飯守泰次郎/東京シティ・フィル&コーア/明響 第九特別演奏会
丁度一年前、すなわち昨年聞いた最後のコンサートはこのコンビの第九。今年も演奏会通いの最後はこれで締めることにしました。仕事納めでアルコールを我慢し(笑)、飯守泰次郎と東京シティ・フィルの第九を楽しみに上野へ。
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第九特別演奏会ここ何年か飯守泰次郎と東京シティ・フィルの第九では1曲目に武満徹の作品が演奏されていましたが、今年は第九のみの一本勝負。josquin的には開演が19時30分というのが嬉しいところ。
1. J.S.バッハ : 管弦楽組曲 第3番 ニ長調 BWV1068 から エア 2. ベートーヴェン : 交響曲 第9番 ニ短調 作品125「合唱付き」
ソプラノ : 緑川まり(2) メゾ・ソプラノ : 加納悦子(2) テノール : 福井敬(2) バリトン : 島村武男(2)
飯守泰次郎指揮 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 (コンサートマスター:戸澤哲夫) 東京シティ・フィル・コーア(2)/混声合唱団 明響(2) (合唱指揮:相良文明/藤丸崇浩)
2005年12月28日 19:30 東京文化会館 大ホール
舞台上のオーケストラは1Vn-2Vn-Vc-Va/Cb右の配置、弦の編成は14-12-10-8-7。合唱はS-T-B-Aの並びですが、女声が多いこともあって後ろ2列は女声がS-Aで並んでおりました。ソリストは合唱団の最前列にS-A-T-Bの配置で、第2楽章終了後に入場していました。
合唱団とオーケストラが入場しチューニングを終えると、指揮者の飯守泰次郎がマイクを持って登場。「合唱団を指導していた相良文明さんが先月癌で亡くなりました、バッハのアリアを演奏します。」と告げて追悼の意を込めた音が奏でられました。
バッハのアリアの演奏の後、飯守泰次郎は舞台袖に戻らずに第九を開始。このコンビがドイツ物で披露してくれる、落ち着いたテンポ設定で聞かせてくれる音楽のずっしりとした感触はやはりとても魅力的です。音楽の流れに即して、ひとつひとつの和音でその重さの違いが描き分けられているのが素晴らしいところ。飯守泰次郎が聞かせるきりっとした見得切りも、程良いアクセントになっています。存在感のある人物がはっきりと核心を突く物言いを聞いているような第1楽章、その重量感ゆえかトリオのほうがテンポが早く感じられる第2楽章、第3楽章は弦のピッチの正確性と音色の魅力がもう少し欲しかったかなあ。終楽章はしっかりとドイツ語で歌っている低弦のレチタティーボに始まり、一層の力強さが際立つ演奏でした。オーケストラのアンサンブルがやや甘いところも散見されましたが、十二分に聴き応えのある演奏だったと思います。
オーケストラの中では重量感の一端を担っていたティンパニ奏者と第3楽章の難所を柔らかく存在感のあるサウンドで見事に吹いていたホルンの4番奏者に拍手を。合唱はパート間の人数バランスの悪さがやや裏目に出てしまったところはあるものの(アルトの人数が突出していてソプラノと男声は気張らなくてはならず、余裕のない歌声になっていたところがありました)、言葉をしっかりと発音し力強い歌声を披露しておりました。飯守泰次郎の要求に応え、健闘していたと思います。ソリストの中では福井敬が安定度を増していたのが印象的。以前はともすると前のめりになってしまう傾向があったのですが、力強い声でしっかりとテンポにのった歌声を披露していました。
当日配布された東京シティ・フィル・コーアの団員募集案内チラシによれば、来年も飯守&東京シティ・フィルの第九演奏会は12月28日に行われるようです。来年もjosquinのコンサート納めは彼らの第九かも・・・。
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