えすどぅあ

コンサートやオペラの感想を中心とした音楽日記になったかなあ・・・。

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ゲルギエフ/PMFオケ/ズナイダー PMF2004東京公演 チャイコフスキー/ショスタコーヴィチ

先週に続き今週もゲルギエフ(笑)。ショスタコの11番をバルシャイ指揮のCDでかる〜く耳慣らしして赤坂へ。
PMF2004 PMFオーケストラ東京公演

1.チャイコフスキーヴァイオリン協奏曲ニ長調作品35
2.クライスラーレチタティーヴォとスケルツォ(アンコール)
休憩
3.ショスタコーヴィチ交響曲第11番ト短調「1905年」作品103

ヴァイオリンニコライ・ズナイダー(1&2)
ワレリー・ゲルギエフ指揮PMFオーケストラ(1&3)

2004年8月4日19:00サントリーホール大ホール
開演前に舞台を見回すとコントラバス10本、つまり18型(18-16-14-12-10)の編成。奏者は舞台上にほぼ出ているので、これでチャイコフスキーのコンチェルトをやるのか?と正直思ったものの18型でやってしまいましたよゲルギエフ。でもはじまってみれば音量のコントロールは絶妙でソロをスポイルすることがありません。冒頭の弦のやわらかく響きの良くのったサウンド感はゲルギエフトーンといっても良いもの。ソロに絶妙に寄り添いつつ、細かな表情付けを施していて音楽をより表情豊かに奏でるゲルギエフの手腕は見事です。第1楽章のオケだけの部分のスケール豊かな歌いぶり、第2楽章の表情豊かなニュアンス付け、そしてなんだかギャロップのちょうな第3楽章。ソロのズナイダーは最初のうちは雄弁なオケに対して薄味さが目立ちましたが、段々とオケに触発されたのか積極的な表現で聞き手をひきつけてくれました。第2楽章のピアニッシモ方向のニュアンスの豊かさと、第3楽章の思い切りの良い表現は聞き応え充分でした。「アリガトウ」とオケへの感謝を述べて演奏された、アンコールのクライスラーも前半のメランコリックな表現と後半のキレのよさとチャーミングな表情が良かったと思います。

後半はショスタコの交響曲第11番「1905年」。「1905年」という題名の示すとおりロシアの労働者革命を題材にした曲。ゲルギエフのショスタコーヴィチを生で聞くのは初めてで楽しみにしておりました。先週の春祭もインパクト充分な演奏でしたが、今日も凄いというしかありませんなこれは。第1楽章の冒頭の弱音器付の弦楽器の不気味な静けさ、そして民衆の行進をしめす壮麗かつ壮絶なマーチとのコントラスト。第2楽章の民衆に向けた銃撃を示す部分の壮絶なまでの金管の咆哮と打楽器の打ち込み(変に感化されていない若者らしいストレートにパワーをぶつけてくるので余計に効果的)とその後の第1楽章冒頭部が回帰する部分の血なまぐささを感じる静謐さ。細かな表情付けを施されたチェロとコントラバスから始まる鎮魂の第3楽章はヴィオラが主導する音色の深さが印象的。そして民衆の抗議を示す第4楽章の怒りのこれももまた壮絶なことといったらない。コーダ前の第1楽章冒頭部の回帰での恐ろしい静謐とイングリッシュホルンのモノローグ(これは見事でした)。そしてコーダの一気呵成に駆け上がる怒りの高揚(表現変?)。静謐さと壮絶さの共存、深くて濃い音色感。PMFオケの若者達も、細かいところではいろいろ注文はあるもののゲルギエフの求める表現を本当に良く消化していました。

ゲルギエフは5月のロッテルダム・フィル先月の都響そして今日のPMFオケ、今年はもう一回ウィーンフィルと11月に来日します。今度もロシア物中心で、チャイコフスキーですのでこれも楽しみかと。
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