ヤンソンス/コンセルトヘボウ管 ベートーヴェン/ブラームス
富士電機スーパーコンサート ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団ホールに入って舞台を見るとコントラバスが左側に5本。最近、ヴァイオリン対向配置に出会うことが多くなってきました。弦楽器は12-10-7-7-5の陣容です。ファゴットが普通とは違って左側なのはこのオケの伝統。この配置でまずはベートーヴェンのニ長調交響曲。そしてヤンソンスが指揮棒を持って登場。ヤンソンスが棒を持って振るのをはじめてみました(いっつも素手(笑)だと思ってました)。最初の「タター」のアコードからヤンソンスらしい力感あふれる響きを引き出し、続く弦のピアニッシモでは透明で見通しの良い美しい響きをオケから引き出します。力感と優美さの対照が印象的。第2楽章の響きのよくのった弦と木管のアンサンブルが美しさは出色。全体的には引き締まったサウンドと造形を基調とし、オーケストラの美しいサウンドと自発性をうまく引き出し、こじんまりとまとめるのではなく指揮者のややマッチョともいえなくもないぐっと力のこもった力感とスケールを加味した演奏と言えるでしょう。ちょっと響きを引き締めすぎかなあと思うところもありましたが、なかなか聴き応えのある演奏でした。今日の座席はPブロックながらほぼ中央でしたので、左右に配置されたヴァイオリンのやりとりも面白く聴きました(特に第3&4楽章)。
1. ベートーヴェン : 交響曲第2番ニ長調作品36 休憩 2. ブラームス : 交響曲第2番ニ長調作品73 アンコール 3. ブラームス : ハンガリー舞曲第5番 4. ワーグナー : 歌劇「ローエングリン」から 第3幕への前奏曲
マリス・ヤンソンス指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 (コンサートマスター:アレクサンダー・ケール)
2004年11月6日 18:00 サントリーホール
ブラームスも対向配置で演奏してくれると面白いのになあと思っていたら、係員がコントラバスの椅子を右側に移動させているではないか(笑)。うーむ、ちょっと残念。今度は弦は通常の16型で木管もスコアどおりの2人ずつ編成。ベートーヴェンのクリアな響きとは一変して、かげりを加えよく溶け合った弦楽器の響きが印象的(オケの配置の影響もあるのかなあ)。ベートーヴェンで聞かせた力感を、ぐっと内側からにじみ出すようなエネルギーに転化。その内からの熱いエネルギーを主に弦楽器の濃い表情付けと味のある響きへと昇華。弦楽器とは対照的に木管楽器の表情付けは控えめにし、表現のバランスとコントラストを保つバランス感覚。第1楽章の終わり近くの弦楽器に伴奏されたホルンソロの素晴らしさと、その後の弦の表情の濃いことといったら・・・。続く、第2楽章の弦の響きと歌の素晴らしいこと。こじんまりせずに、適度なスケール感を加えた第3楽章。そしてヤンソンスの持ち味であるスケール感を充分に発揮させた第4楽章。ヤンソンスが自分の持ち味を生かしつつ、コンセルトヘボウの味のある音色を巧に生かしきった素晴らしいブラームスでした。
アンコールの1曲目はブラームスのハンガリー舞曲。ずんずんと力を込めた演奏で、ちょっと重すぎの感あり(笑)。まあ、アンコールだからいいか(爆)。そして2曲目はローエングリンの第3幕前奏曲。これはブラームスとは一転して、明るく華やかな響きが素晴らしいったらありゃしない。明日の「英雄の生涯」がとても楽しみに思える、壮麗なワーグナーでした。
やっぱりコンセルトヘボウって味のあるいいオーケストラだなあと、改めて思いました。ほんまに。
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