草津の音楽祭へ来るのは今回が初めて。友人が合唱で出演することもあり、前日にチケットと宿を調達して草津へ(台風が心配・・・)。
第25回草津夏季国際アカデミー&フェスティバル 合唱とオーケストラ/クロイツァー:パストラーレ・ミサ〔日本初演〕
1. | J.S.バッハ | : | マニフィカト変ホ長調BWV243a |
| | | (休憩) |
2. | ベートーヴェン | : | ピアノ、ヴァイオリンとチェロのための三重協奏曲ハ長調作品56 |
3. | C.クロイツァー | : | パストラーレ・ミサイ長調〔日本初演〕 |
ソプラノ | : | 本島阿佐子(1) |
| | 天羽明恵(1) |
| | オリヴェラ・ミリヤコヴィッチ(3) |
アルト | : | 寺谷千枝子(1&3) |
テノール | : | 小貫岩夫(1&3) |
バス | : | 太田直樹(1&3) |
フルート | : | ヴォルフガング・シュルツ(1) |
| | 西田直孝(1) |
オーボエ | : | 加納律子(1) |
| | 徳山奈美(1) |
トランペット | : | ハンス・ペーター・シュー(1) |
| | 吉田太美男(1) |
| | 前原尚規(1) |
ピアノ | : | 遠山慶子(2) |
ヴァイオリン | : | ウェルナー・ヒンク(2) |
チェロ | : | ヴォルフガング・ベッチャー(2) |
イェルク・エーヴァルト・デーラー指揮 | イ・ソリスティ・ディ・ペルージャ(1) |
| 草津フェスティバル・オーケストラ(1&3) |
| 草津アカデミー合唱団(1&3) |
| (合唱指揮:栗山文昭) |
オルガン | : | クラウディオ・ブリツィ(1&3) |
打楽器 | : | 永曽重光(1) |
ファゴット | : | 岡崎耕治(1) |
2004年8月29日 16:00 草津音楽の森国際コンサートホール
演奏を始める前に井坂紘さんが簡単にクロイツァーのミサのことや、バッハのEs-durのマニフィカトをプログラミングした意図等の話がありました。コンサート毎にやるそうです。
まずはバッハのEs-durのマニフィカト。やっぱり難しい曲ですねえこれは。オケ、ソリスト、合唱ともに高い水準でかつ全体のアンサンブルが練れていないとさまにならないですね。イ・ソリスティ・ディ・ペルージャのあまり細かいことを気にしない活気のある音楽は曲にぴったり。ソリスト達はやや生彩を欠いていました中、寺谷千枝子の落ち着いた歌唱は群を抜いていました。天羽明恵が曲の練り上げ不足に聞こえたのが、声自体はいつものとおり素晴らしかっただけにやや残念。合唱は短い練習の割には健闘していたと思います。でも、両端の祝祭的な部分でのころがしはもう少し軽やかに転がって欲しいし、テンポの遅い曲での音楽の流れが途切れがちなのは残念。アカペラ部分でのハーモニーの精度ももっと欲しい。付け焼刃ではどうしようもない、本当の技術が必要なのを実感しました。レチタティーヴォの通奏低音のチェロの弾き方は旋律みたいに弾かせていて(デーラーの指示だと思います)、ちょっと存在感がありすぎのようなきがしました。リコーダーのソロをフルートで吹いたシュルツのソロが絶品だったことを付け加えておきます。
休憩をはさんだ後は、ベテランをソリストに迎えたベートーヴェンの三重協奏曲。オケはイ・ソリスティ・ディ・ペルージャと常連メンバの混成部隊で弦は6-6-4-4-2の編成。プルトの表をペルージャのメンバが勤めていました。元ベルリン・フィル主席のベッチャーが素晴らしかった。技術的には衰えを隠せないものの、そんなことはどうでもいいやと思わせた音楽の素晴らしさ。ヒンクもびしっとピッチが決まる人ではないのですが、終楽章はベッチャーに触発されたのか踏み込みの良い音楽が決まってました。遠山のピアノは2人に較べるとと個性が薄い感じもありましたが、美しい音で2人と協調していたと思います。デーラー指揮のオケもプルトが増えたのとペルージャとの混成がうまくいって力強いベートーヴェンでした。
最後は日本初演のコンラート・クロイツァーのパストラーレ・ミサ。クロイツァーはベートーヴェンと同時代の人。この曲はクリスマスのミサのための曲だそうです。もちろん初めて聴く曲でしたが、題名にふさわしい全体にやさしい牧歌的雰囲気に満ちた佳曲ですね。技術的にも平易で演奏しやすい曲と見ました。やさしさと祝祭的な明るさを両立したオケ、その雰囲気にうまくのったやわらかい感じが良く出た合唱共々いい演奏でした。欲をいうと合唱はフォルテでの声の輝きが出てくるとさらに良かったのではと思います。ミリヤコヴィッチは技術面の衰えを上手にカバーしていたのが印象的でした。
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