えすどぅあ

コンサートやオペラの感想を中心とした音楽日記になったかなあ・・・。

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若杉弘/東京フィル サントリー定期 プフィッツナー/ブルックナー

新国立劇場オペラ劇場出口に「京王線が人身事故で遅れております」との掲示。もしかしたらと思いましたが、ほどなく電車が到着して無事間に合いました(笑)。コンヴィチュニーのティトを愉しんだ後は渋いドイツ音楽プログラム、若杉弘と東京フィルのプフィッツナーとブルックナーを聴きに初台から六本木一丁目へ。
東京フィルハーモニー交響楽団 第720回定期演奏会 サントリー定期シリーズ

1.プフィッツナー歌劇「パレストリーナ」 から 3つの前奏曲
- 休憩 -
2.ブルックナー交響曲第7番ホ長調(ノーヴァク版)

若杉弘指揮東京フィルハーモニー交響楽団
(コンサートマスター:荒井英治)

2006年4月22日 19:00 サントリーホール 大ホール
今日の東京フィルは弦楽を1Vn-2Vn-Vc-Va/Cb右。金管はホルンとワーグナー・チューバを右側に配し、トロンボーンとチューバを近くにした配置。弦の編成は全後半共に16型。

まずはプフィッツナーのオペラ「パレストリーナ」からの各幕への前奏曲。第1幕前奏曲の冒頭部分、第1ヴァイオリンのSoli4人とフルート4人の織り成す抑制された響きの美しいこと。外面的な効果を廃したプフィッツナーの渋い曲を、若杉弘が東京フィルから実に渋い燻し銀のトーンを引き出して丹念に描いていく。第2幕前奏曲の動的な動きを挟んで、第1幕と第3幕の前奏曲で聞かせる情感の豊かさは出色。これを聞けただけでもこの演奏会にきた甲斐があると思えるほど。若杉/東京フィル、快心の演奏ではないでしょうか。是非ともこの組み合わせで、このオペラの全曲上演を実現して欲しいと思わずにはいられませんでした。

後半はブルックナーの交響曲第7番をノーヴァク版で。第2楽章クライマックスのシンバルとトライアングルはそのまま生かした、ほぼ楽譜どおりの演奏と聴きました。やや遅めのテンポでじっくりと旋律を歌わせつつ、それに絡んだり支えたりする動きにも隅々まで肌理細やかに行き届く気配り。それぞれのパーツひとつひとつに血が通って、意味深く有機的に融合していくさま。そして、それらが重なり合って構築されれる壮麗な音の伽藍。ホルンの小技の冴えやトランペットの音色のまろやかさ等、細かいところへの注文はあるものの東フィルも渾身とも言える演奏でマエストロの棒に応えていました。ずっしりとした手応えの残る、素晴らしいブルックナーだったと思います。前半のプフィッツナーに負けず劣らず、若杉弘と東京フィルの横綱相撲を存分に堪能できました。

ピットでのマエストロ若杉の指揮には定期的に接していますが、オーケストラコンサートとしては昨年の夏に聞いた都響とのマーラー以来。時にスコアの線を隈取るような動きを見せるマエストロの棒に、鋭敏にではなく柔らかく受け止めて良い按配で反応する東京フィル。ブルックナーの音楽を情感豊かにかつ立体的に響かせるのに、もってこいの共同作業になっていたように感じます。今日の演奏を聴く限り、両者の相性は良好と言えるのではないでしょうか。オペラのピットだけではなく、コンサートホールの舞台上で両者の演奏を聞く機会が増えることを望みます。
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NHK-FM放送予定から(6/3-6/19) | えすどぅあ | 2006/06/04 02:29
コンサートの感想が相変らず停滞状態なjosquinです。いつもより1日遅れで届いたFMCLUBからNHK-FMのライブ放送予定を備忘録がてらメモしておくシリー...