樫本大進/チョン・ミョンフン/東フィル サントリー定期 ショスタコーヴィチ/ドヴォルザーク
ディスクや放送ではともかく「どぼはち」を演奏会で聞くのはかな~り久しぶり(少なくともこのblogを書き始めてからははじめて)。大進君(もう君付けする年齢でもないですね)のタコさんと「どぼはち」が演奏されるチョン/東フィルの演奏会を聴きに中二日で赤坂へ。
東京フィルハーモニー交響楽団 第710回定期演奏会 サントリー定期シリーズ前半はショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番、ソリストは久しぶりに聞く樫本大進。オーケストラはヴィオラ外側の配置で14-14-12-10-8の編成。(個人的に)あんまり相性の良くない樫本大進がどう演奏するか不安でもあり楽しみでもあったり・・・。さてその演奏ですが、心配する必要はなかったなと(笑)。緊張感を湛えながら丹念に歌を紡いだ第1楽章「夜想曲」、弾き飛ばすことなく一つ一つの音符をしっかりと音にしつつショスタコーヴィチらしいスケルツォの面白さを出していた第2楽章、第3楽章のパッサカリア後半の長大なカデンツァの徐々に熱を帯び激しくなっていく表現の素晴らしさ、終楽章も第2楽章同様に音符をきちんと音にすることに意を傾けた好演でした。ヒラリー・ハーン(ヤンソンス/BPOの来日公演)のように鮮烈に鋭利な刃物で切れ込む演奏とは性格の異なる、落ち着いた味わいのある音色を武器に誠実に作品の内面に迫った演奏だったように聴きました。チョン/東フィルも第1&3楽章の沈静した響き、第2&4楽章の樫本の意を汲みつつ締まったテンポで支えた見事なサポートぶりでした。樫本の演奏は今日で数回聞いていますが、彼の演奏スタイルがやっとわかったような気がします。
1. ショスタコーヴィチ : ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調作品77 休憩 2. ドヴォルザーク : 交響曲第8番ト長調作品88 アンコール 3. ドヴォルザーク : 交響曲第8番ト長調作品88 から 第3楽章
ヴァイオリン : 樫本大進(1)
チョン・ミョンフン指揮 東京フィルハーモニー交響楽団 (コンサートマスター:三浦章広?)
2005年7月22日 19:00 サントリーホール
後半は本当に久しぶりに生演奏で聞く「どぼはち」。オーケストラの編成は16-16-14-12-10。チョン・ミョンフンらしい熱さ、激しさそして繊細な美しさが満遍なく盛り込まれた演奏。第1楽章冒頭のチェロのメロディーのスケール感、そしてフルートのさえずり、幾分テンポを落として演奏される弦楽のちょっとしたフレーズのなんとも新鮮な響き。ぐいっとメリハリの効いたダイナミックな音楽との対比が実に効果的。第2楽章も美しかったけど、第3楽章のメランコリックな歌わせ方がなんともいえない味わい。第4楽章は速めのテンポで、熱さにうねりを加えた盛り上りが素晴らしい。速いテンポに良く付いていった大活躍のフルートにも拍手。
チョンが指で「3」と指示し、拍手に応えてのアンコールは素晴らしかった「どぼはち」の第3楽章を再度。本編よりはリラックスした優美な味わいの勝るこれまた魅力的な演奏でした。
このプログラムの演奏会、31日にミューザ川崎でのフェスタ・サマーミューザでも披露されます。東フィルの主催公演より安めのチケット価格になっていますし、音響の優れたミューザ川崎でのチョン/東フィルを聞いてみては如何でしょうか。私は別の予定が入っていて行けませんが・・・(^^ゞ。
Comments
私も以前チョンの指揮で、「どぼはち」に心震わされました(オケはシュターツカペレ・ドレスデン)。それ以来、チョン・ファン(名前みたい)です。
ドヴォルザーク8番もそれ以来、好きな曲です。。「どぼはち」って略すと居酒屋みたいな響きになりますが。
チョン指揮の「どぼはち」、久しぶりのせいもあるかもしれませんが新鮮な気持ちで聞くことが出来ました。「どぼはち」、出版の関係で音楽内容とは無関係の「イギリス」なんて渾名がレコードの表記にあったのを思い出しました(古い話ですが・・・笑)。