SKF2004 ヴォツェック ゲルネ/小澤/SKO
ヴォツェック2回目。おとといは4階正面やや右の席でしたが、今日は4階右バルコニーの個席。この席、高所恐怖症の人にはちとつらいかもしれない。実際の高さは特別高くないと思われますが、安全柵が簡素でそれこそダイレクトに1階席が眼下に見えるので高所感は充分に味わえます^^;。
サイトウ・キネン・フェスティバル松本 オペラ アルバン・ベルク「ヴォツェック」基本的な印象はおとといの公演と同じですが、2回目ともなると舞台上の細かいところを見る余裕も出てきます。具体的な表現がそぎ落とされている分、上下する床面の動きや個々人の動きや表情で実に効果的に表現されているなと。どこか妙な癖のある登場人物たちを、没個性的な同じ衣装を着させてみんな同じ闇を持った人間なんだよと。それゆえに強烈な白い照明で表現された最終場面のインパクトが強く印象付けられたような気がします。アバド&ウィーン国立歌劇場の映像でみることが出来る、ドレーゼン演出のト書きに忠実と思われる具体性のある舞台と本当に対照的です。これはこれで「あり」だなと。
アルバン・ベルク:歌劇「ヴォツェック」全3幕
ヴォツェック : マティアス・ゲルネ マリー : ソルヴェイグ・クリンゲルボルン 鼓手長 : ステファン・マルギタ アンドレース : レイモンド・ヴェリー 大尉 : クリス・メリット 医者 : ラインハルト・ハーゲン マルグレート : アン=マリー・オーウェンス 白痴 : ジャン=ポール・フーシェクール 職人1 : 山下浩司 職人2 : 萩原潤 マリーの子ども : 藤田幸士郎
小澤征爾指揮 サイトウ・キネン・オーケストラ (コンサートマスター:矢部達哉) 東京オペラシンガーズ SKF松本児童合唱団
演出 : ペーター・ムスバッハ 舞台 : 安藤忠雄 衣装デザイン : アンドレア・シュミット=フッテラー
2004年9月2日 19:00 まつもと市民芸術館 主ホール
演奏面では小澤指揮のオケは、相変わらずびしっとした緊密なアンサンブルとダイナミクスの対比が素晴らしい演奏。猥雑とまではいかないけれども、いい意味での雑味も出てきていたように聞きました。
今日も、ゲルネをはじめとする歌手陣は各人の役が手の内に入っていて水準の高い歌唱と演技が素晴らしい。演出が演出なだけに音楽面での表現が非常に重要で、何をやっているかわからなくなる危険性もあると思いますが、ゲルネ、クリンゲルボルン、メリットを中心にまったくそういう心配のない歌唱と演技でした。
今日の座席は4階右バルコニーやや前方。丁度1階席の中央通路の真上あたり。オケの音がストレートに上がってきて、箱の素性のよさが感じられます。本当にコンクリートは木材が感想してくるといい音の箱になると思います。視覚的な面ではやや制限がありますが・・・(今回の演出では特にペットボトルで作られた右側の壁が死角の要因になってしまいましたが)。
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