新国立劇場 小劇場オペラ#12 外套 Aキャスト
新国立劇場 小劇場オペラ#12
プッチーニ:歌劇「外套」
ミケーレ:大久保眞
ジョルジェッタ:木下美穂子
ルイージ:水口聡
タルパ:峰茂樹
フルーゴラ:加納里美
ティンカ:加茂下稔
流しの歌うたい:松永国和
神田慶一指揮 新国立小劇場オペラ・アンサンブル
新国立小劇場合唱団(合唱指揮:寺川信男)
演出 :粟国淳
2004年2月7日 15:00 新国立劇場 小劇場
小劇場の客席に入って目の前に広がった(というほど広い空間ではないですけどね)光景に「ん!」。通常オケピットと客席のある場所のほぼ半分を、木材で波止場と船の甲板。縄もたくさん張り巡らされています。オケは普通舞台が設置されるところ、つまり今回は舞台奥に配置されていました。演出家によれば「よそよそしさや第三者の中立性を感じずに観客が舞台と一体となる空間をつくりだし・・・・・・」とのこと。
オケピットが客席と舞台の間にない分歌手との距離が近くなり、いつものこの小劇場で感じられる歌手達の息遣いというよりはより濃密な関係が形作られていたように感じました。この「濃密」さがこのオペラの人間関係のあやを表現するのに役立っていたと思います。人の動かし方や演技も実に良く練られたもので、音楽を邪魔することもなくとても良かったと思います。粟国淳の演出は何度か見てますが今回、ベストの出来ではないでしょうか。
その濃密な感じを湛えた演出に、また演奏がとても良かった。主役3役に声に密度感の充分ある人を揃えていていそれがとても作品と演出に合っていたと思います。特に木下と水口は素晴らしい出来でした。大久保は長いフレージングがもうひとつこなれてない感じがありましたがそれをのぞけばまずまずの出来。他では加納がそのキャラクターを充分に生かしていたと思います。
そして、神田慶一指揮のオケがまた良かった。いままで聞いた小劇場公演では一番の出来ではないでしょうか。音がきちんと合っているだけでなく、小一時間の短いオペラですがその内容の濃さと緊張感がひとときも切れなかったのは、神田とオケのサポートなしでは達成しなかったでしょう。
ほんとにとても良いプロダクションでした、再演を希望。
明日のBキャストも行く予定です。
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