岩城宏之/東フィル/東混 サントリー定期 ラヴェル・プログラム
昨年6月に長年の垢を落としたような新鮮なドヴォルザーク「新世界」を聞かせてくれた岩城宏之指揮する東フィル。今回の東フィル定期への登場はラヴェルとレスピーギの二つのプログラム。まずはラヴェルのバレエ音楽を二つ並べたプログラムを聴きに六本木一丁目へ。
東京フィルハーモニー交響楽団 第708回定期演奏会 サントリー定期シリーズマ・メール・ロワとダフニスとクロエの両曲は組曲の形で接することが多い作品。一夜で双方を全曲版の形で聞けることは滅多にない機会。このプログラムが発表されてから、是非聞かねばと楽しみにしておりました。
1. ラヴェル : バレエ音楽「マ・メール・ロワ」全曲 休憩 2. ラヴェル : バレエ音楽「ダフニスとクロエ」全曲
岩城宏之指揮 東京フィルハーモニー交響楽団 (コンサートマスター:荒井英治) 東京混声合唱団(2) (合唱指揮:山田和樹)
2005年6月24日 19:00 サントリーホール 大ホール
前半はマ・メール・ロワ全曲。弦楽器はヴィオラ外側の通常配置、編成は8-6-4-4-2でほぼ東京室内フィル(笑)。岩城さんが振るとオーケストラの響きがすっと整理され、楽譜が透けて見えるように聞こえてくるのはいつもながら不思議。ラヴェルの仕掛けたちょっとしたユーモアに少し表情を付けること以外は、淡々と楽譜を音にする事に徹して進めていく音楽作り。テンポも恣意的に動かすこともないし、浪花節的に思いいれたっぷりに歌わせる事もない。でも出てくる音楽は室内楽的な美しさに満ちていて、繊細な表情と豊穣な響きからファンタジーが自然に立ち上ってくる。岩城さんの棒がプレイヤーに余計なプレッシャーを与えずに、各自が無理なく表現する余裕を与えているからでしょう。「美女と野獣」のコントラ・ファゴットのユーモアのセンス、比較的ゆっくりと演奏された「パゴダの女王」ではなにやら妖しげな雰囲気が漂ってくるのが面白い。そして終曲の「妖精の園」、やっぱりこの曲好きだなあ(^^♪。歌わせわせすぎずに、ふわっとした感触の弦の繊細な響きの美しいこと。こうでなくてはいけません、歌いこんではいけないのですこの曲は(と決め付けてみる、笑)。東フィルも岩城さんの意図を良く汲んだ上で、美しい響きで応えていました。また、各楽器のソロも見事な演奏を聞かせてくれました。もし、次回があるならばもう少し小さめのホールで聴きてみたいなあと思わずには居られませんでした(サントリーホールが悪いというわけではありません、あくまで欲を言えばの話ですハイ)。
後半はダフニスとクロエ全曲。弦の編成は当然ながら16型へと増強。打楽器と鍵盤楽器は左側に集められた関係からか、合唱は最後列やや右寄りの配置。編成が大きくなっても岩城さんの余計なことを極力抑えた楽譜優先のアプローチは変わりません。むやみに急いだり煽ったり歌いすぎたりということを全くと言っていいほどしない。ラヴェルの仕掛けたユーモアを少しアクセントにしているくらい。整ったニュートラルな響きを基本としながらも、ちゃんとフランスというかラヴェルの艶や香りは漂ってくる。鳥のさえずりを模したような描写的な部分も自然に表現されているし、細かなディティールの繊細な美しさと全体を大きく捉えた大きな流れとスケール感にも事欠くことがない。熱狂を強調するような音楽にすることも多いフィナーレ「全員の踊り」でも、最初からの積み重ねをしっかりとしていればことさら大騒ぎする必要はないということの証明のよう。本当に最初から最後まで東フィルの自発性を生かしながら、しっかりと手綱を引き小一時間をあっという間に聞かせてくれる。そんな岩城さんの熟練の手腕が光っていましたし、東フィルと東混もその棒に良く応えた素晴らしいダフニスでした。
明後日のレスピーギ「ローマ三部作」も楽しみになりました(笑)。
Comments
ラヴェルのバレエ音楽ですか、
記事を読んでいたらうっとりしてきちゃいました。
あまりチャンスがないかもしれませんが、機会がありましたら是非是非聞いてみてくださいませ。この2曲はお薦めです。
「マ・メール・ロワ」の8.6.4.4.2は、本当によかったですね。今日の「リュートと古代舞曲」も同じでしたが、あのサイズって、聴いているといろいろなことを発見できる大きさなのかもしれません。
レスピーギ・プロのことも、またちょっと書きます。演奏の詳細というより、ちょっとおもしろかった経験のことですが。
私もあの弦のサイズは絶妙だったなあと思います。
そういえば、金曜日も日曜日も高校生がたくさん聴きに来てましたね。「松」と「祭り」ではノリノリで聞いている生徒もいてなんかいいなあと思ってしまいました(笑)。