ヤンソンス/コンセルトヘボウ管 ベートーヴェン/R.シュトラウス
2年前の11月7日、会場は今日と同じサントリーホール。前任のシャイーとコンセルトヘボウが奏でたのはマーラーの第3交響曲。この時の素晴らしい演奏は忘れられません。昨日に引き続き、コンセルトヘボウを聴きに赤坂へ。
富士電機スーパーコンサート ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団昨日と同じく前半はベートーヴェンの第2交響曲から。昨日同様のヴァイオリン対向配置、今日は12-10-8-7-5の編成(昨日のヴィオラの数7は間違えかなあ・・・)。基本的には引き締まったサウンドと力感および優美さを兼ね備えた演奏。今日は対向配置とホールの響きへ対応が進んだようで、昨日ややタイトに感じられた高弦の響きが今日は、シルキーでふくよかなコンセルトヘボウの特質がよく出てものになっていました。全体のアンサンブルもさらに練れていて、いい意味での遊びが感じられる余裕が加わっていました。結果、より優美さが感じられる素敵なベートーヴェンになっていました。
1. ベートーヴェン : 交響曲第2番ニ長調作品36 休憩 2. R.シュトラウス : 交響詩「英雄の生涯」作品40 アンコール 3. ハイドン : セレナード 4. R.シュトラウス : 歌劇「薔薇の騎士」から
マリス・ヤンソンス指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 (コンサートマスター:アレクサンダー・ケール)
2004年11月7日 14:00 サントリーホール
後半は昨日同様、通常配置(チェロ外側)でのR.シュトラウスの英雄の生涯。弦の編成は18-18-12(14?)-12-9でした。シルキーで美しい弦を中心にしたオーケストラ全体の見事なアンサンブルと、ややくすんだ味わいの統一感のある音色をヤンソンスが見事に生かした素晴らしいシュトラウスとなりました。「英雄」での雄渾さとスケール感、「英雄の敵」での木管のやかましいこと(笑、もちろんいい意味で)、「英雄の伴侶」での女性が演奏しているかと思われる程の繊細さと踏み込んだチャレンジングな表現に挑んだソロ・ヴァイオリン、「英雄の戦い」でのヤンソンス隊長のもとオケが一体となった戦いぶりと勝利の凱歌の輝かしさ(昨年のティーレマン/ウィーン・フィルの隊員(楽員)が果敢に飛び込んでいく演奏とは、ものすごく対照的)、その輝かしさを受け継ぎ後半部分の味わい深い「英雄の業績」、「英雄の引退と完成」も最後の「ツァラトゥストラ」冒頭のテーマが回想されるところはもうちょっと枯れた味わいが欲しいなあと思いましたが素晴らしい出来(作曲年代からいくと、まだ枯れていないほうがいいのかもしれませんが・・・)。
アンコールは今日も2曲演奏されました。最初は第1ヴァイオリンが第2ヴァイオリン以下のピツィカートにのって、美しく優雅に歌ったハイドンのセレナーデ。「英雄の生涯」の後のクールダウンにはぴったり。2曲目は再びリヒャルトに戻って、「薔薇の騎士」の第3幕から編まれたオーケストラピース。明るく華やかな響きが素晴らしく、幕切れ近くの3重唱のメロディーが美しいこと。ちょっとワルツが格好悪かったけど、それはご愛嬌ということで(笑)。
ヤンソンスはオーケストラの持ち味を生かすのが非常にうまいですね。コンセルトヘボウとバイエルン放送響の味のある二つのオケを得て、これから指揮者としてうまみが増していくのを楽しみにしたいと思います。
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