超絶技巧を看板にして世界にその名をとどろかせているこのお方、なかなかスケジュールが合わなくて今迄聞くことができなかったピアニストのうちの一人。やっと聞くことができます(笑)。プログラムはアルベニスのイベリア全曲といううってつけのもの。今日はマルク=アンドレ・アムランのピアノを聞きに初台へ。
マルク=アンドレ・アムラン ピアノ演奏技法探究シリーズ No.9 Aプログラム
1. | イサーク・アルベニス | : | 組曲「イベリア」全曲 4集からなる12の"新しい印象" |
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第1集 | エボカシオン(喚起) |
| エル・プエルト(港) |
| セビーリャの聖体祭 |
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-アンコール- |
2. | ジョージ・アンタイル | : | ジャズ・ソナタ |
2005年9月11日 14:00 東京オペラシティ コンサートホール
前述のとおりアムランの演奏を耳にするのは今日がはじめて。「完璧なテクニックと豊かな音楽性を持つ」なんて宣伝文句に全く嘘偽りがない。凄いピアニストなのが良くわかりました、ほんとに。
ピアニスト泣かせの難曲が揃うといわれるアルベニスのイベリア全曲を、ほぼ完璧なまでに音として再現した上で暖かさと気品そして濃厚なスペイン的な味わいを堪能させてくれた素晴らしい演奏でした。楽譜にある音を弾くというだけではなく、正確なテンポとリズム、メロディーとリズムのバランスはもとより絡み合った各声部のラインが明確に見える見事なピアニズム。そのピアニズムによって音が濁らずに民族的なメロディーやリズム、様々な楽器や効果音等の様々な要素が手に取るように見えてくる。民族的なリズムの揺れ具合やメロディーの歌わせ方も、音楽の持つフォルムの美しさを失わせないさじ加減。どちらかというと味付けは薄味なんだけど、食べてみると味わいはとっても濃厚みたいな。そして特筆したいのが弱音のコントロールの素晴らしさ。楽譜の弱音記号に"p"がいくつまで記述してあるのかは知らないのだけれども、"p"の数がわかるような気がするほど。超弱音でも音の輝きが失われず、なんともいえないデリケートな詩情と気品が漂うんだからたまらない。この弱音で聴衆の耳を釘付けに出来れば、強音は気張らなくてもダイナミクスは自然と広く感じさせられるのは当然のこと。客席もこの弱音を聞き逃すまいと、息をするのも憚られるような静けさと集中力が感じられましたね。こんなに客席が静かだったのは、ヴァンスカとラハティ響のシベリウス・ツィクルスの時以来の体験かも。
アムランのピアノ、他のピアニストとは明らかに次元が違いますね、もう個々の曲に触れません、始めると止まらなくなりそうなので(笑)。
アンコールはアンタイルのジャズ・ソナタ。アルベニスとは打って変わって強靭なピアニズムを発揮した痛快きわなりまい演奏。あれだけ叩いても音が全然崩れないし、ふっとはさまれるピアニッシモがこれまた美しいアクセントになっていて素晴らしい限りでした。
14時開演で16時前に終演と時間的には短めでしたが、アムランの素晴らしい演奏を十二分に堪能できて至極満足(笑)。明日も紀尾井ホールでベートーヴェンとアイヴズのプログラムでコンサートが予定されていますが、生憎聞くことが出来ないのが残念。また次回の来日の時に是非とも足を運びたいと思います。今日は、映像収録(恐らくNHK)が実施されていましたので後日放送されるものと思われます。
Comments
TV放映は少し先でしょうか。
TV番組チェックをまめにしなくては。
情報、感謝です。(^v^)v
http://www.nhk.or.jp/bsclassic/hvcc/hvcc-2005-10.html
地上波やBS2ではもっと先になるんでしょうね。
ものすごくよい曲です。
カイエ・ドウ・スコープを買いましたが入ってませんでした。楽譜が入手できたら弾きたいですねえ。。