えすどぅあ

コンサートやオペラの感想を中心とした音楽日記になったかなあ・・・。

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マ/クレーメル/クレメラータ・バルティカ ハイドン/モーツァルト/ショスタコーヴィチ

池袋のあとは昨日と同様にクレーメル率いるクレメラータ・バルティカの演奏会です。今日は川崎ではなく六本木一丁目へ。
ヨーヨー・マ & ギドン・クレーメル with クレメラータ・バルティカ

1.ハイドンチェロ協奏曲第1番ハ長調 Hob.VIIb:1
2.モーツァルト協奏交響曲変ホ長調 K.364
休憩
3.ショスタコーヴィチヴァイオリン・ソナタ作品134(室内オーケストラ版)
4.ショスタコーヴィチ室内交響曲ハ短調作品110a
アンコール
5.グレン・ミラー(アンドレ・プシカレス編)ムーンライト・セレナード

チェロヨーヨー・マ(1&2)
ヴァイオリンギドン・クレーメル(2,3,4&5)

クレメラータ・バルティカ室内管弦楽団

2004年10月24日 17:00 サントリーホール 大ホール
今日もまずはマをソリストにしたハイドン(第2番)から。昨日同様にオケは弦6-6-4-4-2の編成で、チェロのtuttiをマが一緒に弾く形での演奏。昨日の第1番との曲想の違いから、より一層伸び伸びとした音楽作りで耳を楽しませてくれました。伸び伸びとしながらも、ニュアンス豊かなピアニッシモでの表現は格別。オケもマと一体になってそれに寄り添うさまは見事。第2楽章での明るさだけではない、陰影と深みのある表現や、終楽章でのアレグロの絶妙な走り加減がまた素晴らしい。いやはや、演奏しているさまを見ているだけでも愉しい演奏を文字通り愉しく堪能させてもらいました。

続くは昨日と同じシンフォニア・コンチェルタンテ。昨日より一層バルティカとのアンサンブルが緊密になっていますのが感じ取れます。やっぱり、クレーメルとマの個性の違いが際立ちますね。それでもお互いに触発しあう様が如実に音として聞き取れるのは面白いものです。第1楽章の装飾音をクレーメルが昨日と違う風に弾くと、「そうくるなら!」と反応して演奏するマ。決してルーチンではない、今まさに生まれていく生きた音楽の有り様。これもまた、愉しいひと時でした。

後半はがらっと雰囲気を変えてショスタコーヴィチ2題。まずは室内オケ伴奏版でのヴァイオリン・ソナタですが、ヴァイオリン特有のいわば汚い音をありのままに提示し、鋭利な刃物のように局に切れ込んでいくクレーメル。そのクレーメルをどんなに踏み込んだ表現をしても、美しい音を失わずに深みのある音色かつビューティフルともいえる演奏で支えるバルティカの面々。打楽器が入ってショスタコーヴィチらしさが一層際立って聞こえるアレンジの巧妙さ。緊迫感いや緊張感の途切れない集中力あふれる、素晴らしい演奏でした。

クレーメルが第1ヴァイオリンのトップに座った、最後の室内交響曲でもバルティカの集中力の途切れない演奏は見事。切れ目なく演奏されるこの曲では、より一層その集中力が生かされた格好。ヴァイオリン・ソナタ同様に曲への踏み込みの鋭さと音色の美しさの両立は見事というしかありません。ショスタコーヴィチの持つ多面性を余すところなく示した緊張感あふれる素晴らしい演奏でした。最後のかすかな音が消えさった後の静寂もまた格別でした。

素晴らしいショスタコーヴィチの後で、アンコールはなくてもいいやと思っていました。しかし、洒落た曲をやってくれますね彼らは。ポルタメントをうまく生かしたアレンジのグレン・ミラー。ショスタコとはうってかわって美しい音を前面に出したクレーメルのセンスの良いソロ、バルティカの面々のまたセンスの良いポルタメントを生かした演奏がまことに洒落なこと。

クレメラータ・バルティカを2日間聞いて思うのは、マとクレーメルの素晴らしさは当然のことですが、バルティカの面々の素晴らしさがとても印象的でした。多様なスタイルの音楽への的確な対応力、多彩な表現と美音との両立、お互いを良く聞きあった緊密なアンサンブル。これだけボリュームのあるプログラムでも、最後まで音楽のクオリティが保たれるのは特筆すべきことではないでしょうか。今週のシュニトケとバッハを組み合わせたプログラムも聞きたくなりました(スケジュール上、おそらく無理(;_;))。
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グルベローヴァ健在 | えすどぅあ | 2004/10/31 22:20
今月は4回のダブルヘッダーを含む、16本でした。いろいろとバラエティーに富んだプログラムを聞いたなあという印象でしょうか。