V.フェドセーエフ/東京フィル/東京オペラシンガーズ サントリー定期 ショスタコーヴィチ:森の歌
プログラム前半に置かれたカリンニコフの交響曲第1番も是非とも聞いてみたかったのですが、先週は平日にリング2連荘だったのでなかなか難しい・・・。今日はフェドセーエフと東京フィル、そして東京オペラシンガーズの森の歌を楽しみに六本木一丁目へ。
東京フィルハーモニー交響楽団 第715回定期演奏会 サントリー定期シリーズホールへ到着したのはカリンニコフの第1楽章途中。最近の東フィル主催公演は楽章間の途中入場は出来ないので、ロビーでパソコンを開きぱちぱちとやっておりました。
2. ショスタコーヴィチ : オラトリオ「森の歌」 作品81 (フェドセーエフ版)(日本初演)
テノール : 福井敬(2) バリトン : 牧野正人(2)
ウラディーミル・フェドセーエフ指揮 東京フィルハーモニー交響楽団 (コンサートマスター:荒井英治) 東京オペラシンガーズ (合唱指揮:船橋洋介) 東京少年少女合唱隊 (合唱指揮:長谷川久恵)
2006年1月20日 19:00 サントリーホール 大ホール
カリンニコフが終わってブラヴォーの声も聞こえ、15分間の休憩後はショスタコーヴィチの森の歌。今日の東京フィルは16型の弦で1Vn-2Vn-Vc-Va/Cb右の配置、ティンパニをはじめとする打楽器が左側にまとまっていました。合唱は舞台奥左から少年少女→女声→男性の並び、ソリストは合唱団の最前列で歌っていました。
実はjosqin、ちゃんと聴いたことがなかったんですわこの曲。ショスタコーヴィチってこんなに毒がなかったかなあ、と思えるほどに健康的な音楽。先日、大野/NJPで聞いた交響曲第4番とは対極の位置にあるといってもいいかも(同じ人が書いたとは思えない、笑)。いかにもプロバガンダ的な歌詞を見ないで聞いても、ロシアの風景と労働者が目に浮かぶのは先入観ありすぎかなあ(爆)。
フェドセーエフはいたずらに力瘤を立てることのない自然な音楽作りで、曲の持つ素直な美しさを表出。毒の無い健康的な音楽をそのままの美しさ聞かせてくれた好演。第1曲からフェドセーエフ特有の柔らかな風合いが弦を中心に印象的でしたし、第2曲や第4曲でのリズミカルな動きも楽しい。第4曲の東京少年少女合唱団も愛らしも美しい歌を披露。そして、この演奏の白眉ではないかと思ったのが第6曲。福井敬のソロも声が温まるにつれて本領を発揮していましたが、イングリッシュ・ホルンのソロから導かれる東京オペラシンガーズの美しいアカペラ合唱が格別の味わい。他の曲では力強さも聞かせてくれた彼らですが、この曲ではピアニッシモでも安定した声のコントロールで純度の高いハーモニーを聞かせてくれました。途中のフルートも美しく吹かれていましたね。今日はこの曲を聞けただけでも満足かもしれません(笑)。終曲のフーガも段々とスケール感を増していくさまが見事でした。第1曲をはじめとする牧野正人のソロは、この曲を歌うには少し声のキャラクターが明るく軽いかも。東京フィルは適度な艶を湛えながらも、ニュートラルなサウンドで美しい演奏を披露していました。
ロシア勢の演奏だったらもっと灰汁がたっぷりと感じられる演奏になるのでしょうが、今日のような自然で美しい演奏も良いものです。でも前半を聞いていない故でしょうか、なんとなく物足りなさを胸にしてホールを後にしたのは私だけかなあ・・・。
Comments
《森の歌》、おっしゃるとおり第6曲のアカペラが本当に美しかったですね。ただのロシア系爆演指揮者とは違うフェドセーエフの丁寧な作り込みが、全曲にわたってプラスに働いていたと思います。
サントリーホールでもソリストは合唱団と同じ立ち位置でしたか。私の座った席のせいかもしれませんが、なんだか声が前のほうに届いてこなくてもどかしかったような気がしました。特にあれだけ巧い合唱団の中にいるとなんだか埋没してしまっていたような。。
何年か前に同じ東フィルとのジュピターを聞いたときに、あの棒の動き同様に冒頭をすごく柔らかく演奏させていました。そのとき以来フェドセーエフはただの爆演系指揮者ではないと、私も思っておりますし今度の演奏もそうでしたね。
ソリストの声は座席位置にもよるかなあと思います。指揮者の位置でもないと、前方座席だと聞こえてこないかもしれません。おっしゃるように、東京オペラシンガーズが強力で巧すぎるせいもあるかもしれませんね。