えすどぅあ

コンサートやオペラの感想を中心とした音楽日記になったかなあ・・・。

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SKF2005 オーケストラAプロ ロストロポーヴィチ/SKO

青少年のためのオペラのあと街中で時間を潰してから、昨日と同じプログラムの演奏会をもう一度聴くため、路線バスに乗って総合体育館前へ。
サイトウ・キネン・フェスティバル松本 オーケスラトコンサートAプログラム


1.チャイコフスキーバレエ組曲「くるみ割り人形」 作品71a
休憩
2.チャイコフスキー交響曲第5番ホ短調作品64
ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ指揮サイトウ・キネン・オーケストラ
(コンサートマスター:ジェニファー・ギルバート(1)/豊嶋泰嗣(2))

2005年8月26日 19:00 長野県松本文化会館
プログラムは昨日と同一で、前半は「くるみ割り人形」組曲。オーケストラは今日は欠員もなく弦16型のヴィオラ外側通常配置。早いテンポの「小序曲」、今日は冒頭からぴたりとあったアンサンブルを聞かせてくれます。オーケストラの音離れも良くなっていて、艶のある響きが聞こえてきます。昨日感じられたオーケストラがロストロポーヴィチの棒への戸惑いもほぼ解消され、ロストロポーヴィチの意図を生かしながらも自然でこなれた音楽になっていました。指揮者の緻密な要求に応えようとして生じてしまった傷は今日の方が大目でしたが、音楽の生彩感が勝りほとんど気になりません。「中国の踊り」での木管が奏でるぐるぐると機械仕掛けのように回転するような感じが面白く出ていました。終曲「花のワルツ」もシンフォニックかつ大きなスケールで聞かせながらも、優雅な雰囲気を決して失わない音楽作り。中間部のヴィオラとチェロが奏でるメランコリックなメロディーの味わいも格別。大きな枠のなかで決して大味にならない緻密なオーケストラコントロールが光りました。ちょっとした意思疎通の違いで音楽の生彩が異なってくるんですから面白いものです。最後の大見得切りも今日は納得できました(笑)。

後半の第5交響曲も昨日より良かったなと。指揮者とオーケストラ間の意思疎通(というと大げさかも)とオーケストラの音離れの改善。分厚い弦をベースとして浪々と歌い上げた演奏の基本はそのままに、響きの充実と見通しの良さと音楽の自然な生彩がより感じられました。今日の演奏で聞くとロストロポーヴィチとSKOが緻密な練習をして演奏会に挑んでいるのが良くわかります。大きなスケールをもった音楽をベースにしながら、ハーモニーやパート間の音量バランスはもとより表情付けにいたる細部まできちんと作りこまれている。これには本当に感心。昨日より音楽の流れがれた良かったた第1楽章。第2楽章の冒頭は指揮者が明確に出を示さずに奏者に任せながらも憂いの表情を引き出し、だんだんとじゅわーっと染み出してくるようなあたたかい音楽。そして今日もパイラントのホルンソロもそのあたたかな音楽の流れに沿った見事なもの。クライマックスの強烈さもインパクト大。細かな動きを緻密に再現した音楽作りが光る第3楽章。そして終楽章は昨日よりも音楽の生彩があって、ロストロ節もばっちりと決まっていましたね。スタイルは多少古いかもしれないけど、広大なスケール感と緻密さが見事に両立された見事な演奏だったと思います。今日の演奏ならば私も納得でございます(笑)。
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