高橋アキ/井上道義/読響 定期演奏会 スクリャービン:プロメテウス
スクリャービンのプロメテウスは色光ピアノを使った照明に関する指定があることで有名。しかしながら照明演出付きでこの曲を聞ける機会はあまりない(と思う、私も今日がはじめて)。井上道義が指揮だけでなく、自らの手で照明演出をおこなうのも興味津々。というわけで、半額の後半額券を狙って六本木一丁目へ。
読売日本交響楽団 第440回定期演奏会コンサートの前半はペンデレツキの広島の犠牲者に捧げる哀歌と武満徹のカトレーンの2曲でした。
3. スクリャービン : 交響曲第5番作品60「プロメテウス-火の詩」(照明演出付き)
ピアノ : 高橋アキ(3)
井上道義指揮 読売日本交響楽団 (コンサートマスター:小森谷巧)
舞台演出 : 井上道義 映像美術 : 網代将登 照明 : 山本高久 シンセサイザー : 鈴木隆太
2005年7月19日 19:00 サントリーホール 大ホール
19時15分頃ホール前に到着し、SUBWAYで小腹を満たしつつしばし休憩になるのを待つ。19時40分頃に休憩になったので、後半券を買って入場すると舞台上は仕込みの真っ只中。
「今宵一晩、皆様を骨抜きにして見ます!」と題された井上道義自身が執筆した PROGRAM NOTE によれば、自筆スコアには全ての小節に細かな色の指示が書き込まれているんだそうです。「指示されたものの解釈」にミッチーと演出スタッフが頭をひねった結果は如何に。
舞台上はピアノと16型(チェロ外側)のオーケストラがところ狭しと並び、それぞれの譜面台にはピットでの演奏のように照明装置が付けられている。そして舞台真上には短冊状の白い布がピアノをかたどったイメージで吊るされています。オーケストラメンバが揃ってチューニングも終了し、井上道義が登場。照明が落とされ、(ゼウスに捧げた)牛をイメージしたキャラクターが投影されて演奏開始。
井上道義という指揮者は、こういう曲を飽きさせずに面白く聞かせる(そして見せる)のが実に上手い。比較的すっきりとした響きを読響から引き出して、曲に含まれている様々なキャラクターを明確に浮かび上がらせてくれる。ミッチーダンスも披露しながら・・・(^^♪。照明はクライマックスでオルガンを山に見立て噴火を表したところから、「プロメテウス-火の詩」を「火山」をイメージして構成したもの。そこに至るまでは音楽のフレーズや流れにあわせて様々な色彩がめまぐるしく変わる。変化の仕方もオーケストラのパートにフォーカスを当てたりと様々な工夫が施されていて飽きない。最後はホール全体を明るい照明で包んで曲が終わりました。
井上道義の音楽作りに起因するとは思うのですが、「照明>音楽」のバランスだったかなあという気がします。もう少し有無を言わさずに聞き手をノックアウトするような、大きな流れと豪華絢爛なサウンドで陶酔させてほしいような気もしました。でも、初めて照明演出付きでこの曲を体験できて良かった(^^♪。井上道義のこの試み、今回だけではなく何度か上演して練り上げてほしいと思います。
スクリャービンのプロメテウス、来年2月にアシュケナージがN響と演奏するようです。N響の2005/2006シーズンのパンフレットによれば、色光ピアノを製作したうえで照明演出付の上演になるとのこと。今回の上演と比べてみるのも一興かと(笑)。
最後に一言、やっぱりこういう曲は頭で聞いたらあかんのだなあと思いました(笑)。
Comments
照明による視覚的な刺激を音楽表現の演出に用いているということでしょうか?
あるいは、コラボレーション?
・・・とにかく五感で楽しめそう。(^v^)
すごく気になります。
レポート感謝です~
来年のN響、忘れないようにします!
音と光のコラボレーションでしょうね。音から光へ、光から音へと相互補完(あるいは刺激)と思いました。
来年のN響、どんなイメージを提示してくれるのか興味があります。是非体験してみてください。