G.ボッセ/新日本フィル 名曲シリーズ ハイドン
1月の紀尾井シンフォニエッタとのモーツァルト、今月上旬の神戸室内合奏団とのメンデルスゾーンそして今日のハイドンと今年に入ってこのマエストロの棒に3度も接することが出来るのは素直に嬉しい限り。ということで、今日はボッセ翁と新日本フィルのハイドン・プログラムを楽しみに錦糸町へ。
新日本フィルハーモニー交響楽団 名曲シリーズ クラシックへの扉 第59回今日の新日本フィルは小ぶりの室内オーケストラ編成、弦は最近の恒例いつもどおり1Vn-2Vn-Va-Vc/Cb右と並んで各パートの人数は10-8-6-4-3。舞台右奥にはチェンバロも置かれています。
1. ハイドン : 交響曲第80番ニ短調 Hob.I-80 2. : ヴァイオリン協奏曲第4番ト長調 Hob.VIIa-4 アンコール 3. : ヴァイオリン協奏曲第4番ト長調 Hob.VIIa-4 から 第3楽章 * 4. : 交響曲第85番変ロ長調 Hob.I-85 「王妃」 アンコール 5. : 交響曲第77番変ロ長調 Hob.I-77 から 第4楽章
ヴァイオリン : 白井圭(2&3)
ゲルハルト・ボッセ指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団 (コンサートマスター:豊嶋泰嗣)
2006年3月26日 15:00 すみだトリフォニーホール 大ホール
まず最初はパリセットに先立って79番や81番と共に3曲セットで出版された交響曲第80番から。第1楽章の冒頭は疾風怒涛の嵐というよりは全体の響きを重視した比較的穏やかな開始。新日本フィルらしい見通しの良いクリアな響きと、程よくブレンドされたまろやかさが共存。細かな弦の刻みも明確、各パートの動きがくっきりと聞こえます。リズミカルな動きが主体なる部分と、途中に何度も挟まれるメヌエット風の部分との対比もくっきり。メヌエット風の部分では入りでちょっとブレーキを掛けたり、絶妙な間が挟まれたりとボッセさんの巧みなのユーモアが愉しい。さくさくと歩む第2楽章も、大きな流れの歌とほんの少しテンポアップしたリズミカルな歌とのコントラストが明確。弦と共に動くオーボエが重要な第3楽章は、そのオーボエがトリオでやや不調だったのがちょっと残念。フィナーレは弦のため息のような音形とリズミカルな動きの違いがくっきりとあらわされて、展開部でため息音形が出た後は小気味よく走るプレストが鮮やかでした。
2曲目は1983年生まれの白井圭をソリストに迎えたヴァイオリン協奏曲第4番。オーケストラは弦楽とチェンバロ(この曲のみ)で、弦の人数は6-5-3-2-1とさらに小さな編成での演奏。ボッセは冒頭からNJPを生き生きと歌わせ、清潔な艶の響きの瑞々しい響きが美しい。そんな魅力的な序奏に続き、ソリストの白井圭もよく響きがのったニュートラルな音色で伸びやかに歌います。ボウイングも滑らかで、音楽の呼吸も自然でかなり好感度高し。第2楽章では(現時点では)白井に足りないコクや深みをボッセとNJPが巧みに補っていて、その見事なサポートに感心しきり。拍手に応えてボッセが指で"3"と示してNJPと白井圭に「もう一回やろうや」と(笑)。ほんの少しだけテンポアップし、小気味よさを増したフィナーレを再度披露してくれました。
後半はパリセットの中から「王妃」という名前の付けられた交響曲第85番。NJPの弦は再び10-8-6-4-3へ戻っての演奏。比較的穏やかな開始だった80番とは対照的に、きっぱりと物を言う滑舌の良い序奏から曲のスケール感が違うのが印象的。「王妃」という名前の由来ははっきりとしないようですが、ボッセとNJPの演奏を聴いていると我侭な王妃に周囲が思いっきりブン回されている感じがしてなりません(笑)。決してテンポが淀まない第2楽章の清潔な歌心、後半の荒川洋さん奏でるフルートの見事な囀りは鮮やか。第3楽章は管楽器がリレーするように絡むトリオが楽しく、フィナーレは再び滑舌の良い弦を中心にしてチャーミングな木管との絡みがとても魅力的でした。
"once more Haydn"とマエストロ・ボッセが告げて演奏したアンコールは85番と同じ調性をもつ77番のフィナーレ。速いテンポながらも細かな弦の動きがはっきりと刻まれ、疾風怒涛の如く駆け抜けたアレグロ。是非とも全曲を演奏して欲しいと思った程に見事でした。
こんな魅力的なハイドンを演奏してくれたボッセとNJPの組み合わせが次に聞けるのは、今のところアナウンスされている情報では来年の4月。ハイドンの交響曲86番ではじまって、モーツァルトからワーグナーを経てプロコフィエフの古典交響曲で締めくくるボッセさんらしいプログラムで、名曲シリーズへの登場が予定されています。でも、1年と少し先なんですよねえ・・・。NJPのミュージック・アドヴァイザーであるマエストロ・ボッセの登場する機会をもう少し(たくさんとは言いませんから(笑))増やして欲しいなあと思うのは私だけでしょうか・・・。
Comments
今までハイドンの交響曲をほとんど聴いてこなかった私にとっても今日の名曲シリーズは楽しいひとときでした。近くHMVから交響曲全集BOXが届くので、しばらくはハイドン漬けの生活を送ることになりそうです。果たしていつ聴き終えるのか自信がないですが・・・。
アンコールは77番だったんですね。(どんな間違いを書いたのかは「私の」名誉のために伏せておきますが)青ざめつつブログの記事を書き直しておきました。でも、あのアンコールは最高でしたね。
私はハイドンの交響曲箱、ひとつは開封して全部聞きましたが、二つ目は今回の耳慣らしでやっとこさ開封しました。まだ、3枚目ですが・・・全部聞けるんだろうか・・・(爆)。
アンコールの77番フィナーレ、本当に良かったですね。「間違い」は私も見なかったことにしておきます・・・。