飯守泰次郎/東京シティ・フィル&コーア/明響 第九特別演奏会
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第九特別演奏会昨年に続いて今年も第九一曲に絞った東京シティ・フィルの第九、30分遅い開演時間は個人的にとっても嬉しい。オーケストラは1Vn-2Vn-Vc-Va/Cb右の配置で、弦の編成は14-12-10-8-7。ホルンが木管群から離れた位置、ヴァイオリン群の後方に配置されているのが少し目を惹くところでしょうか。合唱はSATBの並び、ソリストは合唱の前にSATBと並び第2楽章終了後に舞台上へ入場していました。
・ ベートーヴェン : 交響曲第9番ニ短調 作品125 「合唱付き」
ソプラノ : 大岩千穂 メゾ・ソプラノ : 小山由美 テノール : 小貫岩夫 バリトン : 久保和範
飯守泰次郎指揮 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 (コンサートマスター:戸澤哲夫) 東京シティ・フィル・コーア (合唱指揮:藤丸崇浩) 混声合唱団 明響 (合唱指揮:高宮恭子)
2006年12月28日 19:30 東京文化会館 大ホール
がっつりとドイツ語を喋るような飯守泰次郎のアプローチはいつも通りなのですが、東京シティ・フィルはいまひとつぴりっとせずに指揮とうまく噛み合いません。指揮者にきっちりついていく弦楽セクションは良いものの、木管セクションが先走り気味で個人技も冴えずアンサンブルも粗く残念。飯守泰次郎節ともいえる独特の溜めが効きません。滑舌が曖昧になってしまてますし、場面転換ででも風景がさっと変わらず、音楽の流れもあちこちで淀みが生じていました。ホルンが木管と離れて配置されている故か、音が溶け合わず一体感が不足しがち。弦のアンサンブルは良いものの、第3楽章では弱音の響きの豊かさが不足しがちで、歌がするすると流れないのが惜しい。
そんな状況でも、第3楽章の難所をきっちりと決めた4番ホルン。第2楽章でティンパニがソロで「タン、タタン」と叩くリズム、後ろの同音となる「タタン」を二つの釜に分けて叩き両方の音の響きが残るような工夫をしていたり。耳を惹く部分はあったのですが、全体的に飯守泰次郎のアプローチが生かされない演奏となってしまっていたのは残念でした。
でも、人の声が入ってくるとしっくりくる音楽になるのは曲の素晴らしさ故でしょうか。久保和範は高い音域で詰まったような声になってしまいピッチが僅かに低く感じるのが惜しい。小貫岩夫はニュートラルな声ですがやや声量が不足気味。合唱はトレーニングの成果が良く現れていて、難所でややアラが出てしまうところはあったものの飯守の要求に応えた健闘を評価してよいと思います。
来年のこの組み合わせの第九は1日繰り上がって12月27日、ちょっと苦しいかもしれませんが都合がつけばまた聞いてみたいと思います。来年は是非とも指揮者とオーケストラががっちりと噛み合った演奏を期待して・・・。
(2007.1.7 記)
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