えすどぅあ

コンサートやオペラの感想を中心とした音楽日記になったかなあ・・・。

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ヘレヴェッヘ/フランダース・フィル ベートーヴェン交響曲全曲連続演奏会IV

一昨日に続いてヘレヴェッヘ/フランダース・フィルのベートーヴェン・ツィクルスを聴こうと思って定時退社。しかし、職場を出るタイミングが少し遅れ、交通の足がうまく繋がらなくて・・・。遅刻覚悟で錦糸町へ。
フィリップ・ヘレヴェッヘ ロイヤル・フランダース・フィルハーモニー管弦楽団
ベートーヴェン交響曲全曲連続演奏会 IV

1.ベートーヴェン交響曲第8番ヘ長調作品93[ベーレンライター版]
-Intermission-
2.ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61[ブライトコプフ版]
-Intermission-
3.交響曲第5番ハ短調作品67「運命」[ベーレンライター版]
-Encore-
4.交響曲第8番ヘ長調作品93 から 第2楽章

ヴァイオリンアレクセイ・バルケヴィッチ(2)

フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮ロイヤル・フランダース・フィルハーモニー管弦楽団
(コンサートマスター:Dimitri Ivanov ?)

2005年6月10日 19:00 すみだトリフォニーホール 大ホール
やっぱり幸運は続かないもので、当日券売り場に到着したところで第8交響曲の演奏開始。めげずに当日券を購入してホールへ。ロビーのスピーカーから流れる演奏を聴きながらロビーで第1楽章が終わるのを待ちました。

てなわけで、第8交響曲の第2楽章からホール内で聴きました。オーケストラは水曜日同様にコントラバスを舞台最後列に並べたヴァイオリン対向配置で、編成は10-10-8-6-5。このホールでの演奏も4日目、ホールの響きに慣れてきたのか一昨日よりずっと水分が抜けてきて見通しの良い響きが聞こえてきます。リズムの面白さ、アクセントやアタックも鋭くなってきていてそれが心地良い。何箇所か勇み足があったものの、踏み込みが良くて生き生きとした音楽になっているのが好ましい。ホルン首席は田園でも吹いていた女性、今日も第3楽章のトリオを中心に誠に美しい限り。

一旦休憩を挟んでからヴァイオリン協奏曲へ。ソリストは当初バイバ・スクリデが予定されていましたが、急遽出演者の強い希望(ってなんだろう、笑)で変更となり、水曜日にコンマス席に座っていたアレクセイ・バルケヴィッチが代役として弾きました。額面通り急な変更だったようで、オーケストラとソリストが噛み合わない。ゆったりと歌いたいバルケヴィッチと前へ前へと進めたいヘレヴェッヘ。第2楽章以降は噛み合わせの悪さも気にならなくなってきましたが、どちらかというとヘレヴェッヘとオーケストラが主役の演奏で、第2楽章の柔らかく暖かな音色が魅力的でした。バルケヴィッチは暗譜で弾いてはいましたが、細かなパッセージのほころび、ピッチの不安定さ、そして表現が練れていない印象がありました。線は細いけれども、清潔ですっと伸びる高音の魅力を持っているので、きちんとした機会を捉えて再度聞いてみたいものです。

再び休憩を挟んでから第5交響曲へ、編成はヴァイオリンが増えて12-12-8-7-6。運命の動機の最終音を自然な減衰に任せるやりかたの徹底。ヴィブラートをかけて伸ばすよりも、動機の部品としての位置付けが際立ちます。その部品の集大成として第1楽章が成立しているというのがすごくよくわかる演奏。その部品ががっちりと組み合わさった力強さはなかなかのもの。オーボエのカデンツァ、楽譜のアドリブ指定を生かしていましたね。第2楽章の柔らかさと力強さの対比、第3楽章スケルツォで漂う愉悦。そして、輝かしいフィナーレ。第8交響曲同様何箇所か勇み足があったり、ヘレヴェッヘの意図がうまく演奏に反映されていないところもあったりするのですが、表現の踏み込みの良さというか思い切りの良さが十二分にそれを補っている演奏でした。こういう演奏なら充分納得できるし、彼らの意図もよくわかりますね。

アンコールは第8交響曲の第2楽章。今日も本編より肩の力の抜けた愉しい演奏でした。

ヘレヴェッヘはホルン首席奏者のキャラクターの違いを積極的に活用しているような気がします。柔らかい風合いを求めたいときは女性首席(6番、8番、Vn協)、ブイブイと迫力を求めたいときは男性首席(エグモント、2番、5番)と。木管等の首席は殆ど同一メンバでしたので興味深く感じました。
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ヘレヴェッヘ/フランダース・フィル ベートーヴェン交響曲全曲連続演奏会V | えすどぅあ | 2005/07/06 00:08
昨日の金聖響/都響の第九に続いて、年末でもないのに第九が二日続けて聞けるのは珍しい。ヘレヴェヘ/フランダース・フィルのベートーヴェン・ツ...