えすどぅあ

コンサートやオペラの感想を中心とした音楽日記になったかなあ・・・。

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ハチャトゥリアン/バルシャイ/N響 A定期 モーツァルト/ストラヴィンスキー/ベートーヴェン

今日は何故か手持ちのチケットがなく、どのコンサートに足を運ぼうかなあ(笑)。ちょっと考えた挙句、指揮者、ソリストそして曲目までも一部変更となったN響A定期を聴きに明治神宮前へ。
開演前の室内楽

1.プーランクホルン、トランペット、トロンボーンのためのソナタ
アンコール
2.クリスマス&お正月メドレー(?)

ホルン今井仁志
トランペット井川明彦
トロンボーン池上亘

2004年12月20日 14:15 NHKホール 2階北側ロビー
NHK交響楽団 1531回定期演奏会 (PROGRAM A)

1.モーツァルト交響曲第35番ニ長調 K.385「ハフナー」
2.ストラヴィンスキー室内オーケストラのための協奏曲「ダンバートン・オークス」
休憩
3.ベートーヴェンヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61
アンコール
4.J.S.バッハ無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番イ短調BWV1003 より 第1楽章

ヴァイオリンセルゲイ・ハチャトゥリアン(3&4)

ルドルフ・バルシャイ指揮NHK交響楽団(1,2&3)
(コンサートマスター:ペーター・ミリング)

2004年12月20日 15:00 NHKホール
ちょうど2時頃にホールへ到着。自由席券を買って3階へ。自由席での私の(ほぼ)定位置を確保してから、「今日の室内楽」を聴きに2階北側ロビーへ。

今日演奏される曲は、プーランク23歳の時の作品だそう。プーランクの軽妙洒脱さ、抜けの良い独特のハーモニー感とある種の苦味が既にあるんですね。こういう曲をセンスよくお洒落に演奏するのは難しいなあと思います。今年最後の定期ということで、クリスマス&お正月にちなんだメロディーをちりばめたメドレーがアンコールとして演奏されました。

私がバルシャイの指揮に初めてコンサートで接したのは、昨年2月の都響とのマーラー10番。バルシャイ自身が編んだ全曲版の演奏で、コンマス矢部達哉の率いるオケの集中力と相まって素晴らしい演奏になっていたことを思い出します。

まずは、ヤナーチェクのシンフォニエッタから変更となったモーツァルトのハフナー交響曲。弦の編成は14-12-8-8-4で低音方向の人数が少なめ。近頃珍しいかもしれない柔らかで優しい風合いのモーツァルト。音のアタックが徹頭徹尾柔らかく丁寧で、細部を明確にというよりは全体の響きの調和を優先した音楽作り。ペーター・ミリングをゲスト・コンサートマスターに迎えた効果か、N響にしては渋めのサウンドが印象的でした。柔らかな風合いはもしかすると、あまり打点を明確に振らないバルシャイの指揮に起因するのかもしれません。

2曲目のダンバートン・オークスは初めて耳にする曲。弦楽は2-1-3-2-2、管楽はフルート・クラリネット・ファゴット各1、ホルン2の総勢15名による編成。いわゆる新古典主義による曲で、冒頭部はプルチネルラを思わせるようなサウンドがします。メンバ個々の技巧が生きた好演だったとは思いますが、第1楽章と第3楽章ではもっと背筋の伸びたしゃきっとした感じが欲しいかなと。この曲はデュトワのキレのある棒で聴きたかったなあ(笑)。

後半はセルゲイ・ハチャトゥリアンをソリストに迎えたベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲。弦の編成はモーツァルトと同じ14-12-8-8-4での演奏。冒頭のティンパニが柔らかいこと。全体もモーツァルト同様にアタックを柔らかく処理した優しい風合い。ハチャトゥリアンのヴァイオリンは細身ながら美しく、ピアニッシモでもホールの隅々まで良く通るもの。その美音を生かしてやや遅めのテンポで奏でるベートーヴェンは、非常に繊細な味わいを持った19歳の若者とは思えない大人の音楽。非の打ち所のない技巧をひけらかさず(あえて言えば、第3楽章のカデンツァくらい)に、音量よりも美しい音を生かしてひたすら丁寧に歌を紡いでいきます。力で押すことの全くない、こんな繊細なこの曲の演奏はなかなか聞けるものではないのではないでしょうか。バルシャイとN響もデリケートなハチャトゥリアンの持ち味を殺さないように細心の注意を払ったもの。特に第2楽章冒頭のそっと撫でるようなソフトな風合いは印象的でした。モーツァルトではあまり感じませんでしたが, ベートーヴェンではバスの量感がやや物足りなく感じました。

アンコールはバッハの無伴奏ソナタ第2番の第1楽章。ベートーヴェン同様に美しく丹念に紡がれた音符から、悲しみがじんわりと聞き手の心に伝わってくる素晴らしい演奏でした。

セルゲイ・ハチャトゥリアンはアラム・ハチャトゥリアンの協奏曲を2度(フェドセーエフ/東フィルとマズア/フランス国立管)聴いたことがあります。(曲のせいもありますが)こんなに繊細かつで大人の音楽を奏でる若者だとは思ってませんでした。今後が非常に楽しみなヴァイオリニストのひとりですね。バルシャイに期待した演奏会でしたが、こんな結果もまた良しと・・・(笑)。
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セルゲイ・ハチャトゥリアンのベートーヴェンVn協 | ふらんくのクラシック音楽視聴記 | 2005/06/21 20:21
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R.バルシャイ/読売日響 名曲シリーズ ショスタコーヴィチ:室内交響曲&交響曲第5番 | えすどぅあ | 2006/04/23 12:48
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