えすどぅあ

コンサートやオペラの感想を中心とした音楽日記になったかなあ・・・。

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新国立劇場 小劇場オペラ#15 セルセ 高野二郎/平井秀明

昨年3月のザザ以来、久しぶりにおこなわれる新国立劇場の小劇場オペラ。このオペラのアリア「オンブラ・マイ・フ」は、むかしキャスリーン・バトルが歌ったCMで一躍有名になったっけ。今日はヘンデルのセルセを楽しみに初台へ。
新国立劇場 小劇場オペラ THE PIT OPERA #15
ヘンデル セルセ


ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルセルセ
全3幕 イタリア語上演/字幕付

セルセ高野二郎
アルサメーネ羽山晃生
アマストレ山下牧子
ロミルダ山本真由美
アタランタ文屋小百合
アリオダーテ片山将司
エルヴィーロ小野和彦

平井秀明指揮新国立小劇場オペラ・アンサンブル
(コンサートマスター:渡部基一)
新国立小劇場合唱団

演出三浦安浩
振付伊藤範子

2006年1月14日 15:00 新国立劇場 小劇場
客席に足を踏み入れると劇場のど真ん中に舞台、オーケストラは舞台の(玄関側から見て)右側に配置。1階客席は(玄関側から見て)前後、2階は四方から舞台を囲むことになります。この小劇場オペラでは、オーケストラが舞台の後ろで演奏したいたことはありましたが、このような設定は今回が初めてでは。

三浦安浩の演出は、音楽が始まる前から登場人物達が出てきて芝居を開始させます。舞台はさしずめ新宿中央公園のロケ現場といったところ。ロケの内容は映画「セルセ」の撮影で、それに関わるキャストのみならずスタッフまでが現実世界から徐々に「セルセ」へ移行していってしまうという設定。ソリストも合唱も歌い踊り、はたまた第2幕冒頭では平井マエストロまで芝居に参加したり、休憩中も舞台上では何かしていて合唱はロビーまで行進しながら歌ったり、さながらミュージカルのような雰囲気。あちこちに笑いのネタを散りばめられており、飽きさせずに楽しませようという意図もよくわかる。でも、あまり「現実」と「虚構(セルセ)」の対比は際立たない感じがしました。もうひとひねり欲しい気がする。また、アリアを歌っている周りで(踊りを含めて)人がよく動くので、歌を楽しむにはちと騒々しく(小さな空間なので、視覚的にも)て気を取られるかも。音楽に集中できるような工夫が欲しかったなあと思います。カーテンコールではブーイングも飛んでいました(個人的には昨年のジュリアス・シーザーの演出よりは良かったと思いますが・・・)。

今回はセルセとアルサメーネはいずれも男声。高野二郎と羽山晃生はこういう舞台にうってつけではないでしょうか。2人とも生き生きとした歌と演技を披露してくれていました。特に、高野二郎は歌って踊れるオペラ歌手の本領発揮といえるかも。ロミルダの山本真由美はヴィブラートも強く様式的にはもっとも遠い歌手ですがその妖艶さは魅力的。アマストレの山下牧子は上手いですねえ、様式的にも出演者中随一の適合度。芯の強いキャラクターをよく演じ歌っていました。初日健康上の理由で降板したアタランタの文屋小百合は無事復活、清潔感のある歌い口が好印象でした。アリオダーテの片山将司は張りのある力強い歌唱で好印象、何故か犬になってしまったエルヴィーロの小野和彦は道化を一人で背負った感じでしたが、随所でいい味を出していたと思います。

平井秀明指揮する新国立小劇場オペラ・アンサンブル(もちろん現代楽器)はいまひとつピリッとしない感じ。音程もリズムの切れもいまひとつ。平井の棒があまりリズミカルな印象を与えないせいもあるとは思いますが、せめてリズムの躍動感がもう少しあると良かったと思います。歌手達はそれぞれしっかりと歌えていたので、歌への影響はほとんどありませんでしたが側面からのバックアップは欲しいところ。僅か6名の合唱は癖のない声と美しいハーモニー、そして生き生きとした歌を聞かせてくれました。また、踊りも稽古の成果が良く出ていたのではないでしょうか。

いろいろ書いておりますが(笑)、明日も別キャストの公演を聴く予定です。
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新国立劇場 小劇場オペラ#15 セルセ 大槻孝志/平井秀明 | えすどぅあ | 2006/01/15 12:46
昨日もいわゆるAキャストの公演に接したのですが、Bキャストの公演をもう一度聞くことにしました。今日もヘンデルのセルセを楽しみに初台へ。
A.ベネント/C.アルミンク/新日本フィル トリフォニー定期 オネゲル:火刑台上のジャンヌ・ダルク | えすどぅあ | 2006/02/11 14:55
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