じました。
ただ全体的には、飯森さんの「らしさ」が「らしくなさ」に足を引っ張られてしまった印象が強かったです。
> 今後とも、よろしく、お世話になりたいと思います。
こちらこそ、よろしくお願いします。
ミューザでの、飯森さんにとって初の「復活」を私も聴きました。ショルティのCDを聴いた程度で、この曲をあまり知らなかったことと、終楽章の合唱団が私のすぐ近くで歌っていたこともあって、私は感動しました。飯森さんの演奏を聴き始めたのは今年からでしたし(東響は20年以上前から聴いていますが)、深く聴き込んでおられる皆さんの批判的なご意見は参考になりました。飯森さんの、オケをグイグイ引っ張る指揮には、私も魅力を感じています(ベートーヴェンの交響曲などで)。
なお、私はクラシック演奏会の感想を中心に書くブログをやっています(ほとんどがミーハーでベタボメな内容ですが。笑)。よろしければ、いらして頂ければ幸いですので、よろしくお願いします。長々と失礼しました。
同じコンサートでも(当然ながら)人によって受けとめかたはさまざまで、異なる感想を拝見するのも楽しみのひとつです(笑)。
OYさんのblog、ざっとですが拝見させていただきました。コンサートもいろいろと聞かれているようで、今後お邪魔することもあると思いますのでこちらこそよろしくお願いします。