えすどぅあ

コンサートやオペラの感想を中心とした音楽日記になったかなあ・・・。

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エキルベイ/シンフォニア・ヴァルソヴィア/アクサントゥス室内合唱団 LFJジャポン ベートーヴェン:カンタータ2題&悲歌

昨日、素晴らしいベートーヴェンのミサ・ソレムニスを聞かせてくれたRIAS室内合唱団(と他の出演者の皆さん)の他にラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンで聴きたいと思っていた合唱団がもうひとつあります。それは、ローレンス・エキルベイ率いるアクサントゥス室内合唱団。ワゴンセールで買ったブラームスとシューマンのディスク(FNAC 592293(リンクしようと思ったのですが、検索しても見つからないのでディスク番号のみ記しておきます))を聞いてから、是非生で耳にしたいなあと思っていた合唱団。今日も夜遅い公演なのですが、池袋から有楽町へ。
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン ベートーヴェンと仲間達 シンフォニア・ヴァルソヴィア アクサントゥス室内合唱団

1.ベートーヴェン皇帝ヨーゼフ2世葬送カンタータWoO.87
2.ベートーヴェン四重唱曲「悲歌-生けるごとく安らかに」作品118
3.ベートーヴェンカンタータ「海の静けさと幸ある航海」作品112

ソプラノ?(1)
アルトHemene Moulin?(アクサントゥス合唱団員)(1)
テノールJean-francois Chiama?(アクサントゥス合唱団員)(1)
バス(バリトン)?(1)

ローレンス・エキルベイ指揮シンフォニア・ヴァルソヴィア
(コンサートマスター:Aleksandra Bienkunska?)
アクサントゥス室内合唱団

2005年4月30日 21:15 東京国際フォーラム ホールC
このプログラムで演奏される3曲は生で聞ける機会の非常に少ないばかり。「海の静けさと幸ある航海」をFM放送(ウィーン時代のクラウディオ・アバドがよく取り上げていたっけ)で聞いたことがあるくらい。

1曲目は「ヨーゼフ2世葬送のカンタータ」、ベートーヴェン19歳の時の作品。皇帝ヨーゼフ2世の葬送のために依頼されたが、作曲が間に合わなわずお蔵入りになった経緯があるようです(楽譜が発見されたのは19世紀末だそう)。モーツァルトを思わせるような愉悦感があったり、後のベートーヴェンの特徴の萌芽があちこちに聞かれます。最初と最後に置かれた合唱曲の冒頭のオーケストラによる前奏はフィデリオの第2幕冒頭(地下牢獄の場面)とよく似ているし、バスのアリアの劇的な構成やなかなか終わらないしつこいコーダの片鱗もある(笑)。アクサントゥス室内合唱団の"Tod"が不思議な静謐感を湛えた繊細なハーモニーで歌われます。あの好印象はディスクだけのものではなかったなと(笑)。バスのレチタティーボとアリアのダイナミックな音楽を、品のある美しい声で歌ったバス(バリトン)(BCJによく登場するヨッヘン・クプファーに似ているような気がする・・・)のソリストが見事でした。エキルベイもダイナミックなアクションに相応しい、静と動のメリハリのしっかりとついた音楽作りに好感が持てました。

2曲目は「悲歌」、1814年にベートーヴェンが住んでいた家の大家さんの奥さんを痛むために書かれた曲。歌詞はその大家さん(パスカラーティ男爵)のものと言われています。「悲歌」と題されていますが、陰鬱とした悲しみではなくて透明かつ穏やかな悲しみに彩られたいい曲ですね。オケの暖かな歩みに続いてアクサントゥスの作り出す繊細なハーモニーのなんともいえない美しさ。この曲であれば一般のアマチュア合唱団でも容易に歌えるのではないかな。

最後は「海の静けさと幸ある航海」(プログラムの表記)、一般には「静かな海と楽しい航海」の表記の方が馴染みがあるかもしれません。この曲でも「海の静けさ」の繊細で品のあるアクサントゥスのハーモニーが印象的、そして「幸ある航海」での喜びのコントラスト。声量を増しても荒さを微塵も感じさせず繊細な声とハーモニーのイメージは変わらずに、生き生きとした表情で歌った見事さ。エキルベイの指揮も全後半のメリハリが良く効いたもので好感が持てる音楽作りでした。

生で聞く機会が少ない作品を非常に高いクォリティで聞かせてくれた演奏会でした。アクサントゥス室内合唱団の素晴らしい合唱はもとより、シンフォニア・ヴァルソヴィアも終始美しい音色を奏でてエキルベイの指揮に充分に応えていたと思います。終演後、オーケストラと合唱が舞台を去っても拍手が鳴り止まず、エキルベイが再度一人舞台上へ登場し盛大な拍手を受けていたのも納得の演奏会でした。

しかし、こんなに優れた合唱団の演奏会が計2回だけとはもったいない。ハ長調のミサでも演奏してくれたら良かったのに・・・。

会場入り口で配られていた簡易ながらコンパクトによくまとったプログラム。1曲目のソリストが明記されていないのは残念。アルトとテノールはアクサントゥス室内合唱団の団員が歌っていました、またバス(バリトン)は前述のとおりヨッヘン・クプファーに似てるような気がしましたが、ソプラノはだれか見当つきませんでした・・・。

最後に、オケの配置はチェロ外側の通常配置。編成は1曲目と2曲目が12-10-8-5-3、3曲目が14-12-10-7-5でした。
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