二期会ニューウェーブオペラ ジュリアス・シーザー 田村由貴絵/鈴木雅明/BCJ
昨日に続いてヘンデル三昧な休日の二日目。今日もジュリアス・シーザーを楽しみに王子へ。
二期会ニューウェーブオペラ劇場 ジュリアス・シーザー(エジプトのジュリオ・チェーザレ)今日も鈴木雅明率いるBCJは素晴らしい演奏を披露。昨日と比べると、速いテンポの部分での踏み込みがほんの少し鋭かったかと思います。本当に終始安定したパフォーマンスで魅力的なヘンデルを奏でてくれました。
・ ヘンデル : 歌劇「ジュリアス・シーザー(エジプトのジュリオ・チェーザレ)」 全3幕9場 字幕付原語(イタリア語)上演
ジュリアス・シ-ザー(ジュリオ・チェーザレ) : 田村由貴絵 コルネリア : 星野恵里 セスト : 田上知穂 クーリオ : 大井哲也 クレオパトラ : 星川美保子 プトレマイオス(トロメーオ) : 諸田広美 アキッラ : 斉木健詞 ニレーノ : 庄司祐美
鈴木雅明指揮 バッハ・コレギウム・ジャパン (コンサートマスター:高田あずみ) 二期会オペラ研修所 第50期本科研修生(&賛助出演者6名)
演出 : 平尾力哉
2005年10月16日 15:00 北とぴあ さくらホール
昨日よりも個性の強い面子が揃ったソリスト達。まずはクレオパトラを歌った星川美保子に拍手を。ちょっと触れただけでもすぐに壊れそうな危うさをもったクリスタルな声の輝きを武器にして、ヘンデルの音楽を最小限の味付けで丁寧に歌っていく姿勢が非常に好ましい。細かな音の転がしも見事にこなしていましたし、生き生きとした活気としっとりとした美しさの双方が両立出来ていました。歌い回しがこなれていないところや、深い呼吸が欲しいところもありましたがそれを補って余りある魅力的な歌唱を披露してくれました。
チェーザレは田村由貴絵。昨日の山下牧子同様に第1幕は本調子ではなかった様子。第2幕以降は声の艶も増し、力強さが出てきました。細かな音の転がしが今ひとつこなれていないのが惜しい。のどとお腹がうまく連動していない感じかなあ。それが改善されれば立派なチェーザレになることでしょう。
プトレマイオスは諸田広美。声が太めで、悪役にはもってこいの声の強さがありますね。細かな音形がもう少しこなれて歌えると、そのキャラクターがもっと生きたと思います。
アキッラは斉木健詞。押し出しの強い明るい声に豊かな声量と、昨日の萩原潤とは正反対のキャラクター。役柄の強さは充分に出ていましたが、やや一本調子の感あり。バロックの様式感もいまひとつで、もうすこし引く部分が欲しいところ。剛一本やりではなく柔の表現力を磨いて欲しい。カーテンコールでは星川美保子に次ぐ拍手を得ていました。
コルネリアは星野絵里。昨日の橘今日子よりは声の深みがやや浅い感じはありますが、情感を声に上手にのせた歌唱を披露してくれました。
セストは田上知穂。小回りの効く快活なキャラクターが身上。この役らしい勢いもありますし、技術的にも非常に確かなものを持っています。第3幕のアリアは存在感が増すともっと強い印象を与えられると思います。今後の成長に期待したいと思います。
クーリオの大井哲也とニレーノの庄司祐美も的確な歌唱を披露していました。
二期会オペラ研修所の合唱も、昨日同様に美しく生き生きとした歌声を披露していました。
平尾力哉の演出はやっぱり意図がよくわかりませんでした。今日は演出を意識しないで聞いていました・・・。
本当に今日は鈴木雅明/BCJと星川美保子のクレオパトラに尽きますね。このオペラに再度接することができるのはいつかは不明ですが、昨日今日と二日続けて聞けてよかったなあと思ったjosquinでした。
そういえば、チェーザレがホルンソロを従えて歌うアリアの途中で結構大きな地震がありました。演奏は微動だにせずに続いていたのはさすがプロ。この前のように電車の中でなくて良かった(^^ゞ。
Comments
二日とも行かれたのですね!うらやましい。。
音楽的には(歌手・オケともに)総じて大満足でした。こういったレベルの公演はやはり「○○周年記念」のような機会でないと実現しないものなんでしょうか^^;;
演出は、小さなネタが多すぎてひとつの方向に集約しにくかったのは否めないと思いました…。
まったく地震には驚きましたね!個人的に今年は6月のアルバン・ベルクに続いて二度目の「演奏会+地震」で、なんだか心配になってしまいます。
今回を逃すと・・・、と思って連荘してしまいました。
本当にもっとこういう機会が増えて欲しいですよね。