えすどぅあ

コンサートやオペラの感想を中心とした音楽日記になったかなあ・・・。

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村治佳織/C.アルミンク/新日本フィル 多摩定期 ハイドン/ロドリーゴ/シベリウス

今日の後半で演奏されるシベリウスの交響曲第5番は、先週スケジュールの都合で前半だけ聞いた演奏会の後半に予定されていた曲。前半には無事療養から復帰した村治佳織が登場するのも、遠くまで足を運ぼうと思った理由のひとつ。昨日の「火刑台上のジャンヌ・ダルク」に続いてアルミンク/新日本フィル連荘、多摩定期を楽しみに小田急多摩センターへ。
新日本フィルハーモニー交響楽団 第50回 多摩定期演奏会

1.ハイドン交響曲第70番ニ長調 Hob.I-70
2.ロドリーゴアランフェス協奏曲
アンコール
3.タレガアルハンブラ宮殿の思い出
4.シベリウス交響曲第5番変ホ長調 作品82
アンコール
5.グリーク「ペールギュント」第1組曲 作品46 から 朝

ギター村治佳織(2&3)

クリスティアン・アルミンク指揮新日本フィルハーモニー交響楽団(1,2,4&5)
(コンサートマスター:豊嶋泰嗣)

2005年2月12日 15:00 パルテノン多摩 大ホール
うまいこと多摩急行に乗れたこともあり、小田急多摩センターに到着したのは14時ちょっとすぎ。何せはじめて行くところなので勝手がわからないのですが、三越(というよりは大塚家具)の6階で昼食をとってからホールへ。

新日本フィルの多摩定期、主催はNJPで多摩市の文化振興財団が提携して開催されています。それ故か無料で配布されたプログラムは、トリフォニー定期等で配布されている物と同一の体裁のもの。中身も先週の名曲シリーズの2曲目をアランフェス協奏曲に入れ替えた以外は同一の内容でした。パルテノン多摩のサイトではアランフェスとシベリウスの2曲しか掲載されていませんでしたが、先週1曲目に演奏されたハイドンの交響曲第70番をまた聞けるのが嬉しいところ。

今日のチケットは某プレイガイドのサイトで一般発売日に予約したものですが、出てきた席はなんと最前列ほぼ中央。josquinはオーケストラの演奏会では1階席前方はまず選ばないのですが、村治佳織の登場ということですぐ完売になるかもしれないし、ギターを聴くならそのほうが良いだろうと30秒ほど考えてぽちっと。実際に座ってみると丁度チェロ最前列の譜面台が目の前にありました・・・。

プログラムの1曲目は先週も名曲シリーズで楽しんだハイドンから。もちろんオーケストラは先週と同じ 1Vn-2Vn-Va-Vc/Cb右の配置で編成は8-7-6-4-3、ティンパニはバロック・タイプを使用。今日も見通しの良い豊かな響きをベースに、颯爽としていながらも潤いにも欠けていない演奏が愉しいかぎり。最前列で聞いても、ピッチやアンサンブルが隅々までびしっと整えられているのが良くわかる。これなら舞台から離れて聞いてもいてもびしっとした印象は与えられる理由です。アルミンクの動きを真近に見ているとどういう表現を求めているのか良くわかる。そういえば、時折メロディーを歌う声が聞こえるなあと思ったら、その主はマエストロその人でありました。アルミンクは結構歌いながら振っているんですね、意外な発見でもありました(笑)。

プログラムの2曲目は有名なアランフェス協奏曲。昨年10月に第2楽章だけをパークニング(ケーニック/NJP)の演奏で聞いていますが、全曲を演奏会で聞くのは今日が初めて。オーケストラの弦はハイドンと同じ人数での演奏。村治佳織は冒頭から粒立ちの良く豊かな響きを感じさせるサウンドで、芯の強さと気風の良さを感じさせ、決して弾き急ぐことなく表情豊かな演奏を披露。アルミンク/NJPも適切な音量バランスで万全のサポートぶり。冒頭のギターから始まるリズムを経て、ヴァイオリンに現れる軽快なメロディーの澄んだ響きが美しい。第2楽章はイングリッシュホルンのソロを経たギターソロから始まる部分が白眉でした。幻想的な雰囲気の高まりを音色を変化させて表現してオーケストラに受け継ぐ。再びソロになると音の美しさよりも熱気を帯びた激しさを重視した思い切りの良い表現から再度オーケストラに引き継ぐ。村治自らが先導している様子がわかって頼もしい限り。アタッカで入った第3楽章冒頭はほころびが耳に付き、村治自身の歯車が少しずれてしまったのかもしれません。それでも、徐々に立て直して元に戻してしまいましたから立派なものです。ギターソロにはPAが使用されていましたが、人工的な感じはなく自然な音響サポートとなっていたことを付け加えておきます。

拍手に応えたアンコールは名曲、アルハンブラ宮殿の思い出。細かい音形で紡がれるメロディーはもとより、伴奏音形までも豊かに歌わせていたのがとても印象的でした。村治佳織は人気があってチケットが取りにくいのですが、今度は是非ともリサイタルを聞いてみたいものです。

プログラムの後半は先週聞くことが出来なかったシベリウスの交響曲第5番。当然、弦は増強されていて14-12-10-8-7の大きさ。第1楽章冒頭はすっきりと晴れた朝のイメージで木管の歌も瑞々しい。このコンビらしさが良く出ていて、見通しの良い響きが印象的。そして、滅多に座らない最前列で聞くと弦の動きが良くわかるのが面白い。木管等とは違う動きをしていて、なかなか合わせにくそうな感じがします(もちろん、今日の演奏はちゃんと合ってましたよ(笑))。第2楽章も木管が彩るのどかな歌が美しく、それを支える弦もまた美しい音色を聞かせてくれます。第3楽章は前半の弦の細かな刻みを中心としたアンサンブルがびしっと決まっていました。弦がメランコリックな旋律を歌い上げた後、息の長いコーダも集中力を切らさずにフィニッシュ。最後の和音は少し見得を切っても良いと思うのですが、そうしないのはアルミンクらしい(笑)。アルミンクとNJPらしいクリアで見通しの良い音楽が魅力的な演奏でしたが、第1楽章等はもう少し幽玄な雰囲気があっても良いかなあと。シベリウスにしては、少し見えすぎな感じがしないでもありませんでした(笑)。

アンコールはペールギュントから朝。フルートとオーボエのソロを中心にし、弦の澄んだ響きと共に美しい演奏を披露してくれました。

パルテノン多摩大ホールはワンスロープ形式で座席数は約1400と程良い大きさ。左右の壁は下部が石材そして上部はコンクリートで構成。今回は最前列でしたので全体の響きは掴めませんでしたが、響きの癖はあまり感じられず悪くない印象を持ちました。次の機会にはもう少し後ろの普通の席で聞いてみたいものです。
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Comments

折松葉 | 2006/02/16 22:11
本当に良い演奏会に色々行かれていますね。
パルテノン多摩は、昔、多摩センターにそごうがあった頃良く行きました。ホールはまずまずなんですが、演目(演者)が好みの物が無くって最近は行かないんですが、この演目は良いみたいですね。アルハンブラですが、やっぱし、大ホールでギター生音は無理でしょうね。ちょっと寂しいですが。。。
多摩センターですが、去年映画館(ワーナーマイカル)が出来て、結構人が戻ってきたみたいです。
三越の6階でお昼ですか、しゃぶしゃぶ食べ放題か中華料理がお薦めですが、どっちにしろチェーン店ですので、多摩センターの味って程ではないんです。そごうがあった頃はおいしい紅茶屋さんがあって、超お薦めだったんですが。今は昔のお話です。
josquin | 2006/02/17 02:05
折松葉さん、こんばんは。

> 大ホールでギター生音は無理でしょうね。

大きいホールでは良い条件が揃わないと難しいでしょうね。何年か前に鈴木大介が、オペラシティのコンサートホールでリサイタルをおこなったときはPAなしだったのを思い出しました。

> 三越の6階でお昼ですか、しゃぶしゃぶ食べ放題か中華料理がお薦め

どちらも混んでいましたので、空いていたお蕎麦屋さんにはいりました(笑)。また行く機会があったら入ってみようと思います。
折松葉 | 2006/02/17 20:03
こんばんは、折松葉です。
オペラシティの、あの長方形ホールでギター生音っすか。すごいですね。確かにバロック系の音楽だったらあのホール、かなり鳴ると思います。でも、やはり小ホール位が良いでしょう。
ところで、アルミンクさんって歌うんですか?唸るんではないんですね。唸るといえばこばけんですが、歌う指揮者と唸る指揮者、どっちもどっちじゃないでしょうか。
josquin | 2006/02/18 02:10
> 唸るんではないんですね。

アルミンクさん、時折メロディーを歌っておりました。
近くの席でしたので、舞台から離れた席では聞こえないかもしれません。唸る人はどこに座っても聞こえますし・・・。

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