えすどぅあ

コンサートやオペラの感想を中心とした音楽日記になったかなあ・・・。

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二期会 ラ・ボエーム 大岩千穂/福井敬/R.リッツィ・ブリニョーリ/東フィル

今年初となる二期会本公演の演目はプッチーニのラ・ボエーム(トゥーランドットだったらものすごくタイムリーだったのに・・・(笑))。大岩千穂のミミ、福井敬のロドルフォを中心とするキャストによる上演を楽しみに渋谷へ。
東京二期会オペラ劇場 ラ・ボエーム

ジャコモ・プッチーニラ・ボエーム
全4幕 字幕付原語(イタリア語)上演

ミミ大岩千穂
詩人ロドルフォ福井敬
画家マルチェッロ大島幾雄
ムゼッタ飯田みち代
音楽家ショナール宮本益光
哲学者コッリーネ斉木健詞
家主ベノア村林徹也
参事官アルチンドロ境信博
おもちゃ行商人パルピニョール森田有生
税関軍曹福王寺剛有
税関の役人東嶋正彦
プラム売り古島肇

ロベルト・リッツィ・ブリニョーリ指揮東京フィルハーモニー交響楽団
二期会合唱団
(合唱指揮:佐藤宏)
TOKYO FM少年合唱団
(合唱指導:太刀川悦代/米谷恵子)
(少年ソロ:篠木佑太朗)

演出鵜山仁

2006年2月25日 15:00 Bunkamura オーチャードホール
ホールにはいると、オーケストラピットの左側に張り出し舞台が設置されているのが目に入ります。会場の照明が落とされると張り出し舞台の下を通って、今日の指揮者ロベルト・リッツィブリニョーリが登場。指揮棒を持たずに大きな身振りで振るマエストロのもと、東フィルが明るく艶のあるサウンドを聞かせます。緩急自在にテンポを切り替えながらも音楽の推進力は豊かでリズムの切れ味も抜群。その思い切りの良さが表現の自然さにつながっている好例といえるかも。ロドルフォの福井敬は好調そうで、輝かしい声を聞かせています。マルチェッロの大島幾雄もまだまだ充分に若々しい張りのある若々しい声がいいですね。冒頭の2人のやり取りも当意即妙で、歌と演技のキャッチボールが楽しい。さらにショナールの宮本正光とコッリーネの斉木健詞が加わると、生き生きとしたキャッチボールの楽しさがますます倍加。幸先の良いスタートで今日は楽しめそうだなあと(笑)。

指揮のブリニョーリは前述の思い切りの良さだけではなく、ドッカーンとオーケストラを叫ばせないのが良いところ。舞台上の歌手達とのバランスを上手に取りながら、イタリアン・カンタービレを聞かせてます。ピアニッシモが主体となる抒情的な部分(第1幕後半や第3幕等)において、決して音の表情を失わずに繊細なカンタービレを聞かせてくれるのが憎いねえ。特にオーケストラだけの部分ではぐっとテンポを落としたりするのですが、それがちっともあざとくならず魅力的に聞こえる。どんなダイナミクスやテンポを取っても、ひとつひとつのフレーズの示すドラマが感じられるのはたいしたものです。聞き手の涙腺を緩ませるツボも外しません(笑)。そんなブリニョーリの棒に東フィルも十二分に応え、明るく艶のあるサウンドと良好なアンサンブルを聞かせてくれました。第2幕の合唱(二期会合唱団+TOKYO FM児童合唱団)も生き生きとした歌声を聞かせてくれていました。

ロドルフォの福井敬は第1幕から好調。力強い表現も柔らかな表現も、声の密度が薄くなることがない。高音の輝きも十分、決め所も外していませんでした。ショナールのベテラン大島幾雄はまだまだ声に張りがあって若々しい。生き生きとした演技だけでなく、自分の声で表現できる強みを存分に発揮。ショナールの宮本益光も舞台上で生き生きと動き、生彩感に富んだ歌も素晴らしい。コッリーネの斉木健詞は張りのある声を生かし、青二才な哲学者を好演。第4幕では声に優しさが出ていたのが印象的でした。この4人の生き生きとした歌と演技のアンサンブルは本当に楽しかった。

男声4人に対して女声2人はやや分が悪かったかも。ミミの大岩千穂は第1幕では低い声があまり響かず。ドラマティックさよりも繊細で情感を込めることに専念した歌唱。終幕の表現力は見事で、そのはかなさが涙をさそっておりました。ムゼッタの飯田みち代も低い声が立たない感あり。高い声は良く響き、第2幕のワルツは周りをぶん回すムゼッタの性格が良く出ていました。

鵜山仁の演出はオーソドックスで落ち着いた色調の舞台装置と衣装を使い、細かいところまで神経の行き届いた演技付けでボヘミアン達のキャラクターを丁寧に描いた好演出。第2幕では子供達が客席から登場し、オケピット左側にしつらえた階段から舞台へ。最後には太鼓と金管のバンダが舞台を左から右へと横断し華やかな舞台を作っていました。スタンダードとして末長く楽しめる演出だったと思います。

昨年5月のホール・オペラ以来の生ラ・ボエームでしたが、充実した演奏と舞台で充分に楽しむことができました。本当はカーテンコールの最後まで拍手を送りたかったのですが、訳あって最初に6人が出てきたところまででホールを後にしたjosquinなのでした・・・(謎)。
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