C.ヘルマン/P.スタインバーグ/N響 A定期 モーツァルト/ベルリオーズ
神奈川フィルの演奏でフランス音楽を楽しんだ後は、みなとみらい駅から渋谷行きの特急へ乗車。スタインバーグ指揮するN響の演奏を聴きに渋谷へ。
NHK交響楽団 第1548回定期公演 AプログラムNHKホールに着いて当日券を購入して入場し北側ロビー方向へ歩いていくと、開演前の室内楽が終わったようで拍手が聞こえてきました。ということで今日はいきなり本編から。今日の指揮者であるピンカス・スタインバーグは凄く懐かしい名前のような気がするのですが、プログラムを読むと1945年生まれで今年60歳とのこと。そんなに懐かしく思うような年齢ではありませんでしたね(笑)。
1. モーツァルト : セレナードニ長調 K.239「セレナータ・ノットゥルナ」 2. モーツァルト : ピアノ協奏曲第23番イ長調 K.488 休憩 3. ベルリオーズ : 幻想交響曲作品14a
ピアノ : コルネリア・ヘルマン(2)
ピンカス・スタインバーグ指揮 NHK交響楽団 (コンサートマスター:條崎史紀)
2005年9月10日 18:00 NHKホール
プログラムの前半はモーツァルトの作品をふたつ。最初はセレナータ・ノットゥルナ。独奏を務めたのは篠崎史紀(1Vn)、永峰高志(2Vn)、井野邉大輔(Va)そして池松弘(Cb)。ヴィオラはもしかしたら佐々木亮かも(ちょっと自信なし)。トゥッティは10-8-6-4(この曲Cbはない)でヴィオラが外側の配置。弦そしてティンパニの音が美しく溶け合った柔らかくてやさしいモーツァルト。まったく刺激的なところのない、ニュアンス豊かな演奏でした。
2曲目はコルネリア・ヘルマンを独奏に迎えて第23番の協奏曲。オーケストラは12型の編成、この曲にはオーボエが含まれていません。ヘルマンの演奏を聞くのは記憶が正しければ3回目で、何れもモーツァルトの協奏曲でした(ボッセ/都響との20番、アルミンク/NJPとの26番そして今日の23番)。1977年生まれと若い彼女は決して勢いで弾き飛ばさずに、朴訥とも言えそうな程一つ一つの音を丁寧に打鍵していきます。そのせいか現代ピアノを弾いていても、ちょっとフォルテピアノみたいな趣があります。表情付けも丁寧ですし、チャーミングな遊び心も感じられます。色合いの変化がもっと出てくると更に大人のモーツァルトになるような気がします。スタインバーグとN響はセレナータ・ノットゥルナ同様に調和の取れたサウンドで優しくぴったりとソリストを支えていました。
後半はベルリオーズの幻想交響曲で、弦の編成は16型へ増強。スタインバーグは第1楽章から最終楽章まで手綱をきりっと引き締め、オーケストラを聞く醍醐味を素直に感じさせてくれる好演でした。第3楽章まではさしたる特徴はないものの安心して聞けるオーソドックスな解釈で聞かせ、第4楽章ではいくつかのフレーズをテヌート気味に演奏させて断頭台へと歩む重い足取りを表現、最終楽章ではほんの少しずつテンポを上げながらオーケストラの手綱を絞っていく構成とオーケストラ捌きが見事。どぎつい表現や奇をてらったような解釈はないものの、作品をニュートラルに聞くことが出来る演奏。N響も最後まで安定したアンサンブルでスタインバーグの職人気質な棒に良く応えていました。
そういえばN響定期で無料配布されるプログラム、きちんと曲目解説が載った以前の体裁に戻っていました。昨シーズン配られていた簡素化したものはやっぱり不評だったんでしょうね(笑)。
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